フランス映画『ショコラ 君がいて僕がいる』のあらすじ、キャストと見どころ

19世紀末、フランスで実在した初の黒人芸人「ショコラ」の物語

白人と黒人のコンビで売り出して大成功するショコラが、人種差別によって精神的に追いつめられていく半生が描かれています。

この記事では『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』のあらすじ、キャストと共に映画の時代背景や当時のショコラたちの芸を撮影したリュミエール兄弟をご紹介します。

監督は俳優でもあるロシュディ・ゼム(Roschdy Zem)。

『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』(2016年)のあらすじとキャスト

こんにちは、エミレーヌです。

奴隷の子供だったショコラ、彼の相棒のフティット、そしてショコラを見守る看護師マリーを紹介しながらあらすじをご説明していきますね。

ショコラ(Chocolat)を演じるキャスト:オマール・シー(Omar Sy)

キューバ出身の奴隷の息子ラファエル(後のショコラ)は、両親と共にプランテーションで生活していましたが虐げられる生活に耐えられずに逃亡し、小さなサーカスに拾われました。

そこでは「カナンガ」という名前をつけられ、野蛮なアフリカ原住民として観客を怖がらせる役回りをこなす日々。

そんなショコラに目をつけた落ち目のピエロ、フティットが「白人と黒人のコンビを組もう。」と誘いかけてお笑いのパフォーマンスを始めたところ、徐々に彼等の人気が上がっていきました。

とうとう、二人はパリにまで進出して夢のようなリッチな生活を送ることになったのですが、ショコラは何かにつけて起こる人種差別に悩み、やがて酒と賭博に溺れていきます。

傷ついたショコラとフティットの間に生まれた溝をフティットは埋めることができません。

自我に目覚めたショコラが選んだ道は、フティットの望むものではなかったのです。

映画『最強の二人』(2011年)でセザール賞主演男優賞を受賞したオマール・シーがショコラを陽気に、そして哀しく演じました

ジョルジュ・フティット(George Foottit)を演じるキャスト:ジェームス・ティエレ(James Thierrée)

ショコラの相棒であるフティットは破天荒なショコラと対照的で、堅実タイプ。

成功とは裏腹に二人の考え方がすれ違っていく中で、フティットの気持ちが見えません。

しかし、フティットはショコラのことを大切に思っていました。

仕事では観客を笑わせるピエロ、私生活では孤独な側面を抱えているフティットを、ジェームス・ティエレは静かに演じ分けているので、オマール・シーと対照的にうつります。

マリー・グリマルディ(Marie)を演じるキャスト:クロティルド・エスム(Clotilde Hesme)

離婚歴がある看護師で、入院している子供達と劇場見学に来てショコラと出会いましたが、彼に対してあまりいい印象は残らなかったようです。

しかし、マリーは傷心のショコラを正面から受け止め、彼がキャリアアップできるように協力を惜しまないのでした。

そして二人がたどり着いた道は…

芯の強いマリーをクロティルド・エスムは自然体で演じています

映画『ショコラ ~君がいて、ぼくがいる~』の見どころ

映画『ショコラ ~君がいて、ぼくがいる~』の見どころをまとめてみました。

チャーリー・チャップリンの実孫、ジェーム・ティエレ

サーカスのピエロを演じるジェームス・ティエレは、あのチャーリー・チャップリンの孫で、メイクを落とした素顔がチャーリーにたいへんよく似ていています。

そのことを知っていると、コミカルなピエロを演じ、またアクロバティックな演技を披露するティエレにちょっと感動するかも知れません。

ジェームス・ティエレは両親がサーカスを経営していたので、4才の時からサーカスに出演していたそうです。

ベルエポックのフランス

『ショコラ ~君がいて、僕がいる』が活躍した時代のフランスは「ベルエポック:良き時代」(Belle époque)と呼ばれていました。

18世紀末から1914年までの戦争のない平和な時代で、フランスの商業が発展し、社交界が華やいでいた一方で「アール・ヌーヴォー(Art nouveau)」という新芸術運動が起こっていました。

伝統と革新が共存する時代に、「ショコラ」という全く新しいタイプの芸人も生まれたわけです。

アフリカ人の奴隷貿易

16世紀ごろからスペイン・ポルトガル、イギリス・フランスの国家的事業としてアフリカ人を奴隷として売買し、砂糖や綿花のプランテーションで労働させていました。

人道的な批判が起こったのは19世紀に入ってからで、フランスで奴隷制度が廃止されたのは1848年のことです。

ショコラが生きていた時代にはもう奴隷制度はなくなっていたのですが、人種差別による偏見は根強く残っていました。

本物のショコラとフティットの動画

『ショコラ ~君がいて、僕がいる』のエンディングで流れる無声映画に登場するコンビは、本物のショコラとフティットで、一世を風靡したパフォーマンスが流れていきます。

彼らを撮影した監督は、映画を発明して「映画の父」と呼ばれたリュミエール兄弟。

リュミエール兄弟は撮影と映写機能を備えた「シネマトグラフ」を発明しました。

まとめ

アール・ヌーヴォーの時代に誕生した新しいスタイルのショコラとフティットは、サーカスだけではなく小児病棟の慰問も行いました。

これは実話で、笑いによって病人を癒すという試みは、この二人が初めて行ったようです

虐待生活から抜け出したかったショコラだったのに、大成功したコンビの芸風はショコラがひっぱたかれたり蹴られたりして笑いをさそう、ショコラにとっては自虐的な芸でした。

どんなに頑張っても、スターになってもショコラへの差別がなくなることはなかったのですが、たぶんフティットは、そんなショコラの将来を見通していたのではないかと、エミレーヌは思います。そのために彼は黙って「その時」に備えていたのではないでしょうか。

実話とは異なるようですが、映画ではフティットの静かな愛情に、またマリーの献身的な愛情に救いが見える出来上がりになっています。

一緒に映画を観たエミレーヌの娘が黒人差別に嫌悪を抱く様子を見て、ショコラの時代に比べて私たちの時代は、多様な人種に寛容になったのだと思いました。

出自に関係なく、誰もが挑戦できるチャンスが与えられる時代を守っていきたいですね。

参考資料

Chocolat (clown) — Wikipédia
https://fr.wikipedia.org/wiki/Chocolat_(clown)

Foottit — Wikipédia
https://fr.wikipedia.org/wiki/Foottit

Chocolat (film, 2016) — Wikipédia
https://fr.wikipedia.org/wiki/Chocolat_(film,_2016)

James Thierrée — Wikipédia
https://fr.wikipedia.org/wiki/James_Thierr%C3%A9e

«Chocolat», le pitre est avenir – Libération
https://www.liberation.fr/cinema/2016/02/02/chocolat-le-pitre-est-avenir_1430608/

ベルエポック時代のアンティークジュエリー
https://antique-jewelry.jp/antique_episode/jewelry-ej01075.html

黒人奴隷/奴隷貿易/黒人奴隷制度
https://www.y-history.net/appendix/wh0901-054_2.html

奴隷制度廃止
https://www.y-history.net/appendix/wh1201-067.html

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