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フランス語で「ありがとう」は、誰もがよく知っている“Merci”ですよね。
フランス語を学習している皆さんならきっと、一度はこう思ったことがあるはずです。
「“Merci de”と“Merci pour”の違いってなんだろう?」
両者とも後に名詞をとることができるのですが、使い分けってあるのでしょうか?
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“Merci de”と“Merci pour”の違いって?
まず始めにお伝えしておきます。
この2つは、後に名詞が続く場合にはどちらを使っても間違いにはなりません!
Merci pour votre aide.
と言っても、
Merci de votre aide.
と言ってもOKです。
アカデミー・フランセーズも、この2つに関してはっきりとした区別をしていないそうなので、好きな方を使っていただいて大丈夫です。
安心しましたか?
ただでさえ覚えることが多いフランス語なので、できるだけややこしい話は避けたいですもんね。
ですが、フランス人たちからすると、多少ニュアンスの違いがあるようなのです。
もう一度言いますが、どちらを使っても間違えではないんですよ!
でも、話すならよりネイティブに近づきたい!と言うことで、ここでは“Merci de”と“Merci pour”の微妙な違いについて紹介しようと思います。
丁寧なのは?口語的なのは?
どちらを使っても間違えではないようですが、
“Merci de”= より丁寧な表現
“Merci pour”= 口語的な表現
というイメージがあるようです。
これは、“Merci de”がもともとあった表現で、“Merci pour”は後からできた表現だからだと言われています。
過去と未来で使い分ける?
“merci de”= 未来のことに対するお礼
“merci pour”= 過去のことに対するお礼
例えば、「メッセージを頂きありがとうございました」と言う場合には、メッセージはもう既に届いていることなので、
Merci pour votre message.
と言うのが、ニュアンスとしては正しいと思われています。
Merci de votre message. という表現はおかしい!と考える人が多いようです。
具体的?抽象的?
お礼の対象が具体的なことか、抽象的なことかで、“de”を使うか“pour”を使うかが変わることがあるようです。
“Merci de”= 抽象的なこと。例えば bonté(心遣い), aide(手伝い・助け), gentillesse(親切さ), honnêteté(正直さ), etc...
例)Merci de votre présence. (ご出席いただきありがとうございます)
“Merci pour”= 具体的なこと。例えば message(メッセージ), cadeau(プレゼント), lettre(手紙), etc...
例)Merci pour tout ce que tu as fait pour moi. (私のために色々としてくれてありがとう)
動詞が続く場合は、必ず “Merci de”
あとに動詞が続く場合、「相手のしてくれた行動」に対して感謝したい時には、必ず“Merci de”が使われます。
例)
Merci de m’avoir invitée chez toi hier. (昨日は自宅に招待してくれてありがとう)
Merci d’être avec moi. (一緒にいてくれてありがとう)
“Merci de”の後は必ず動詞の不定詞が来ること、また、終わったことに対しては、複合過去の時制にすることを忘れないでください。
複合過去の時制となる場合には、過去分詞の性数一致にも気をつけてくださいね。
“remercier de”と“remercier pour”の違いは?
“Merci”の動詞である“remercier”ですが、こちらも同じように“remercier”の後に“de”か“pour”をとります。
「まさか“Merci”の時とは違った使い分けがあるのでは…」とお思いの方もいるかもしれませんが、“Merci”の時と全く同じですので安心してくださいね!
例)
Je te remercie pour le cadeau. (プレゼントをくれてありがとう)
Je vous remercie de votre gentillesse. (親切にしていただきありがとうございます)
おまけ:男性?女性? “Merci” の性別と使い分け
“Merci”にも男性、女性の使い分けがあるのをご存知でしたか?
みなさんがいつも使っている、「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えるための“Merci”は、実は男性形の“Merci”なのです。
では、女性形の“Merci”はどのように使うかというと…
みなさんは、このような表現を目にしたことはありますか?
Etre à la merci de...
Merci の前に“La” がついているので、女性形だということが分かります。
この“à la merci de”という慣用句はあまり聞いたことがないかもしれませんが、言い換えると“sous la menace de” “au pouvoir de” “dépendre de”となり、
つまり、“〜の脅威の下にある” “〜の支配下にある” “〜に依存している”などという意味になります。
例)
L'homme est vraiment à la merci de la nature. (人間はまさに自然に依存している)
なぜ男性・女性の区別があるのか、なぜそれぞれで意味が違うのか… 不思議ですよね。
まとめ
“Merci de”と“Merci pour”の違いについて説明しました。
こちらの記事を書く上で、私なりに様々なフランス語の記事を読み、調査をしました。
しかし、どの記事を読んでもこの2つの違いは曖昧で、フランス人同士でさえも使い分けに関しては意見が分かれており、結論を出すには非常に悩ましいものでした。
どちらを使っても間違いではないですし、より丁寧か、過去か未来かなど色々書きましたが、私の経験上そのような区別はないように思います。
また、最近の人たちはどのようなシチュエーションにおいても“Merci pour”を好んで使う傾向にあるような気がします。
人によって様々な見解があるようですが、上述した違いも頭に入れておくと役に立つ日がくるかもしれません。
フランス文学部出身|DELF B2、仏検準一級
仏検準1級にはフランス語を勉強し始めて2年で合格。
大学卒業後はワイン商社でフランス産ワインを担当。
嫌なことは寝て忘れるオプティミスト。
好きなことや将来の夢などについては、詳しいプロフィールでご紹介しています。