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母親を守れるのは僕だけだった!
テレビやネットニュースなどでドメスティックバイオレンス(以下、DV)の話題を耳にすることが増えてきました。
内閣府のホームページによると、日本では2019年のDV相談件数は約12万件だったのに対し、2020年と2021年では各年約18万件と発表されています。
フランスでは2020年から2021年、感染症対策によるロックダウンによって自宅隔離が余儀なくされ、DVの相談が爆発的に増えたと言われています。
そんな中、フランスで再び注目を集めたのがサスペンス映画『ジュリアン(原題:Jusqu'à la garde)』です。
2017年に公開された本作品は、離婚する夫婦とその間に挟まれた子どもたちの姿をリアルに描きフランスで大ヒットしました。
この記事では、映画『ジュリアン』とフランスのDVの現状について紹介していきます。
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セザール賞5部門を受賞した問題作、映画『ジュリアン』のあらすじ
離婚した元妻ミリアム(Miriam)と元夫アントワーヌ(Antoine)。
長女ジョセフィーヌ(Joséphine)と長男ジュリアン(Julien)の親権について話し合うため、お互いの弁護士と共に判事の元へ。
アントワーヌの家庭内暴力が根底にあったため、子どもたちを父親に合わせたくないと思っていた母親。
家を出てから、二人の子どもたちと共に実家に戻っていたミリアムですが、失業中であったことから親権が共同になってしまいます。
そして未成年のジュリアンは、隔週末を父親のもとで過ごすことが義務付けられてしまいました
暴力的な父親にどうしても会いたくないジュリアンは、初めての面会日である週末に「体調が悪い」と言い始めるのですが……
フランスのDVの現状とは
フランス男性は優しいというイメージを持っている人も多いと思いますが、実は、DVで悩む女性、そして男性が増えています。
フランスでもタブー視されているDV問題
本作品の監督であるグザビエ・ルグラン(Xavier Legrand)が「家族の問題」をテーマにした脚本を書き始めた時。
家庭内の悲劇を調べていくうちに、DV問題にたどり着きます。
そして、被害者は自分が被害者であると周りに知られることを恐れていること、そして友人や親類も、面倒なことに巻き込まれたくないという思いから夫婦の問題に関与しないことが、DVの話題をタブーにしていることを知るのです。
そこで、映画というエンターテーメントを使ってDVの問題提起ができないか、という発想が本作品を制作するきっかけの一つになりました。
2日半に一人がDVで亡くなっている
フランス内務・海外領土省の調べによると、2021年にDVで亡くなった成人の数は143人(女性122人、男性21人)に上ります。
また、2021年の夫婦間もしくは元夫婦間での暴力の被害届は20万8000件にも上り、2020年に比べ21%も上昇したということです。
世代別に見る被害者と加害者
DV被害の届けを出した人の85%が女性。
年齢別で見ると、被害者で最も多い世代が30代〜49歳までの女性で、被害届全体の43%にあたります。
加害者の場合86%が男性によるもので、こちらも被害者と同様、最も多い世代が30代〜49歳までが37%、70歳以上が25%と報告されています。
・フランス内務・海外領土省公式サイト
・フランス政府公式サイト
まとめ
2020年と2021年の感染症対策によるロックダウンにより、外出規制がかかったことによりDVの相談が爆発的に増えたフランス。
その期間に再び注目を集めたのが、2017年の大ヒット映画『ジュリアン』。
離婚する夫婦、そして子どもたちの姿をリアルに描いた本作品は、セザール賞の最優秀作品賞、最優秀主演女優賞、最優秀オリジナル脚本賞、最優秀モンタージュ受賞、そしてセザール・デ・リセアンの5部門を受賞しています。
タブー視されている家庭内暴力の問題をテーマにしたストーリー展開は、まさにスリルとサスペンス!
フランス語学習者はもちろんのこと、フランス映画好きにはぜひ見ていただきたい作品です。
さて、本作品で恐怖の父親を演じたドゥニ・メノーシェ(Denis Ménochet)。
フランソワ・オゾン監督(François Ozon)の『グレース・オブ・ゴッド 告発の時(Grâce à Dieu)』では、幼少時代のトラウマを抱えたフランソワ(François)役を見事に演じています。
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フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。