フランスで大ヒットしたシリーズ映画『TAXi』。
スピード狂のタクシードライバー・ダニエルと、ポンコツ刑事・エミリアンのコンビが繰り広げるカーアクション・ムービーです。
2021年2月までに5作品、さらにアメリカでリメイク版や米仏共同製作ドラマ版なども出来ているほど、大人気のこの作品。
この記事では、1998年に公開された第1作目となる映画『TAXi』についてご紹介します。
フランス映画『TAXi』のあらすじ
舞台は南仏、マルセイユ。
ピザの宅配人をしていたスピード狂のダニエル(サミー・ナセリ)は、念願叶って個人タクシーの運転手へ転職する。
愛車のプジョー406を改造し、200キロを優に超えるスピードでお客をどこへでも送り届けるダニエルは、ある日刑事のエミリアン(フレデリック・ディーファンタル)を客として乗せることに。
エミリアンは職を偽っていたため、刑事だと気がつかないダニエルは、いつものように猛スピードでタクシーを走らせる。
彼を送り届けた先はなんと警察署。
しかし、エミリアンは、運転免許の路上試験に8回も落ちるほどのおマヌケ刑事。
ダニエルに、スピード違反を取り消す代わりに、メルセデス・ベンツに乗った強盗団による連続銀行強盗事件の捜査に協力するよう話を持ちかける。
ダニエルの運転テクニックと豊富なメカニックの知識を活かして、2人は強盗団に立ち向かう。
主演は『LEON』にも出演しているサミー・ナセリ(Samy Naceri)
本作品で、スピード狂のタクシードライバー役を演じたのはフランス人俳優のサミー・ナセリ。
実はジャン・レノが主演をつとめた映画『LEON』にも出演しています。
当時は無名の俳優で、演じたのは端役であったにも関わらず、監督をつとめたリュック・ベッソン(Luc Besson -『TAXi』では製作・脚本を担当)の目にとまり、その後数々の作品に出演することになります。
なんと2006年のカンヌ映画祭で男優賞を受賞した経験もある実力者なのです。
この映画の中で彼は、スピード狂で愛車のプジョーで爆走するかなり破天荒な役柄を演じていますが、実は彼の私生活も破天荒そのもの。
コカイン所持や暴行事件などで、何度も有罪判決を受けているサミーですが、実際にスピード違反でも捕まっているというのです。
しかも、そのスピード違反のせいで、本シリーズの『TAXi NY』への出演が見送られてしまったという話。
当時の関係者からしたら大迷惑で笑えない話ですが、インパクトのある良い宣伝になっていたかもしれませんね。
ヒロイン役は「世界一美しい顔」 マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)
この映画の中で一際目を惹く美女、ダニエルの恋人・リリー。
見た目の美しさは勿論のこと、話し方や仕草の妖艶さには、男性どころか同じ女性までもが釘付けになって見とれてしまうほど。
この美女役を演じたのが、2013年に「世界で最も美しい顔」の一位に選ばれた、マリオン・コティヤールです。
なんと、マリオンはこのランキングに計16回もランクインし、しかもその10回はトップ10入りしています。
世界が認める絶世の美女と言っても過言ではありませんね。
そんなマリオンも『TAXi』出演当時はまだ無名の女優でした。
彼女を世界的に有名にしたのが、ティムバートン監督の『ビック・フィッシュ』(2003年)です。
ハリウッドデビューを果たした彼女は、同作品で第30回セザール賞助演女優賞を受賞しています。
さらに『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007年)でエディット・ピアフ役を演じると、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞など数々の賞の主演女優賞を獲得し、2010年にはこれまでの功績が称えられ、フランス芸術文化勲章を受章するまでに。
今では美しさのみならず、実力も世に認められた世界的大女優なのです。
マリオン・コティヤールが主演した『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』のあらすじとロケ地
ポンコツ刑事 エミリアンから学ぶフランス語
フレデリック・ディーファンタルが演じたポンコツ刑事のエミリアンは本当にマヌケで使い物にならない。
運転免許の路上試験には8回も落ち、9回目では右も左も分からずにBoucherie(肉屋)に突っ込んでしまうほど。
「ハンドルも切れないのか!」と怒り狂った教官に、エミリアンはこう言います。
“Chacun a son métier.”
直訳すると、「みんなそれぞれの仕事がある。」という意味になりますが、
このシーンでは「運転は俺の専門じゃない。」と、言い訳をするために言っているのが分かります。
さらにこのシーンの前にも、こちらの表現が使われていました。
エミリアンの母 カミーユがダニエルに嘘をつき「息子はIBM(アメリカのコンピュータ関連企業)で働いている」と言うと、感心したダニエルがこう言います。
“Chacun a son truc.”
「それも才能だ。」
“Chacun a son 〇〇”という言い回しは非常に便利でよく使われる表現なので、是非覚えておいてくださいね。
まとめ
フランス映画『TAXi』のあらすじと、出演している俳優についてご紹介しました。
1998年に第1作目が公開されてから20年以上にもわたり続いている大人気のシリーズ映画です。
実は、フランス車のプジョー(Peugeot)が日本で当たり前のように乗られるようになったのも、この映画がきっかけだと言われています。
カーアクション・ムービーですが、コメディ要素も満載なので、車好きだけでなく誰もが楽しんで観られる作品です。