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フランスのアニメーション映画『ディリリとパリの時間旅行(フランス語: Dilili à Paris)』(2018年制作)をご覧になったことはありますでしょうか?
アニメと言うと日本のものが世界でも人気ですが、フランスでも世界的に有名なアニメーション映画を数多く制作しており、『キリクと魔女』『アズールとアスマール』を制作したミッシェル・オスロ監督は、フランス・アニメーション映画界の巨匠と呼ばれています。
今回ご紹介する『ディリリとパリの時間旅行』は、ミッシェル・オスロ監督が第44回セザール賞アニメーション映画賞を受賞した作品で、期待を遥かに上回る名作です。
この記事では『ディリリとパリの時間旅行』のあらすじと見どころをご紹介します。
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映画『ディリリとパリの時間旅行』が観れる動画配信サービス
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『ディリリとパリの時間旅行』のあらすじ
ニューカレドニアに住むディリリは、遠く離れた憧れの地パリに行き、19世紀末の最もパリがパリらしく華やかで美しかったベル・エポック(Belle Époque)の世界を訪れます。
パリで知り合った心優しい友人オレルと共にパリの様々な芸術家に出会い、その魅力に魅せられたかと思うと、奇妙な事件に巻き込まれてしまいます。
苦戦しながらも仲間達と協力し合い解決するという少しドキドキハラハラさせられる物語となっています。
『ディリリとパリの時間旅行』の魅力はミッシェル・オスロ巨匠の色彩豊かで幻想的な映像美
ミッシェル・オスロ監督の手掛ける映像作品は色彩豊かで幻想的であるところや、影絵を思い起こさせるようなシルエットの美しさが特徴的です。
本作はパリの美しい景色がみどころですが、ミッシェル・オスロ監督自身が撮影した写真をもとに加工して細部まで再現してあるそうです。
そのため立体的な背景部分と平面的な人物と一見ちぐはぐに感じるように思いますが、そこは巨匠の腕の見せ所で両者がうまくまじりあい、見るものをひきつけます。
最後のエッフェル塔でのシーンは本当に夢のように幻想的で見応えがあります。
また、浮世絵などのジャポニズムの影響を大きく受けたこの時代にちなみ、浮世絵師の歌川広重と葛飾北斎の浮世絵を作中に取り入れているそうです。
それらを探してみるのも、ひとつの楽しみになるのではないでしょうか。
芸術が花開いた19世紀末、パリのベル・エポックとは
ベル・エポックとは、19世紀末から第一次世界大戦勃発(1914年)に至るまでの、パリをはじめとする近代都市空間で文化と経済の繁栄が謳歌された時代を指すことが多く、1900年の第5回パリ万国博覧会が最も栄えたピークの一つでもあります。
印象派、後期印象派、象徴主義、アールヌーボー、キュビズム、フォービズムなど様々な芸術運動が展開された時期でもあります。
本作ではクロード・モネ、オーギュスト・ルノワール、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、アンリ・ルソー、トゥールーズ・ロートレックなど錚々たる有名画家が名画とともに登場します。
フランス文化に興味のある方なら一度は聞いたことのある芸術家もいるのではないでしょうか。
この時代の芸術をなんとなく知っている方にとっても今一度おさらいするにはもってこいの作品です。
最盛期のムーランルージュ、オペラ座やカフェで芸術家達と触れ合うディリリ。
フランス芸術が好きな人なら羨ましくなってしまうこと間違いなしです。
私は学生時代に西洋美術史を学んでいたので、叶うことならディリリのようにベル・エポックのパリに行って芸術家と交流してみたいものです。
特に会いたい芸術家は、サラ・ベルナールです。
ベル・エポックに活躍した時代を象徴する舞台女優で数々の芸術家を見出し、芸術家にインスピレーションを与えたミューズです。
『ディリリとパリの時間旅行』で紹介される美しいパリの街並み
ディリリは友人である配達人のオレルと共に、パリ内を配達用の自転車で文字通り動き回ります。
上述しました芸術に縁のある場所はもちろんのこと、有名なモニュメントや観光地を網羅するように、「パリらしい場所」をこれでもかというほど見せてくれます。
コロナ禍で旅行がままならない時、パリのいろんな場所を見せてくれるこの作品で少しだけ旅行気分を味わうのも一つの楽しみ方なのではないでしょうか。
『ディリリとパリの時間旅行』が切り込む人種差別問題
冒頭のシーンで、フランス人との混血であるディリリは博覧会での「見世物」としてニューカレドニアの原住民の生活様式を演じています。
同じ人間にも関わらず、博覧会の見世物として利用するすこし衝撃的でもある場面です。
ベル・エポックは素晴らしい文化が発展した時代ではありますが、白人至上主義の時代でもあり、こういった差別意識をミッシェル・オスロ監督は痛烈に批判しているように感じます。
『キリクと魔女』でもアフリカの男の子を主人公にしているように、ミッシェル・オスロ監督は人種や肌の色に優劣はなく、「勇敢で聡明な子供たちはどんな子供でも主役になれる」というメッセージを込めていると思います。
『ディリリとパリの時間旅行』が問題提起するフェニミズム
ディリリが巻き込まれてしまう大事件、女の子の誘拐事件では、さらわれて地下で奴隷のような生活を送る女の子たちをディリリが鼓舞し、一致団結して集団脱出を試みます。
捕らえられた女の子たちの描写はとても具体的で、恐怖を感じさせる部分があります。
現在の世界中で巻き起こる男性主義社会に対抗するフェニミズム問題にも通じるこの事件は、この作品を見る子供たちだけでなく、その親達の価値観にも影響を与えることでしょう。
丁寧で礼儀正しいフランス語が学べる珍しいフランス映画
ディリリはとても丁寧で美しいフランス語を話します。
ニューカレドニアでは流刑されていた文学者・革命家ルイーズ・ミシェルからフランス語を習い、フランスへ向かう船の中では伯爵夫人から美しい言葉遣いに触れたたためです。
昨今のフランス映画で聞こえてくるようなスラングばかりのフランス語とは縁のないディリリの言葉遣いは、フランス語の持っている本来の響きの美しさ、高潔さが感じ取られ、フランス語学習者にはとてもいいお手本になるでしょう。
まとめ
ベル・エポックの美しいパリの街並みを舞台にし、様々な見どころがある映像美にあふれた本作品は、フランスが好きな方や芸術に関心がある方なら満足するに違いない一作です。
フランスではジブリのアニメーション映画を筆頭に日本のアニメが大人気ですが、日本でも『ディリリとパリの時間旅行』をきっかけに、フランスのアニメーション映画が普及していくことを期待しています。
一見の価値ありですので、まだ観たことない方はぜひご覧ください。
アニメのため使われているフランス語も比較的易しく、ディリリが美しくきれいなフランス語を話すので、とても聞きやすいため、リスニング教材としてもおすすめです。
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