映画『レミーのおいしいレストラン』のあらすじとコレット等登場人物の実在モデルとは

※当ブログにはプロモーションを含みますが、記事内容は公平さを心がけています。

パリで究極のフランス料理人を目指したのは、美食家の一匹のネズミだった……

こんにちは!料理が大好きなエミレーヌです。

あなたが、「こんなフランス料理を作ってみたい!」と思うような映画『レミーのおいしいレストラン』をご紹介しましょう。

この記事では、

  • 『レミーのおいしいレストラン』のあらすじと登場人物
  • 『レミーのおいしいレストラン』の見どころ
  • 登場人物の実在モデル
  • レストランの格付けを行うガイド:ミシュランとゴ・エ・ミヨ
  • フランス料理に関するフランス語

について解説いたします。

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『レミーのおいしいレストラン』のあらすじ

田舎で暮らすレミーは、美味しい料理を作ることを夢見て、日々、パリの人気シェフであるグストーの本やテレビの料理番組を見て勉強していました。

ここで言われるシェフ「Chef」とは、「料理長」の意味です。

でも、レミーは、こっそり屋根裏に住む、大所帯のドブネズミの中の一匹でした。

ある日、大家に見つかって、仲間と一緒に命からがら逃げ出す羽目になります。

地下水道を漂流し、たどり着いた先は、なんとパリのど真ん中!

憧れのグストーのレストランに遭遇し、レストラン潜入に成功しました。

レストランの厨房で、レミーは気の弱そうな見習いの青年、リングイニと出会います。

「レミーが指示を出し、リングイニが料理を作る」

そんな協力関係を作ったリングイニの料理の評判は日々高まっていき、二人の友情は深まっていくのでした。

ところが、リングイニの評判を聞いた 冷徹な批評家、イーゴがレストランの評価をするためにレストラン「グストー」へ食事をしに来ることになり、レストランのスタッフの間に動揺が走ります。

イーゴはかつて人気絶頂のグストーを酷評し、五つ星だった「グストー」の星を一つ落とした過去がある人物だったのです。

レミーとリングイニは、イーゴを納得させる料理を作ることができるのでしょうか?

予告編:英語バージョン(日本語字幕)はこちら。

予告編:フランス語バージョンはこちら。

『レミーのおいしいレストラン』の登場人物

個性豊かな登場人物をご紹介します。

レミー(Rémy)

人間の言葉を理解し、料理に必要な繊細な嗅覚を持つドブネズミ。

グストーのテレビ番組を見ていて「誰だってシェフになれる(Tout le mond peut cuisiner)」という言葉で料理に目覚めます。

究極の嗅覚を持っているレミーが生み出す料理は、正に「夢のレシピ」でした。

フランス語ではレミーのことを「Rat(ドブネズミ)」と表現しています。

よくフランス語の授業で習う「Souris」はハツカネズミです。

リングイニはレミーの名前を知ることができず、「petit chef」と呼んでいました。

アルフレッド・リングイニ(Alfredo Linguini)

母親の紹介状を持ってレストラン「グストー」に就職した、平凡でシャイな青年。

「グストー」では雑用係になり、おどおどしながら仕事をします。

実はリングイニは、グストーの息子だったのですが、彼には料理の才能は全くありませんでした。

しかし、リングイニはレミーに「諦めない」ということを教えられます。

コレット・タトゥ(Colette Tatou)

レストラン「グストー」で働く、プロ意識が高くて気が強い、唯一の女性料理人。

リングイニの教育係になって、一生懸命、不器用なリングイニを鍛えます。

そんな彼の面倒を見ているうちに、リングイニと恋に落ちてしまいました。

スキナー(Skinner)

グストー亡き後、レストラン「グストー」を仕切る料理長で、料理よりもお金儲けが好きで姑息なタイプ。

リングイニがグストーの実の息子と判明してからも、レストランを乗っ取ろうと画策します。

オーグスト・グストー(Auguste Gusteau)

かつては五つ星レストランのオーナーで、テレビ出演や本を出版していましたが、批評家のイーゴに酷評されて四つ星に降格された後に亡くなりました。

グストーは幽霊となってレミーの前に度々現れ、様々なアドバイスをします。

アントン・イーゴ(Anton Ego)

レストランの辛口批評を書く、陰鬱なオーラ全開の批評家。

重鎮イーゴの評価次第でレストラン存続の運命が決まるほど、彼の信用力は絶大です。

あの、人気シェフ、グストーのことでさえも酷評したイーゴ。

彼が再度書いたレストラン「グストー」への評価は、批評家生命を賭けた冒険でした。

『レミーのおいしいレストラン』の見どころ

それでは『レミーのおいしいレストラン』に出てくる、フランスのレストランに関係する事柄や「名言」などをご紹介していきます。

フランス料理とフランスレストランの仕組み

なんと言っても『レミーのおいしいレストラン』の見どころは、フランス料理です。

制作会社のディズニー子会社であるピクサーはアメリカにありますから、パリのレストランを扱う題材のために、パリに研修旅行に行きました。

4500枚の写真を取り、アニメーターにインスピレーションを与えるために、実際にキッチンでフランス料理を作り、その数は実に270皿にものぼりました。

また、レストランの厨房にも入り、どんな雰囲気か見学したそうで、フランス人が見ても違和感のないフランスのレストランに仕上がりになったのではないでしょうか。

『レミーのおいしいレストラン』では、ポロネギ(poireau)のスープ、オムレツ、仔牛の胸腺肉煮込み(ris de veau)、ラタトゥイユなど、典型的なフランス料理が出てきます。

Ris de veau

Ris de veau(出典:Wikipedia)

ハーブの使い方では、レミーが天才的な嗅覚で使い分けるところが描かれ、フランスパンの奏でる音を聞かせるシーン、芸術的なソースの飾り付けなどは本格的なフランス料理を体現していて、料理に必要な「五感」をフルに活用する様子がわかります。

フランスパンをねじったり、叩いたりして「パンの音を聞く」ことは、パンの焼き具合を知るために、本当にフランスのシェフはやっています。

また、厨房の様子も詳細にわたって描かれており、料理ごとに担当が分かれている様子も出てきました。

フレンチ・レストランの組織体系

実際の三ツ星レストランなどの厨房は、シェフを頂点に組織された「ブリガード・ド・キュイジーヌ(Brigade de cuisine)」と呼ばれます。

「シェフ」の下には「部門シェフ」がいて、調理師を監督します。

例えば「ソース部門」、「魚料理部門」、「肉料理部門」、「 デザート部門」部門などがあり、さらにその部門が細分化されています。

ブリガードは軍隊用語で「旅団」になりますが、まさに軍隊のように、ピリピリと緊張感のある厨房もあります。

昔のフランスの厨房では一人の料理人が、切る、煮る、焼くなどの料理をこなしており、酒を飲みながら、タバコをふかしながら料理をするという、秩序がない状態だったので、「近代フランス料理の父」と呼ばれる、オーギュスト・エスコフィエ(Auguste Escoffier)が19世紀末に考案して、このように効率的に料理を作る組織に変えました。

『レミーのおいしいレストラン』では、コレットは肉料理部門を担当していました。

20世紀初頭のレストランの厨房

20世紀初頭のレストランの厨房(出典:Wikipedia)

ピクサーは細部にこだわっていますよ!

コレットがリングイニの袖に3本の包丁を突きつけた時、コレットの右腕に火傷の跡がちらっと見えます。

エミレーヌは友人のフランス料理の料理人から、「オーブンの火傷の傷跡は、料理人の勲章なんだ」と聞いていました。

だからこのシーンを見た時、「なんてピクサーは細部まで再現しているのだろう」と、感心したのです。

リングイニは最初「見習い」部門で、厨房のサポートや雑用を行っていました。

メッセージ性の強い「名言」がいっぱい。

『レミーのおいしいレストラン』では、大人のハートにも響く名言がたくさん出てきます。

レミーがグストーのテレビ番組を見ていた時にグストーが言った言葉

「君の出身のせいで他人に君の限界を制限されてはいけない。あなたの魂があなたの限界を決める。それが真実だ。

Ne laissez personne vous limiter en raison de vos origines.Votre seule limite, c'est votre âme. C' est la vérité.」

(出典:映画『Ratatouille』フランス語バージョン)

家族とはぐれて落ち込んでいるレミーに幽霊のグストーが励ました言葉

「過去にこだわっていたら、未来がどうなるかわからなくなってしまうだろう。

Si tu fais une fixation sur le passé, tu sauras jamais ce que l’avenir te réserve.」

(出典:映画『Ratatouille』フランス語バージョン)

映画の中で、グストーはレミーを、レミーはリングイニを力づけるために「止まるな。進め」というような発言を何度もしています。

大人が見ても勇気づけられるセリフではないでしょうか?

イーゴが物語最後の方で書いた批評文

ここにも考えさせられる文章がいくつもありましたが、一つだけ引用します。

イーゴは過去にグストーが「誰でもシェフになれる。そしてリスクを取れるものが一流になる。」と言ったことを嘲笑しました。

そのことに対してイーゴは再考し、「批評家はリスクを取らずに批評だけすればいい、気楽な家業だ」と前置きをして次のようなことを書きました。

「しかしながら、時には批評家は真のリスクを取る場合がある。それは…

Il est pourtant des circonstances où le critique prend un vrai risque…… 」

(出典:映画『Ratatouille』フランス語バージョン)

この続きはネタバレになるので、ぜひご覧になって確認してみてくださいね。

『レミーのおいしいレストラン』登場人物の実在モデル

『レミーのおいしいレストラン』の登場人物には、実在のモデルがいます。

そのモデルたちをご紹介しましょう。

オーグスト・グストー(Auguste Gusteau)

グストーの人生は、ベルナール・ロワゾー(Bernard Loiseau)氏がモデルになっています。

ベルナール・ロワゾーはミシュラン三つ星とゴ・エ・ミヨで20点中19.5点を獲得したシェフで、レストラン経営の他にビジネスを多角的に行っていました。

しかし、2003年、ゴ・エ・ミヨの評価が下がった直後に自殺してしまいました。

また、「オーグスト」という名前は、「近代フランス料理の父」と呼ばれる、オーギュスト・エスコフィエ(Auguste Escoffier)の名前を使ったと考えられます。

コレット・タトゥ(Colette Tatou)

エレーヌ・ダローズ(Hélène Darroze)氏は、2008年にミシュランの三つ星をとり、2015年に「世界のベスト50」で「世界一の女性シェフ」に選ばれました。

気さくで誰にでも別け隔てなく接する性格が、コレットのキャラクターに反映されていますね。

映画『レミーのおいしいレストラン』のコレットのモデル:エレーヌ・ダローズ

エレーヌ・ダローズ氏(出典:Wikipedia 2007)

アントン・イーゴ(Anton Ego)

1900年代前半に舞台俳優として活躍したルイ・ジューヴェ (Louis Jouvet)氏です。

イーゴのギョロッとした目で怖そうな雰囲気がジューヴェ氏そっくりです。

映画『レミーのおいしいレストラン』のアントン・イーゴのモデル:ルイ・ジューヴェ

ルイ・ジューヴェ氏(出典:Wikipedia 1947年)

レストラン「グストー」

創業450年を誇る、フランスで最も古いレストランの一つ、トゥール・ダルジャン(La Tour d’Argentがモデルになりました。

トゥール・ダルジャンは長らくミシュラン三つ星を誇っていましたが、1996年に二つ星、2006年に一つ星に降格されてからは一つ星が続いて苦戦しているようです。

映画『レミーのおいしいレストラン』のレストランのモデル:トゥール・ダルジャン

トゥール・ダルジャン(出典:Wikipedia)

レストランの格付けを行うガイド:ミシュランとゴ・エ・ミヨ

フランスレストランの評価するガイドブックは2つあります。

ミシュランガイドブック

ミシュラン・ガイド

ミシュランガイド(出典:Wikipedia 1929年)

匿名調査、星3つで評価され、毎年更新されています。

  • 一つ星:近くに訪れたら行く価値のある料理
  • 二つ星:遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
  • 三つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理

ゴ・エ・ミヨ(Gault et Millau)

ゴ・エ・ミヨ:レストランのガイドブック

ゴ・エ・ミヨ(出典:Wikipedia 2018年)

ミシュラン同様、匿名調査で基本的には毎年更新されていて、20点満点の採点方式です。

また、1~5つのコック帽のマークでも表示されています。

フランス料理に関するフランス語

基本的な料理に関する、代表的なフランス語を少しご紹介します。

ブリガード・ド・キュイジーヌ:Brigade de cuisine

シェフ Chef de cuisine
部門シェフ Chef de partie
調理師 Commis
ソース部門 Saucier
魚料理部門 Poissonnier
肉料理部門 Rôtisseur
デザート部門 Pâtissier
見習い Apprenti(e)

メニュー:Carte

フランス語の「Menu」は「定食」の意味になりますから要注意!

フランス語では、メニューのことは「Carte」と言います。

アペリティフ(食前酒) Apéritif
アミューズ(先付け) Muse-gueule
前菜 Hors d’oeuvre / Entrées
魚料理-甲殻類・貝類 Poissons-crustacés
グラニテ(口直し) Granité(シャーベットのような冷製)
肉料理 Viande
チーズの盛り合わせ Plateau de fromages
デザート Dessert
プティ・フール(小菓子) Petit four(コーヒーと一緒に)
コーヒー Café

まとめ

星をとるようなフランスレストランは、味だけではなく、芸術的な盛り付け、洗練された食器、サービス、そして料理に合うワインをどれだけ揃えているかということなどが総合的に優れていなければなりません。

エミレーヌは、フランスのトップシェフのドキュメンタリーを見るのが大好きで、レストランの厨房から生まれる、至高の作品にうっとりしたものです。

どのシェフも料理に対する情熱と愛情がいっぱい。

私自身はブルゴーニュ出身の義母にフランス料理を習いました。

三つ星レストランのように洗練された料理ではないかもしれませんが、食べることが大好きな義母の、料理に対する情熱はトップシェフに負けていなかったと思います。

素材選び、ハーブの使い方、そして五感、特に素材の匂い、ワインの香りなど嗅覚を大事にすることも学びました。

『レミーのおいしいレストラン』とおんなじです。

おいしい料理は、食卓の会話に彩りを添えるのではないでしょうか。

レミーが生み出したレシピは、食べる人を幸せにするレシピでした。

この映画をご覧になったら休日などに、ちょっとお料理をしてみませんか?

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