アナ雪『Let It Go』の歌詞は意味が英語・日本語・フランス語で全然違う!言語で異なるエルサの人物像とは

もうずいぶん前のことになりますが、2013年にディズニー映画『アナと雪の女王』の主題歌『レット・イット・ゴー(Let It Go)』、世界中で大ヒットしましたよね。

元々英語で作られた歌詞が世界25カ国の言語に訳されて、大変話題になりました。

ところで、それぞれの歌詞は、元の英語とは少しずつニュアンスや意味合いが違うのをご存知でしょうか。

先日フランス語版の『レット・イット・ゴー(Let It Go)』を聴いてみたところ、英語版や日本語版とは異なる意味の歌詞があり、とてもステキなことに気づきました。

そこでこの記事では、Let It Go』の日本語版、英語版、フランス語版の歌詞の意味について、どんな違いがあるのかをご紹介いたします。

日本語バージョン『Let It Go~ありのままで~』の歌詞

こんにちは、アリスです。

松たか子さんの歌う『Let It Go~ありのままで』、本当に日本で大ヒットしましたね。

まずは日本語版の歌詞からご紹介します。

日本語バージョン『Let It Go~ありのままで』

日本語の歌詞を引用してみますね。

降り始めた雪は 足音消して
真っ白な世界に ひとりのわたし
風が心にささやくの
このままじゃ ダメなんだと

とまどい 傷つき
誰にも 打ち明けずに 悩んでた
それももう やめよう

ありのままの 姿見せるのよ
ありのままの 自分になるの
何も怖くない 風よ吹け
少しも寒くないわ

悩んでたことが うそみたいね
だってもう自由よ なんでもできる
どこまでやれるか 自分を試したいの
そうよ変わるのよ わたし

ありのままで 空へ風に乗って
ありのままで 飛び出してみるの
二度と 涙は流さないわ

冷たく大地を包み込み
高く舞い上がる 想い描いて
花咲く氷の結晶のように
輝いていたい もう決めたの

これでいいの 自分を好きになって
これでいいの 自分信じて
光あびながら 歩きだそう
少しも寒くないわ

〈引用:『Let It Go~ありのままで~』訳詞 高橋知伽江〉

改めて日本語で聴いてみると、「悩み 戸惑い 傷ついていた 一人の女性の姿」が浮かび上がってきます。

特に、サビの部分では、有名な「レリゴー」が3パターンで訳されています。

一度目は「ありのままの 姿見せるのよ ありのままの じぶんになるの」

ここでは、自分のありのままの姿、本当の自分を見つめている女性が描かれています。

今までの自分を変えて、本当の、ありのままの自分を見せたいという気持ちです。

二度目は「ありのままで 空へ風に乗って ありのままで 飛び出してみるの」

今度は、ありのままの自分で風に乗って飛び出してみよう、前に一歩前に進んでみようという気持ちが歌われています。

そして、三度目は「これでいいの 自分を好きになって これでいいの 自分信じて」となっていて、ありのままの姿で一歩を踏み出した自分を好きになっていこう、自分を肯定して生きていこうという決意を感じます。

周りに合わせて委縮しがちな日本の文化を的確に表現した歌詞と言えるかもしれません。

まるでエルサが一人の日本人女性に見えてきます。

自分に自信が持てずに小さくなっていた女性が「もっと素直に自分らしくいきていきたい」という決意を歌った歌、と言えるのではないでしょうか。

英語バージョン“Let It Go”

次に英語バージョンを聴いてみましょう。

英語バージョン Let It Go

英語の歌詞も引用してみます。

The snow glows white on the mountain tonight
Not a footprint to be seen
A kingdom of isolation and it looks like I’m the Queen
The wind is howling like this swirling storm inside
Couldn’t keep it in, heaven knows I tried
Don’t let them in, don’t let them see
Be the good girl you always have to be
Conceal, don’t feel, don’t let them know
Well, now they know

Let it go, let it go
Can’t hold it back anymore
Let it go! Let it go!
Turn away and slam the door
I don’t care what they’re going to say
Let the storm rage on
The cold never bothered me anyway

It’s funny how some distance
Makes everything seems small
And the fears that once controlled me
Can’t get to me at all
It’s time to see what I can do
To test the limits and break through
No right, no wrong, no rules for me
I’m free!
Let it go! Let it go!
I am one with the wind and sky
Let it go! Let it go!
You’ll never see me cry
Here I stand and here I’ll stay
Let the storm rage on

My power flurries through the air into the ground
My soul is spiraling in frozen fractals all around
And one thought crystallizes like an icy blast
I’m never going back
The past is in the past

Let it go! Let it go!
And I’ll rise like the break of dawn
Let it go! Let it go!
That perfect girl is gone
Here I stand in the light of day
Let the storm rage on!
The cold never bothered me anyway

〈引用:Let It Go作詞:Kristen Anderson-Lopes 作曲:Robert Lopes〉

英語の歌詞は情景描写が美しいですね!

エルサの孤独感や荒々しい感情も、よりダイレクトに伝わってきます

エルサの気持ちがよく表れていると思う表現をいくつか挙げてみますね。

‟I don’t care what they’re going to say.”
(みんなが何を言おうが、気になんてしない。)

‟No right, no wrong, no rules for me. I’m free.”
(私には正しいも間違っているもルールもない。私は自由よ。)

‟I’m never going back. The past is in the past.”
(私はもう二度と戻らないわ。過去は過去にあるのよ。)

‟The perfect girl is gone.”
(完璧だった女の子はもういないわ。)

〈引用:Let It Go作詞:Kristen Anderson-Lopes 作曲:Robert Lopes〉

今まで周囲の人たちからルールを押し付けられて、本当の自分を押し殺して生きてきたようですね。

でも、もうそんな過去の自分とは決別して、本当の自分で生きていくというエルサの強い意志を感じます

英語版では、「自分の生き方は自分で決める」という自立した女性像を表現する歌詞になっているのが印象的です。

フランス語バージョン Libérée, délivrée

では、いよいよAnaïs Delvaによって歌われているフランス語バージョンです。

フランス語バージョン『Libérée, délivrée』

フランス語の歌詞も引用してみます。

L’hiver s’installe doucement dans la nuit
La neige est reine à son tour
Un royaume de solitude
Ma place est là, pour toujours

Le vent qui hurle en moi ne pense plus à demain
Il est bien trop fort
J’ai lutté, en vain

Cache tes pouvoirs, n’en parle pas
Fais attention, le secret survivra
Pas d’états d’âme, pas de tourments
De sentiments

Libérée, délivée
Je ne mentirai plus jamais
Libérée, délivée
C’est décidé, je m’en vais

J’ai laissé mon enfance en été
Perdue dans l’hiver
Le froid est pour moi le prix de la liberté

Quand on prend de la hauteur
Tout semble insignifiant
La tristesse, i’angoisse et la peur
M’ont quittée depuis longtemps

Je veux voir ce que je peux faire
De cette magie pleine de mystère
La bien, le mal, je dis tant pis
Tant pis

Libérée, délivée
Les étoiles me tendent les bras
Libérée, délivée
Non, je ne pleure pas

Me voilà, oui, je suis là
Perdue dans l’hiver

Mon pouvoir vient du ciel et envahit l’espace
Mon âme s’exprime en dessinant et sculptant dans la glace
Et mes pensées sont des fleurs de cristal gelées

Je ne reviendrai pas
Le passé est passé

Libérée, délivée
Désormais plus rien ne m’arrête
Libérée, délivée
Plus de princesse parfaite

Je suis là, comme je l’ai rêvé
Perdue dans l’hiver
Le froid est pour moi le prix de la liberté.

〈引用:『Libérée, Délivéé』作詞:Kristen Anderson-Lopes 作曲:Robert Lopes〉

フランス語の歌詞で特に印象的なのは、英語の‟Let it go! Let it go!”にあたる«Libérée, délivrée»の部分です。

辞書で調べてみたところ、«libérer»には「解放する、自由にする」、«délivrer»には「解放する、釈放する」という意味がありました。

オリジナルの英語の‟Let it go. Let it go.”には、「手放す、そのままにする、放っておく」といった意味があります。

例えば、悩みを抱えている人や過去のことを考えてくよくよしている人に、「もう放っておいたら?」「もう過去のことは手放したら?」という感覚で、‟Let it go.”と言うことがあります

とても英語らしい表現と言えるかもしれません。

それに比べて、«Libérée, délivrée»はとてもフランス語らしい表現と言えるのではないでしょうか。

「自由」や「解放」を何よりも大切にするフランスらしさあふれるフレーズです。

自由に対するフランスらしい考え方は、«Le froid est pour moi le prix de la liberté.»という一文にも表れているように思います。

日本語に直訳すると、「寒さは私にとって自由の代償だ」といったところでしょうか。

オリジナルの ‟The cold never bothered me anyway. ”や日本語の「少しも寒くないわ」とは違うニュアンスを伝えていることに気づかれたかもしれません。

「自由を手に入れるためには代償が必要である」という考え方が強調されています。

その代償が、歌詞では«le froid»(寒さ、冷たさ)と表現されていますが、エルサにとっては「孤独」と言えるでしょう。

家族や友達とも離れ、一人で城に閉じこもるという孤独を「自由を得る代償」と歌っていて、自由をいかに大切に思っているかがわかります。

ほかにも素敵な表現がたくさん出てきます。

«C’est decidé, je m’en vais.»
(私、決めたわ。私は旅立つ。)

«Je suis là! Comme je l’ai rêvé!»
(私はここにいる。ずっと夢見てきたことよ。)

〈引用:『Libérée, Délivéé』作詞:Kristen Anderson-Lopes 作曲:Robert Lopes〉

こうした表現からも、やっと手に入れた自由を胸に前に進んでいこうとする一人の女性の気持ちが感じられます。

まとめ

『アナと雪の女王』の主題歌、『Let It Go』の日本語バージョン、英語バージョン、フランス語バージョンを聴き比べて、その違いを考察してみました。

同じ映画に使われた歌でありながら、言語によってエルサの女性像が異なって浮かび上がってくることに、言語の奥深さと文化の違いを感じました。

同一の歌を異なる言語で聴くと、言語と一緒にその国の文化や考え方を知ることができるのが大変興味深いですね。

気になる方はぜひ改めて聴き比べてみてくださいね!

日本語バージョン『Let It Go~ありのままで』

英語バージョン『Let It Go』

フランス語バージョン『Libérée, délivrée』

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