映画『Tanguy』のあらすじと、フランスで増え続ける「タンギー現象」とは

タンギー

やっぱり実家って最高!

学校卒業後、仕事をしながら気ままな独身生活を送り、20代後半になっても親と同居。

このようなパラサイト・シングルは、日本独自の現象だ、と思われている方が多いのではないでしょうか?

実はフランスにも多く、「タンギー」と呼ばれています。

しかも年々数は増え続け、2022年現在、フランスの社会問題にもなっている「タンギー現象」を生んでいます。

こんにちは!19歳で自立したカタクリです!

この記事では「タンギー現象」の語源となった2001年の大ヒットコメディ映画『Tanguy(読み方:タンギー)』をご紹介します!

日本では未公開の作品です!

2009年に大ヒットした映画『プチ・ニコラ(Le Petit Nicolas)』で、お金持ちのおぼっちゃまジョフロワ(Geoffroy)の世話係を演じた舞台俳優のエリック・ベルジェ(Éric Berger)が主演のタンギーを見事に演じ、2002年セザール賞の有望男優賞を受賞しました。

それでは早速フランス映画『Tanguy』のあらすじと、フランスの「タンギー現象」について解説していきます!

子どもには天国、親には地獄?!映画『Tanguy』のあらすじ

パリ市内のとある病院で若い夫婦、エディットポールの間に生まれたタンギー

かわいいかわいい一人息子にエデットは「いつまでも私たちと一緒にいていいのよ」と優しく言葉をかけます。

その28年後。

立派な青年へと成長したタンギーは、フランスの超エリート校であるパリ政治学院(Sciences Po)と高等師範学校(l'ENS Ulm)で学位を収めた後、フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)で中国語の教鞭をとりつつ、「古代中国における主観性の概念の出現」に関する論文を準備する博士課程の学生。

中国語と日本語が堪能なタンギーは、ある日、友達主催のホームパーティーで出会った日本人女性をナンパし、家に「お持ち帰り」して一夜をともにします。

翌日、朝食を仲睦まじくとるタンギーと日本人女性の前に現れたのは、エディットポール

そう、28歳、高学歴、高収入の未婚のタンギーは、まだ親元に暮らしていたのです。

マルグリット(Marguerite)という彼女がいるにも関わらず、週末は両親やその友人たちと一緒にテニスを楽しむ方が大好きなタンギー

「実家は天国!」という彼の思いとは裏腹に、好きな時間に出入りし女性を部屋に連れ込み、わがまま気ままに振る舞う息子に対し「いい加減親離れして自立してくれ!」と願う両親。

学校を卒業するまでの我慢と思っていた矢先、タンギーは「学業を延長させる」と宣言したのです!

それを聞いたエディットポールは、「ある作戦」を練るのですが……

コメディ映画『Tanguy』の予告編はこちらからチェック!

タンギーの父親であるポール(Paul)を演じるのは、『アメリ(Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain)』でナレーションを務めた名優アンドレ・デュソリエ(André Dussollier)

母親のエディット(Édith)『世界の最後の日々(Les Derniers Jours du monde)』にも出演している名脇役女優のサビーヌ・アゼマ(Sabine Azéma)

フランスの「タンギー現象」とは?

本作品が上映する前後、2000年を過ぎたあたりから増え続けている「タンギー」。

ちなみに「Je suis un Tanguy.」とは「親と一緒に暮らしてるんだぁ」という意味です!

日本だけでなく、なぜフランスで、そして世界中で増えているのでしょうか?

ここでは、このタンギー現象(Phénomène Tanguy)について解説していきます!

ベビーブーマーの子どもたち

フランスでLes Trente Glorieuses(栄光の三十年間)言われる、第二次世界大戦後1945年から1975年の30年間。

日本、西ドイツなどと同様、経済成長が最も著しかったこの時代に生まれたのがベビーブーマー。

そんな豊かに暮らしてきた彼らの子どもたち以降の世代が、タンギー世代(Génération Tanguy)なのです!

タンギー現象、3つタイプ

タンギー現象には、大きく分けて3つのタイプに分けられると言います。

1.「自立する理由がない」タイプ

「お父さんとお母さんが大好きで、実家にいた方が楽ちんだから、自立する理由は見つからない」というタイプは、多くの場合は普通に仕事につき、恋人がいることが多いということ。

映画『Tanguy』の主人公と同様、2022年現在、40歳から50歳前後第一次タンギー世代がここに当てはまります。

2.「経済的理由」タイプ

そして、2010年以降からは別の理由でタンギーが増えていきます。

それが「経済的理由」です。

2000年頃から大学進学が50パーセントを超え、学士や修士号を取っても高学歴とは言われなくなり、就職さえ難しくなっていきます。

2021年には、90パーセント以上の高校生が大学入学資格になる、バカロレア(高等学校教育修了証明)を取得しているそうです!

2020年では、20代から30代の社会人の90パーセントが契約社員もしくは派遣社員。

収入が不安定になる中、都心を中心に物価や家賃が高騰していきます。

不動産価格を1996年と2020年で比較すると、フランス全体で都心では147 %パリではなんと223 %も価格が高騰しているとのこと。

パリの場合、収入の約70%が家賃で消えることも珍しくありません!

そのため、フランスの大手不動産会社オープンパートナーで行われた調査(2019年)では、30歳未満の社会人のうち、「家賃を払うと生活ができなくなってしまう」という理由で4分の1が実家に住んでいるということです。

第一次タンギーの子どもたちの世代がこのタイプに当たります。

3.「離婚や失業が理由」タイプ

離婚が原因で家賃や生活費を支払えなくなった、という理由で実家暮らしに戻るケースがこのタイプに当てはまります。

特に30代から40代の子持ちの女性に多く見られる傾向だそうです!

さらに2020年と2021年の感染症対策によるロックダウンの影響で、飲食店や販売店などのサービス業が次々と倒産。

このことで仕事を失った若者から中年世代が親元に戻るというケースも増えています。

参考記事

まとめ

30歳前後、独身、親と同居のパラサイト・シングルを表すフランス語「タンギー」の語源にもなっている、2001年の大ヒットコメディ映画『Tanguy』

タンギーは引きこもりやニートと同様「日本だけの現象」ではなく、フランスをはじめ、世界中で増加傾向です!

名優アンドレ・デュソリエサビーヌ・アゼマに負けない演技を見せたタンギー役のエリック・ベルジェは、本作品で2002年セザール賞の有望男優賞を見事受賞しました。

本編で彼が話す「日本語」も、バッチリ!

ベビーブーマーの子ども世代から徐々に増えてきた「タンギー現象」は、本来「自立する理由がない大人が親と同居」というニュアンスから、2010年頃以降は「経済的理由で自立できない大人」に変わってきています。

同じ単語でも時代の変化によって、意味が変わってくるのが興味深いところですね!

フランス語の学習としてだけでなく、変わりつつあるフランス人の感覚も学ぶことができるおすすめの作品です!

タンギー現象について精神科医が分析している動画もあるので、興味がある方はこちらもご覧ください!

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