※当ブログにはプロモーションを含みますが、記事内容は公平さを心がけています。
今回は、2006年のスマッシュ・ヒット作品『モンテーニュ通りのカフェ(原題:Fauteuils d'orchestre)』を紹介します。
モンテーニュ通りにあるバー・デ・テアトル(Bar des Théâtres)周辺で繰り広げられる人間模様を通して、それぞれの問題を抱えている人たちが自分の居場所を見つけていく心温まる映画です。
2002年公開の『スパニッシュ・アパートメント(原題:L'Auberge espagnole)』に出演し、人気女優になったベルギー出身のセシル・ドゥ・フランス(Cécile De France)が主演です。
※当ブログにはプロモーションを含みますが、記事内容は公平さを心がけています。
映画『モンテーニュ通りのカフェ』のあらすじ
ブルゴーニュ地方の小さな町、マコン(Mâcon)に住むジェシカ(Jessica)は、祖母と一緒に暮らしていました。
パリのモンテーニュ通りにある高級ホテルで働いていたという話を祖母から聞かされていたジェシカは、いつしかパリに行くことを夢見るようになります。
そんなある日、祖母が老人ホームへ入所することになり、ジェシカは憧れていたパリに仕事を探しに行くことにしました。
昔祖母が働いていたモンテーニュ通りで仕事探しを始め、老舗のバー「バー・デ・テアトル」のウエイトレスとして働くことになりましたが、バーの常連さんは有名なピアニストや、テレビで人気の女優、お金持ちのアートコレクターなど一癖も二癖もある人たちです。
一見、誰しもが憧れる環境にいる彼らですが、それぞれに悩みを抱えていました。
そんな彼らは、ジェシカの素朴で純粋な言葉によって、人生が少しずつ変わっていきます。
ロケ地はパリで一番高級感漂う通り「モンテーニュ通り」
パリでもっとも有名な通り「シャンゼリゼ通り」のすぐ近くにある「モンテーニュ通り」は、映画『モンテーニュ通りのカフェ』でもご覧いただける通り、世界的ハイブランドのお店が軒を並べ、高級ブランド品のお買い物を楽しみたい人が集まる高級感漂う通りです。
ここでは3ヶ所のロケ地をご紹介します。
『モンテーニュ通りのカフェ』のロケ地「バー・デ・テアトル」
ジェシカが働いていたバー・デ・テアトルは、1945年に創業された実際に存在するカフェバーです。
ジャン・グージョン通りとモンテーニュ通りに位置していましたが、モンテーニュ通り側の敷地がホテル・モンテーニュ(Hôtel Montaigne)に買い取られ、現在では店舗の広さが映画の撮影当時の半分になってしまいました。
Bar des Théâtres:44 Rue Jean Goujon, 75008 Paris
『モンテーニュ通りのカフェ』のロケ地「シャンゼリゼ劇場( Théâtre des Champs-Élysées)」
1913年に建てられたシャンゼリゼ劇場は、フランス国立管弦楽団とラムルー管弦楽団の2つのオーケストラが本拠地であり、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のパリ本拠地でもあります。
この他に敷地内にはコメディー・デ・シャンゼリゼ(Comedie des Champs-Élysées)とステュディオ・デ・シャンゼリゼ( Studio des Champs-Élysées)と合わせて3つのホールがあり、お芝居、クラシックからコンテンポラリーダンス、歌やピアノのリサイタル、ポップやロックミュージックのコンサート会場としても有名です。
Théâtre des Champs-Élysées:15 avenue Montaigne, 75008 Paris
『モンテーニュ通りのカフェ』のロケ地「ドゥルーオ・オークション・ハウス(Les ventes aux enchères des maisons de ventes de Drouot)」
アートコレクターのジャック(Jacques)が生涯を通して集めたアート作品を売ったオークション会場「ドゥルーオ・オークション・ハウス」は、オテル・ドゥルーオ(Hôtel Drouot)からアクセスできます。
1852年より営業している老舗のオークション会場で、誰でも無料で自由に見学できます。
Hôtel Drouot:9, rue Drouot 75009 Paris
登場人物の性格が垣間見えるセリフ
田舎から出てきたジェシカは、バー・デ・テアトルで働きながら沢山の有名人やお金持ちと出会うことで、彼らがいかに彼ら自身で人生を複雑にしているかということに気づきはじめました。
夢見ていたパリとは違うけれど、自分の居場所を見つけてきたジェシカと、アートコレクターのジャックの息子で現実的なフレデリック(Frédéric)の性格が垣間見れるセリフを見てみましょう。
フレデリック: J’sais pas. Tu cherches quoi?
(わからないけど。君は何を探してるの?)ジェシカ: Une bonne place à l’orchestre, ni trop près, ni trop loin.
(近すぎもせず、遠すぎない、ちょうどいいオーケストラ席)フレデリック:Il y a un siège de libre?
(空いてる席があるの?)出典:『モンテーニュ通りのカフェ』
ジェシカのセリフのオーケストラ席(Une bonne place à l’orchestre)は、舞台に最も近く、一般的に劇場の中でも高価な席です。
しかし、席選びは難しく、場所によっては舞台が見えなくなってしまいます。
フレデリックの「君は(パリで)何を探してるの?」という質問に対し、ジェシカは「(パリとの関係は)近すぎもせず、遠すぎない、ちょうどいい(距離をとった、パリという舞台の)オーケストラ席」と自分の心証を答えています。
このジェシカの言葉から、原題の『Fauteuils d'orchestre(オーケストラ席)』が表しているように、「それそれの人がそれぞれ自分にあったオーケストラ席を見つけよう」こそ、この映画のテーマになっていることが明らかになります。
パリ生まれでパリ育ちの「パリという舞台の演者」の立場にいる現実的なフレデリックは、ジェシカのメタファーが分からずに「(実際に、劇場で)空いてる席があるの?」と答えているのが、ちょっと抜けていて面白いところです。
まとめ
パリで最も有名な高級街の一つ、モンテーニュ通りで繰り広げられる面白くもちょっとホロリとくる人間ドラマを描いた映画『モンテーニュ通りのカフェ』。
撮影に使われたカフェバーのバー・デ・テアトルは、現在では半分の広さになり撮影当時とは雰囲気が変わってしまいましたが、現在も営業しており地元の人や劇場関係者に愛されています。
パリの素敵な街並みと、いつも文句ばかり言う愛すべきパリジャンを描いた本編で、ジェシカがパリに自分の居場所を見つけていく姿は、フランスに住む留学生の姿に重ねて見ることもできるかもしれません。
内容も難しくなく気軽に見ることができる作品なので、フランス語の学習としてだけでなく、高級感があるパリの雰囲気を味わいたい人にもオススメな映画です。
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。