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フランス語の勉強をしている人であれば、「仏検」という言葉を目にしたことがある方も多いでしょう。
仏検は『実用フランス語技能検定』の略で、フランス語能力を客観的に証明することができる検定試験です。
英検のフランス語版のようなものですね。
しかし、英検は受験したことがあっても、「仏検」を受験するかどうかは迷っているという人も多いのではないでしょうか?
この記事では、そんな風に思っている方に、仏検受験のメリットとデメリットをご紹介いたします。
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こんにちは!アリスです。
前半では、全ての級に共通するメリット・デメリットを、後半では、2級以上の級を受験するメリット・デメリットを書いていきます。
仏検受験のメリット1. 日本人向けなので対策が立てやすい
仏検は公益財団法人フランス語教育振興協会(APEF)が運営している、フランス語の実力を測るための日本独自の検定試験です。
英検と同様に、仏検も1級から5級に分けられて「級」でフランス語能力が評価されます。
仏検は日本人向けの試験ですので、日本でも対策本や過去問題集といった参考書を見つけやすく、試験問題が全てフランス語のDELF・DALFに比べると試験対策を立てやすいです。
仏検受験のメリット2.自分のフランス語能力を客観的に証明できる
仏検は自分のレベルを客観的に知る良い機会になります。
1級から5級まで7つの級に分かれているので、自分の学習状況に応じて、受験級を選ぶことができます。(参考:7つの級の内容と程度)
仏検に合格していると、第三者に自分のフランス語能力がどれくらいなのかを簡単に証明できます。
特に高校受験や大学受験、更には就職活動の時など、履歴書の資格欄に仏検合格を記載できることはプラスになるでしょう。
仏検受験のメリット3.学習のモチベーションの維持につながる
仏検合格というはっきりとした目標ができるので、モチベーションの維持に役立ちます。
合格すれば、次のステップとしてもう一つ上のレベルを目指すことができます。
たとえ不合格になったとしても、「弱点を強化して、次は合格する!」というモチベーションをキープすることができるに違いありません。
仏検受験のメリット4.大学の単位取得、交換留学に向けた学内選考で有利に!
フランス語検定に合格すると、級に応じて、単位を認定してくれる大学が増えています。
たとえば、明治大学では、仏検4級取得で1単位、3級取得で2単位、準2級取得では4単位が認められます。(参考:外国語外部検定認定制度)
さらに、交換留学制度の選考においても、仏検は有利に働きます。
留学に向けての学内選考で、仏検合格を重要な選抜要件としている大学は多くあります。
フランス語圏に海外留学してみたいと思っているのであれば、仏検受験を積極的に検討することをおすすめします。
仏検受験のメリット5.就職や転職に有利になる
外国語を使う頻度の高い業界や外資系企業などを目指すのであれば、仏検に合格していることは有利に働きます。
特に仏検2級以上を持っていると、フランス語でのコミュニケーション力を客観的に証明するのに役立ちます。
たとえ、仏検3級や4級であっても、履歴書の趣味欄や特技欄などに記入することで、学生時代、語学に取り組んだ努力や意欲を自己PRすることができるでしょう。
仏検受験のデメリットとは?
いい事づくしの仏検受験のように見えますが、実はデメリットもあります。
以下では仏検受験のデメリットを紹介しますので、申し込む前に確認してみてくださいね。
仏検受験のデメリット1.合否がはっきり出る
仏検では、合格、不合格が明確に出ます。
合格であれば、達成感が得られるのですが、不合格となった時には、がっかりしてフランス語学習に挫折してしまうことになりかねません。
万一不合格してもフランス語学習にくじけない強さを持っていることが大事になります。
仏検受験のデメリット2.日本国内でしか通用しない
仏検は日本独自の検定試験なので、日本国外では通用しないことがあります。
フランスの大学や企業などに仏検を持っていると伝えても、残念ながらフランス語力の証明にはならないことがあります。
将来、特にフランス語圏で就職したいと考えている方にとっては、仏検受験だけではなく、フランス国民教育省が認定していえるフランス語資格の、DELF(デルフ・フランス語学力資格試験)/DALF(ダルフ・フランス語上級学力資格試験)の受験も併せて検討するのが良いでしょう。
仏検で上位の級を受験するメリットとデメリットとは
フランス語学習中級者以上の方であれば、仏検2級以上の上位の級に挑戦することを考えている方も多いことでしょう。
以下では、仏検2位級以上の上位級を受験するメリットとデメリットについてご紹介します。
仏検2級受験のメリットとデメリットとは?
仏検2級受験のメリット
仏検2級に合格できると、「フランス語が使えるようになったという実感」を客観的に証明する事ができるようになります。
合格するために必要なレベルは、「日常生活や社会生活を営む上で必要なフランス語を理解し、一般的なフランス語を聞き、話し、読み、書くことができる」です。(参考:試験内容・試験形式)
いくら「フランス語ができる」と自負していても、仏検3級以下だと第三者からは「まだまだだな」と思われてしまします。
名実ともに「フランス語ができる」と認めてもらうのに、2級合格がその第一歩になります。
仏検2級受験のデメリット
仏検準2級までと比べて、「合格の難易度が格段に上がる」点が挙げられます。
例えば、2019年度の最終合格率は、春31.1%、秋32.3%となっています。
出願者数 1次試験 1次試験免除者数 2次試験 受験者数 合格者数 合格基準点 合格率 受験者数 合格者数 合格基準点 最終合格率 1級 638名 528名 68名 93点 12.9% 12名 77名 61名 34点 11.4% 準1級 1,209名 1,083名 259名 67点 23.9% 30名 272名 214名 23点 19.5% 2級(春) 1,446名 1,154名 426名 59点 36.9% 66名 462名 370名 20点 31.1% (秋) 1,618名 1,414名 533名 63点 37.7% 56名 563名 467名 20点 32.3% 準2級(春) 1,503名 1,288名 800名 56点 62.1% 44名 807名 661名 18点 51.0% (秋) 1,721名 1,447名 866名 56点 59.8% 115名 948名 809名 19点 52.9% 3級(春) 2,770名 2,196名 1,120名 55点 51.0% (秋) 3,399名 2,999名 1,683名 60点 56.1% 4級(春) 2,017名 1,786名 1,453名 60点 81.4% (秋) 3,235名 2,925名 2,192名 60点 74.9% 5級(春) 1,626名 1,463名 1,224名 60点 83.7% (秋) 2,470名 2,284名 2,027名 60点 88.7%
仏検2級は、受験者の3人に1人しか受からない水準です。
準2級までは受験生の半数以上が合格できたのに、一気に狭き門となります。
自分の弱点をしっかり見極めた計画的な学習が必要になってくるので、仏検対策にかける時間が多く必要になってきます。
場合によっては、3級に合格してから2級に合格できるまでに何年もかかる場合もあります。
その間、他のやりたいことをちょっと我慢しなければならなくなるのがデメリットと言えるでしょう。
仏検準1級のメリット・デメリット
仏検準1級のメリット
「新聞・雑誌などの解説・記事を読み、その大意を要約できるだけのフランス語運用能力と知識があること」を客観的に証明できるようになります。(参考:仏検の各級の詳細)
ビジネスレベルの知識と会話力が求められ、フランス語専攻の大学生でも在学中の取得はかなり難しいレベルになります。
難関な試験である分、仏検準1級を持っていると就職活動や転職活動の際に高い評価が得られることが期待できます。
仏検準1級受験のデメリット
仏検準1級になると、試験内容が相当難しくなります。
仏検2級までは趣味や習い事の延長線上で合格できることもありますが、準1級に合格するためには相当の犠牲を払って受験に挑む覚悟が必要が出てきます。
特に大変なのが、仏検2級までにはなかった「和文仏訳」の問題です。
これにより準1級の難易度が一気に上がっています。
さらに、2次試験での面接試験も2級に比べると難しくなっています。
仏検準1級では、直前に与えられたテーマについて、自分の考えを述べると形式になるのですが、そのテーマは、政治や経済、環境問題といった社会問題からとられていることが多いのです。
一般的なフランス語用語のみならず、時事問題に関するフランス語の語彙を増やす必要があります。
もちろん単語を知っているだけでは合格できず、与えられてテーマについて、自分の意見をフランス語で論理的に話す力も強化することも大切です。
仏検準1級に合格するには、相当なフランス語学習時間が必要になりますので、趣味などのプライベートの時間を削って、相当な時間をフランス語学習に当てることが必要になります。
しかも、仏検準1級からは試験が年に1回しか受けられなくなります。
しっかりと学習計画を練って、試験対策に臨むことが大切になるでしょう。
仏検1級のメリットとデメリットとは
仏検1級のメリット
仏検1級を取得していると、通訳案内士の外国語筆記試験が免除になります。
通訳士を目指している人には、大きなメリットになるでしょう。
仏検1級合格のために必要となる水準は下記になります。
『「読む」「書く」「聴く」「話す」という能力を高度にバランスよく身につけ、フランス語を実地に役立てる職業で即戦力となる。』
試験内容としても高水準のフランス語力が要求され、仏検1級合格は日本最高峰のフランス語力を有する客観的な証明になります。
試験内容:
読む 現代フランスにおける政治・経済・社会・文化の幅広い領域にわたり、新聞や雑誌の記事など、専門的かつ高度な内容の文章を、限られた時間の中で正確に読み取ることができる。 書く 与えられた日本語をフランス語としてふさわしい文に翻訳できる。その際、時事的な用語や固有名詞についての常識も前提となる。 聞く ラジオやテレビのニュースの内容を正確に把握できる。広く社会生活に必要なフランス語を聞き取る高度な能力が要求される 話す 現代社会のさまざまな問題について、自分の意見を論理的に述べ、相手と高度な議論が展開できる。 文法知識 文の書き換え、多義語の問題、前置詞、動詞の選択・活用などについて、きわめて高度な文法知識が要求される。 出典:APEF - 仏検1級の詳細
ビジネスレベルでの知識と会話力が求められ、大学在学中での取得はフランス語圏からの帰国子女でもかなり難しいレベルになります。
『仏検1級合格者の会』の会員の話によると、大学在籍中に仏検1級に合格できている人はごく僅かのようです。
仏検1級合格者の多くは社会人になってからもフランス語に関わる仕事に就いている方が多く、大学在学中に仏検1級に合格している超少数派は、外国語大学や早慶上智出身のフランス語圏からの帰国子女が多いとのこと。
そして、フランス語圏からの帰国子女でないのに仏検1級に合格できている大学生の大多数は東大生か京大生。
「さすが。。。」の一言です。
仏検1級の合格者は、年間59人~77人しかいません(2010年~2019年実績、参考:仏検合格者推移)。
仏検は財団法人フランス語教育振興協会が1981年から始めた検定試験ですので、年間60~80名前後の合格者しかいないということは、累積でも2280~3040名の合格者しかいない計算になります。
10人に1人程度しか受からない超難関である上、仏検1級ホルダーの中にはすでに退職されている方も多いため、現役の仏検1級ホルダーは極少数で希少性が高いです。
仏検1級を持っていれば、フランス語に関係する企業への就職活動や転職活動において、強烈なアピールポイントになることが間違いなしです。
仏検1級のデメリット
仏検1級合格を目指すデメリットは、1級合格のために必要とされる努力や犠牲が非常に大きい事です。
仏検1級に合格するためには多大な勉強量が必要になるので、勉強時間を確保するために払う犠牲を上回るリターンがどの程度見込めるを、よく考えるのが良いでしょう。
年に一回しか受験チャンスがない上、合格率は非常に低いので、合格までに何年もかかることを覚悟する必要があるかもしれません。
まとめ
この記事では、仏検受験のメリットとデメリットをご紹介いたしました。
受験そのものにはメリットとデメリットの両面がありますが、仏検合格を目指す努力は裏切りません。
たとえ不合格になったとしても、フランス語力は、勉強量に比例して必ずつくことは確かです。
仏検受験を今後のフランス語学習の目標の一つに加えてみるのはいかがでしょうか。
仏検2級は独学で合格できる?合格に必要な勉強時間と効率的なツールを駆使した勉強法とは
慶應義塾大学文学部出身|英語教師・日本語教師
趣味は旅行とカフェでゆっくり過ごすこと。
座右の銘は「どの雲にも銀の裏地がついている」。
どんなに辛い状況でも、その先には明るい光が待っていると思うと「もう一歩先に進もう」と思えます。
フランス語を勉強し始めたきっかけについては、詳しいプロフィールでご紹介しています。