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フランス人が必ず一度は読んだことがある児童文学作品『プチ・ニコラ(原題:Le Petit Nicolas)』をご存知でしょうか。
『プチ・ニコラ』は、1956年から1965年に発表された全14巻の児童文学作品です。
2009年に上映された映画『プチ・ニコラ』は、そんな国民的人気作品のイメージを壊さずに、オリジナルのストーリー展開で制作された子供向けのフランス映画です。
とにかく可愛い子どもたち、そして彼らをサポートする豪華俳優陣たちにより、2009年のファミリー映画ナンバーワンヒット作となりました。
『プチ・ニコラ』は子供向けの映画なのでフランス語学習に最適な映画のひとつです。
この記事では映画『プチ・ニコラ』のあらすじ、プチ・ニコラシリーズがフランス人に愛されている理由、そして劇中で印象に残るフランス語のフレーズをご紹介します。
こんにちは!初めて読み切ったフランス語の本が「プチ・ニコラ」だったカタクリです。
では、映画版『プチ・ニコラ』のオリジナルストーリーを見ていきましょう。
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国民的児童文学作品が原作、映画『プチ・ニコラ』のあらすじ
目立たないどこにでもいるような普通の男の子ニコラ(Nicolas)は、毎日楽しい友達に囲まれた学校生活や、両親から愛されている今の「素晴らしい人生」が大好きでした。
そんなある日、友人のジョアキム(Joachim)に弟が生まれたこと知ります。
自分の部屋はベビーベッドで占領され、両親は赤ちゃんばかり可愛がると愚痴をこぼすジョアキムを見ながら、ニコラは生まれて初めて自分の人生に不安がよぎったのです。
お父さんとお母さんが急に仲良くなるのが「赤ちゃんが生まれる前兆」だった、とジョアキムから聞いたニコラは、自分の両親はいつも喧嘩ばかりしているから大丈夫だと自分に言い聞かせます。
ところが、ある事をきっかけに急に仲良くなったお父さんとお母さんをみて「弟が生まれる前兆」だと感じたニコラ。
時を同じくして急に学校に来なくなったジョアキムを、「弟が生まれて必要なくなったから森に捨てられたのではないか」と心配し始める学校の仲間たち。
弟が生まれたら森に捨てられると恐れたニコラは、その計画を防ぐべく友達とアイディアを出し合い、ある壮大な計画を思いつくのでした。
「プチ・ニコラ」がフランス人に愛されている理由
映画の原作『プチ・ニコラ』は、1956年から1965年に発表された全14巻の児童文学作品です。
作家ルネ・ゴシニ(René Goscinny)と漫画家ジャン=ジャック・サンペ(Jean-Jacques Sempé)によって執筆されました。2021年現在でも売れ続ける「プチ・ニコラ」の人気の理由として、次のような点が挙げられると考えます。
普遍的な子どもの姿を描いた、古さを感じさせない作品
児童文学作品であっても「三人称」で語られることが多いフランス文学ですが、『プチ・ニコラ』は、主人公「ニコラ」が自分の周りに起きた学校でのこと、友達のこと、家族のことなどを彼が見たまま、まるで「日記」のように「一人称」で語られています。
そこには歴史的背景・出来事は一切語られていない、普遍的な「普通の子ども」の「気持ち」が描かれています。
そのため、いつの時代であっても『プチ・ニコラ』という作品には、子ども達はニコラやその仲間たちに共感を、大人たちはどこか懐かしさを与える魅力があるのです。
そんな、普遍的な子どもらしい姿が描かれていることが、出版から60年以上経った2021年現在でも古さを感じさせない人気の一つに挙げられるでしょう。
フランス人を描かせたら右に出る者はいない!サンペのイラスト
そして、もう一つの人気の理由は、何と言っても『プチ・ニコラ』という作品を彩るサンぺのイラストです。
本編のオープニングシーンにも使用されている可愛らしいイラストを描くサンペは、1956年に『プチ・ニコラ』の初版当初から担当しているイラストレーターで、2021年現在でも現役で活動しています。
シンプルで柔らかな独特な線によって描かれる「フランス人」たちは、まるで日常生活を切り取ったよう。
そんな彼が描いた『プチ・ニコラ』の登場人物は、フランス人たちにとってはどこかユーモアがあり「こんな人、うちの親戚にいそうだな」と印象を与えます。
生き生きとしたサンペのイラストは、明らかに「プチ・ニコラ」の人気を支えている理由の一つです。
印象に残るフランス語のフレーズ
映画『プチ・ニコラ』は、全体的に子どもにも分かりやすいフランス語が使われているため、フランスを学んでいる人には最適の学習教材と言えます。
ニコラが「将来何になりたいか」に答えられない理由を語るシーンです。
En fait, je sais pourquoi je ne sais pas ce que je veux faire plus tard.
C'est parce que ma vie, elle est chouette et je ne veux surtout pas qu'elle change !
実は、なんで将来やりたいことが分からないかって知っているんだ。
それは、僕の人生は素晴らしいから、だからとにかく人生が変わるのが嫌なんだ!
出典:映画『プチ・ニコラ』
「chouette」という単語に注目してみましょう。
「une chouette」は「フクロウ」という意味の名詞ですが、形容詞・感嘆符になると「素敵」という意味になります。
本来フランスでは不吉な動物というイメージがあるフクロウが「素敵」という意味で使われるようになったのは、古代ギリシャの女神アテネの使いだったフクロウが「幸運のシンボル」という意味合いを持つことからきているそうです。
「C’est chouette!(それは素敵だね!それはいいね!)」というフレーズは、ニコラの口癖で、映画の中でも何度も使っているので、注意して観ると面白いですよ。
まとめ
フランス人であれば誰もが知っている児童文学作品を映画にした『プチ・ニコラ』をご紹介しました。
ファミリー向け映画のため、子どもにも分かりやすいフランス語が使われています。
フランス語学習者は、映画と合わせて原作の『プチ・ニコラ』も読むことを強くお勧めします。
文章は「半過去」と「複合過去」使用したシンプルな文法と単語で書かれており、日常で使える言い回しが多いのが特徴です。
初級者の人であっても辞書を片手に読み進めていくことができるでしょう。
子ども向けとはいえ、ストーリー自体も大人が楽しめる内容になっています。
映画や原作に共通している遍的な子どもらしい姿が描かれているところ、そして本編のオープニングシーンにも使用されていた可愛らしいサンぺのイラストが人気の理由になっている映画『プチ・ニコラ』。
フランスを学んでいる人には最適の学習教材と言えるでしょう。
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。