フランスはアメリカに継ぐ第二のアーバンカルチャー大国!
この記事では2019年の公開時、ティーンエイジャーの圧倒的な支持で大ヒットした映画『Let’sダンス(原題:Let’s Dance)』をご紹介します。
こんにちは!ダンス映画はどんなに内容が平凡でも、最後のダンスシーンに必ず感動し、完全に製作者の思うツボにはまるカタクリです。
映画のあらすじと共に、本作品を通して新しいフランス文化「アーバンカルチャー」をご紹介します。
今のフランスが見える、映画『Let’sダンス』のあらすじ
世界的に有名なブレイクダンサーのユーリ(Youri)が、ヒップホップダンスの国際大会に参加するため、ダンスチームを作ることを知ったジョセフ(Joseph)。
父親に置き手紙を残し、同じくダンサーで親友のカリム(Karim)と恋人のエマ(Emma)と共に、ダンスチームのメンバーになるためのオーディションを受けようと、パリに上京しました。
3人ともオーディションに無事に合格し、本格的なグループ練習が始まりますが、喜びは束の間、地方とは異なり物価が高いパリで、生活のためにバイト探しをしなければなりません。
ジョセフは、パリで唯一の「友達」、元バレエダンサーで現在はバレエ教師をしているレミ(Rémi)の勤め先を訪ね、「仕事を紹介してほしい」と頼みますが、「ピアニストの席しか空いていない」と言われ、その場を立ち去ります。
ヒップホップダンスの国際大会が近づく中、練習し続けるジョセフはユーリにアドバイスをもらえず不満を募らせますが、グループの仲間の協力を得てコンクールに参加し、見事第一審査を通過。
しかし仲間と打ち上げに行く途中、見つめ合うユーリとエマの姿を見て「できている」と気付いたジョセフはユーリと喧嘩となり、一ヶ月後に最終審査を控えてるにも関わらず、グループは解散になってしまったのです。
エマと共に暮らしていた小さなアパートを出て行ったジョセフとカリムは、レミを頼り居候させてもらうことに。
その頃、教師として長年いい結果を出すことができなかったレミは、バレエ学校のディレクターから何か新しいことをしなければ「クビ」にすると言い渡されてしまい…
新たなフランス文化「アーバンカルチャー」とは
映画『Let’sダンス』がティーンエイジャーの間で大ヒットした理由には、もともとテレビシリーズで子役として活躍していたライアン・ベンセッティ(Rayane Bensetti)の人気があったのはもちろんの事ですが、映画のテーマとなっている「アーバンカルチャー」の人気が背景にあったからと言えるでしょう。
フランスはアメリカに継ぐ第二のアーバンカルチャー市場
アーバンカルチャーとは、大都市の郊外に住む若者たちが中心となって発達している「都市郊外文化」で、主にグラフィティ、ラップミュージック、スラム(詩の朗読のパフォーマンス)、ヒップホップ、ブレイクダンス、ビートボックスなどを指し、今や「現代フランス文化」の一つを担っています。
意外と思われるかもしれませんが、ラップミュージックの売り上げや、世界的に有名なストリートダンサーの輩出など、フランスはアメリカに継ぐアーバンカルチャー市場と言われています。
フランスにおけるアーバンカルチャーの推移
アーバンカルチャーは、80年代半ばにブレイクダンスがフランスに入ってきて以来、90年代中頃に人気のピークを迎えますが、その後下火になっていきました。
しかし、2000年に入りフランス人ブレイクダンサーが世界で活躍するようになり、再び人気に火がつき始めまたのです。
映画『Let’sダンス』のキャストはブレイクダンスの世界チャンピオン
世界で活躍するフランス人ブレイクダンサーの先駆者となったのが、本作でユーリ役として出演していたキャスト、ブライム・ゼバ(Brahim Zaibat)です。
ブライム・ゼバはブレイクダンスの世界チャンピオンで、後にマドンナのバックダンサー兼元恋人として一躍有名に。
世界で活躍するフランス人ダンサー達
パリ発祥の国際ヒップホップダンス大会「Juste Debout」は、今や世界中のヒップホップダンサーが注目するイベントです。
2019年の準決勝には、フランスで絶大的な人気を誇る双子のダンサー、レ・ツインズ(Les Twins - フランス) と、全米ブレイクダンスチャンピオンのディアボロ(Diablo - フランス)と スタラミュート(Stalamuerte - スイス)が対決し、話題となりました。
幻のパリオペラ座でのダンスバトル
2020年にはパリオペラ座史上初、世界から集まったブレイクダンサーによるダンスバトルが開催される予定でしたが、新型コロナウィルス感染症の影響で中止になってしまいました。
上演予定だった当日、出場予定者たちによってパリオペラ座前でのパフォーマンスが行われ、多くの観客が足を運びました。
2024年のパリ・オリンピックで、公式競技へ
サーフィン、スケートボード、エスカラードクライミングと共に、なんとブレイクダンスも2024年のパリ・オリンピックから公式競技になります。
今後、ますますフランスでのアーバンカルチャー熱は加速していきそうです。
まとめ
2019年の公開とともに、ティーンエイジャーの圧倒的な支持を受け大ヒットした映画『Let’sダンス(原題:Let’s Dance)』。
映画のストーリ自体は目新しくありませんが、本作を通じてフランスの伝統と新しい文化の「融合」を見ることができます。
2021年以降も、ますます移民が多くなることが予想されるフランスに置いて、彼らが作り出すアーバンカルチャーが、新しいフランス文化の形を象徴していると言えるでしょう。
ちなみに、ブレイクダンスはその場の状況に合わせフリースタイルで踊ることを、ヒップホップダンスは振り付けを決めた上で踊ることを指します。
おまけ
アーバンカルチャーといえば「ラップミュージック」。
フランスでもラップミュージックは大変人気があり、過激な内容と俗語ばかりの歌詞が多いのが特徴ですが、ここではフランス語学習に役立つラップミュージシャンをご紹介します。
Bigflo et Oli
Bigflo et Oli(ビッグフロ・エ・オリ)はトゥールーズ出身の兄弟ミュージシャンです。
歌詞の内容も理解しやすく、フランス語もとても聴きやすいので聞き取り練習に良いでしょう。
Orelsan
Orelsan(オルルサン)が2017年に発表した楽曲「Basique」は大ヒットし、特徴的なビデオクリップは、多くのコメディアンにパロディーとして使われました。
歌詞も分かりやすいです。
Soprano
Soprano(ソプラノ)はマルセイユ出身で南仏訛りがありますが、歌詞が詩的なことから、ラップが苦手な人にも人気があります。

フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。