フランス映画『ボヴァリー夫人とパン屋(Gemma Bovary)』のあらすじと見どころ

19世紀フランス文学の名作とも呼ばれるギュスターヴ・フローベールの代表作『ボヴァリー夫人(Madame Bovary)』

絵本作家のポージー・シモンがグラフィックノベル化した『ボヴァリー夫人とパン屋(Gemma Bovary)』を、さらに『ココ・アヴァン・シャネル』のアンヌ・フォンテーヌ監督が映画化したことで話題になりました。

文学大好き・妄想大好きなパン屋のおじさんが、隣に偶然引っ越してきた“ボヴァリー夫妻”と小説『ボヴァリー夫人』を重ね合わせ、妄想を膨らませていく不思議なコメディ・ドラマです。

こんにちは!ユキです。

『ボヴァリー夫人とパン屋』は、なんともフランス映画らしい、官能的で美しく、ブラックユーモアたっぷりのストーリーになっています。

『ボヴァリー夫人とパン屋』のあらすじ

フランス西部の小さな村、ノルマンディーで父から受け継いだパン屋を営むマルタン(Martin)。

都会暮らしに疲れ、平穏さを求め田舎に帰ってきたのだが、気づけば7年が経過していた。

文学が大好きで、特にフローベールの傑作『ボヴァリー夫人』は彼の一番のお気に入り。

毎日平凡な日々を過ごしていたが、ある日隣の家にイギリスから1組の夫婦が引っ越してきた。

なんと彼らの名は小説『ボヴァリー夫人』の登場人物と同じ“ボヴァリー”。

苗字どころか下の名前までほとんど同じ。

この偶然に驚いたマルタンは、彼らと小説のストーリーを重ね合わせ、毎日空想にふける。

しかし気がつくと、小説の中の“ボヴァリー夫人”と現実のボヴァリー夫人が同じ人生を歩み始めていることに気がつく。

堕ちてく彼女を救いたい一心で、マルタンは驚くべき行動を取り始める。

『ボヴァリー夫人とパン屋』の見どころ

小説『ボヴァリー夫人』を読んだ事はありますか?

この映画の主人公であるパン屋の店主は、初老の男・マルタン。

小説の『ボヴァリー夫人』が大好き過ぎてのめり込み、夫婦が引っ越してきて以来、あたかも自分が小説の世界にいるかのような感覚に陥ってしまいます。

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終始、マルタンの官能的な語り口でストーリーが展開していくこの作品。

初老の男が若い英国女性をエロティックな目で追い続けるもんだから(笑)、最初は正直少し気持ち悪く、不気味な空気すら漂います。

しかし、この妄想大好き・文学大好きおじさんが、小説を朗読するように現実と重ね合わせストーリーを語っていくなかで、ユーモラスさや明るさも感じ、観ていてどんどん引き込まれていくのです。

あからさまなエロさはなく、不快感のない絶妙な加減が女性監督ならではだと言えます。

ストーリー展開はとても文学的で、一見真面目な話のようにも感じますが、実はブラックジョークたっぷりのコメディーだったりもします。

最後のオチは、第二章が始まるかのような展開に思わずクスッと笑ってしまいます。

息子・ジュリアン(Julien)のジョークに、さらなる妄想が膨らむ変態おじさんが少し気の毒な結末です。(笑)

『ボヴァリー夫人とパン屋』から学ぶフランス語

最後のシーンで、息子のジュリアンは新しい隣人についてマルタンに話します。

そこでジュリアンのジョークを信じ驚くマルタンと、それに相槌をうつジュリアンのセリフをご紹介します。

Martin: C'est hallucinant.
「そりゃ驚いた。」

Julien: Oui c’est ouf!
「あぁ、やばいだろ。」

出典:映画『ボヴァリー夫人とパン屋』

フランス語の「hallucinant」の意味とは

この “C'est hallucinant.” という表現は、直訳すると「幻覚を見ているよう」という意味になります。

「幻覚が見えているかのような驚き」、という事なので、ビックリの度合いでいうと、かなり上の方になります。

フランス語の「ouf」の意味とは

そしてジュリアンが言ったこのセリフ “C’est ouf!”

特に若者の間でよく使われる表現なのですが、“ouf” という言葉は辞書や単語帳では見かけない言葉なので、もしかすると聞いた事がないという人が多いかもしれません。

実はこの単語、“fou” の変化系で、発音を逆さにしただけなのです。

意味も、“fou” と同じく、「狂っている・クレイジー・やばい」になります。

このように並べ替えて使われている言葉のことを “Verlan”(倒語・逆さ言葉)と呼びます。

実はこの“Verlan”という言葉も“l’envers”(反対)の倒語です。

“Verlan”は他にも、“femme”(女性)のことを “meuf” と言ったり、“bizarre”(おかしい)を “zarbi” と言ったり……

本当にたくさんあります。

日本語でも、寿司のことを「シースー」と言ったり、色んな言葉を逆さにして呼んだりしていますよね。

どこの国でも同じように言葉を変化させて遊んでいるなんて面白いですね。

まとめ

フランス映画『ボヴァリー夫人とパン屋(Gemma Bovary)』のあらすじと見どころをご紹介しました。

ギュスターヴ・フローベールの小説『ボヴァリー夫人』を読んでいなくても勿論楽しめる映画ですが、観る前に大まかなストーリーだけでも理解しておくとより楽しむ事が出来ると思います。

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映画『ボヴァリー夫人とパン屋(Gemma Bovary)』は、ノルマンディーの田舎の美しさやフランスのパンの魅力もたっぷり詰まった、フランス映画らしい作品ですので、こちらもオススメス。

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