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そして愛は永遠になった!
先進国が直面している現実、それが少子高齢化。
2021年に発表された世界の高齢者65歳以上の人口比率を見ると
- モナコ(35.97%)
- 日本(29.79%)
- イタリア(23.68%)
と続き、13位にフランス(21.32%)が入っています。
高齢者夫婦の「愛」を扱い、日本を含め世界中で大ヒットしたフランス、オーストリア、ドイツの合作映画『愛、アムール(原題:Amour)』を、この記事で紹介します。
世界で最も知られているオーストリア人監督、ミヒャエル・ハネケ(Michael Haneke)による本作品は、
- カンヌ国際映画祭パルム・ドール、セザール賞
- セザール賞で作品賞を含む3部門受賞
- 米国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞共に外国語映画賞
- 英国アカデミー賞では、エマニュエル・リヴァが主演女優賞
など、数々の世界の映画賞を受賞しました。
それでは早速、フランス映画『愛、アムール』のあらすじと、撮影秘話を一緒にみていきましょう!
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それは誰にでも突然訪れる!フランス映画『愛、アムール』のあらすじ
近所の通報により、消防士と警察が閑静なパリのアパートに到着。
締め切られ悪臭が漂う部屋を換気しながら中に入っていくと、一人の正装した老婆が花に囲まれながらベッドに横たわって亡くなっていました。
事の起こりは数カ月前にさかのぼります。
ある晩、多くの観客で賑わうパリのシャンゼリゼ劇場で、人気若手ピアニストのアレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud)のコンサートが行われていました。
コンサート後、彼を訪ねたてきた一組の老夫婦。
それはアレクサンドルの教師であった元ピアニストのアンヌ(Anne)と、元音楽家のジョルジュ(Georges)でした。
アパートに戻った二人は、空き巣が部屋に入ろうとした痕跡を見つけ動揺しますが、それでも教え子の大活躍に心が満たされていたアンヌはぐっすりと眠りにつきます。
夜中、なぜか不意に目がさめてしまいましたが、翌日の朝は、いつもと変わらず台所で朝食をとり始める二人。
空き巣対策の話していると、突然アンヌの動きが止まってしまいました。
話しかけても触れても、全く反応しないアンヌ。
状況が飲み込めないジョルジュは、かかりつけの医者に相談しようと身支度を始めますが、しばらくすると台所から物音が。
向かってみると、何事もなかったようにアンヌは食事しているのですが……
フランス映画『愛、アムール』の撮影秘話
高齢化に伴う認知症や老老介護を扱い、命、そして愛のあり方を問うた映画『愛、アムール』。
ここでは、本作品の撮影秘話を紹介します。
ハネケ監督の経験
1942年に生まれのハネケ監督は、年々、友人や家族を失くすという経験が日常の出来事になってしまったそうです。
そんな中、「最愛の人を失うという苦しみを、残された人間はどう対処していけばいいのか?」という疑問が湧き上がります。
これこそが、映画『愛、アムール』の脚本の原点になったそうです!
ジャン=ルイ・トランティニャン
本作品の脚本も手掛けているハネケ監督は、構想の時点でジョルジュ役にはジャン=ルイ・トランティニャン(Jean-Louis Trintignant)しかいない、と決めていたそうです。
しかし2003年、トランティニャンは最愛の娘である女優のマリー・トランティニャン(Marie Trintignant)を亡くなってしまったショックから、俳優業を引退していたのです。
ちなみにマリー・トランティニャンの死因は、当時の恋人で人気バンドNoir Désirのヴォーカル、ベルトラン・カンタ(Bertrand Cantat)から受けた暴力だと言われています。
そんなトランティニャンでしたが、「最愛の人を失うという苦しみを、残された人間はどう対処していけばいいのか?」をテーマに書かれた本作品の脚本を読み、ハネケ監督からのオファーを受けたそうです。
両親のアパートの間取りを再現
ジョルジュとアンヌの二人が多くの時間を一緒に過ごしたパリのアパート。
撮影用のセットとして作られたものですが、間取りはハネケ監督の両親が住んでいたウィーンのアパートがモデルになっています。
ハネケ監督曰く「撮影する上で熟知した間取りのアパートの方が便利だから」としています。
本作品のメーキングオフ動画を合わせてみると、より本作品に対するハネケ監督の思いが感じ取れます。
まとめ
先進国が直面している高齢化をテーマに、自身の体験を織り込みながら描いたハネケ監督の代表作映画『愛、アムール』。
カンヌ国際映画祭、セザール賞、米国アカデミー賞、英国アカデミー賞など世界の名だたる映画賞を受賞。
過去に最愛の娘を失くすという悲劇を経験し、俳優業を引退していたジャン=ルイ・トランティニャンが、10年ぶりに本作品で復帰したことも話題となりました。
フランス語学習者やフランス映画ファンだけでなく、多くの方に見ていただきたい映画の一つです。
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フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。