フランス映画『ジェヴォーダンの獣』のあらすじと当時の歴史的な時代背景とは

実話をベースにした面白いフランス映画を探しているなら、イチオシの映画があります。

『ジェヴォーダンの獣』です。

『ジェヴォーダンの獣』(2001年)は、実話を元にしたフィクション映画です。

1764年から3年間、フランスのジェヴォーダン地方で謎の獣が100人以上の村人を襲った事件が元になっています。

「獣の正体はいったい何なのか?」

サスペンス、恋愛、陰謀、アクションが目まぐるしく展開しており、単純にエンターテイメントとしても楽しめます。

そして後半からは、「謎の人食い獣の話がここにつながるのか?」という意外な展開をしていきます……

この記事では、『ジェヴォーダンの獣』のあらすじ、キャストと共に、映画の時代背景についてご紹介します。

フランス映画『ジェヴォーダンの獣』の概要

『ジェヴォーダンの獣』の仏題は『Le Pacte des loups:狼たちの協定』

「歴史的な正確さに欠ける」と批評家に批判されたにも関わらず、『ジェヴォーダンの獣』はフランス映画が世界において大変成功した映画の一つになりました。

監督のクリストフ・ガンズ(Christophe Gans)は日本の漫画、アニメ、ゲームの愛好家で、そのせいか、ちょっとこの映画には日本的要素が感じられる場面があるようです。

クリストフ・ガンズは、レア・セドゥがベルを演じた『美女と野獣』(2014年)も監督しています。

ジェヴォーダンの獣 LE PACTE DES LOUPS (2001)日本版劇場予告 - YouTube

『ジェヴォーダンの獣』のあらすじとキャスト

こんにちは、エミレーヌです。

この記事では、フランスの18世紀の村を舞台にした、サスペンス・アクション映画をご紹介します。

フランス革命が起こる以前のルイ15世施政下で、ジェヴォーダンに謎の大きな獣が出没し、たくさんの村人を惨殺していました。

王室から命を受けた自然科学者のフランサックは、義兄弟のネイティブインディアンであるマニとジェヴォーダンに調査に赴き、村人と接触を図りながら獣の情報を集めました。

陰湿な雰囲気が漂う村で獣の正体を追ううちに、隠された村の秘密に触れたしまったフランサックとマニに危機が迫るのですが、彼らはどうやってその危機を乗り越えるのでしょうか…

グレゴワール・ド・フランサック(Grégoire de Fronsac)を演じるキャスト:サミュエル・ル・ビアン(Samuel le Bihan)

王室から派遣され、謎の獣を調査しに来た自然科学者。

ネイティブインディアンのマニを本当の兄弟のように大切に思い、マニとは厚い信頼関係によって結ばれています。

自然科学者と呼ぶにはめっぽう強いフランザックを、サミュエル・ル・ビアンが好演しています。

サミュエル・ル・ビアンは最近はテレビ映画の出演が多いのですが、かつては『トリコロール 赤の愛』の主役も演じました。

マリアンヌ・ド・モランジアス(Marianne de Morangias)を演じるキャスト:エミリー・ドゥケンヌ(Emilie Dequenne)

ジェヴォーダンの伯爵令嬢。

村の貴族たちから「高嶺の花」と言われる存在でしたが、フランサックと恋に落ちてしまいました。

しかしその恋を阻む人は身近にいたのです。

美しい令嬢マリアンヌを演じるのはエミリー・ドゥケンヌ

ジャン・フランスワ・ド・モランジアス(Jean-Francçois de Morangias)を演じるキャスト:ヴァンサン・カッセル(Vincent Cassel)

マリアンヌの兄。

右腕をアフリカで失っているものの、銃の名手で銀の弾を使います。

邪悪な笑みをふりまくジャン・フランソワ・ド・モラジアスを、存在感のあるヴァンサン・カッセルが演じました

マニ(Mani)を演じるキャスト:マーク・ダカスコス(Mark Dacascos)

フロンサックがアメリカ大陸で出会い、義兄弟の契りを交わしたネイティブインディアン。

マニは武術の達人でカンフーのようなアクションシーンは、切れ味抜群です。

また、狼と気持ちを共にして行動する、シャーマンのような神秘さを持ち合わせています。

この映画でひときわ光るエキゾチックなマニ役で、マーク・ダカスコスはこの映画を観た女性たちの心をしっかり掴みました

シルヴィア(Sylvia)を演じるキャスト:モニカ・ベルッチ(Monica Bellucci)

イタリアから来た娼婦と言われる謎が多い女性で、「え?」と思うような展開に加わっていきます。

悪の女王にも見えるシルヴィアをモニカ・ベルッチは妖艶に演じました

映画『ジェヴォーダンの獣』のみどころ

『ジェヴォーダンの獣』の時代のフランスの歴史を知っておくと、後半部分の理解がより深くなると思いますので、時代背景をご説明しますね。

映画『ジェヴォーダンの獣』の歴史的背景

この映画で起こる事件の動機となった背景に「啓蒙主義」があります

「啓蒙主義」はフランス語では(Lumières)。

「光で照らされる」という意味です。

イギリスで17世紀後半に興ったこの思想は、フランスに渡って、政治的に大きな影響を与えてフランス革命を起こしてしまいました。

簡単に「啓蒙主義」をご説明すると、科学と宗教を分離する考え方で、自然科学を重んじたことによって、無神論的な傾向が強くなりました。

この自然法論が発達して社会契約論になっていき、「平等主義」につながっていくのです。

啓蒙主義の影響を受けたフランス人はジャン・ジャック・ルソー、モンテスキュー、ヴォルテール、ディドロたち。

「フランス革命」に欠かせない人物たちではないでしょうか。

そしてこの映画の最後には、皮肉な運命を迎える人物がいるのです。

アメリカ映画のように「勧善懲悪」で終わらないところが、フランス映画の特徴ですね。

実際にあった「ジェヴォーダンの獣」 (La bête du Gévaudan) 事件

映画『ジェヴォーダンの獣』は完全なフィクションですが、元になった史実がありました。

それが正にこの『ジェヴォーダンの獣』。

1764年6月に農作業の少女に目撃されたのがきっかけで、100人以上が殺されたと言われています。

不思議なことに成人男性の犠牲者は報告されていないようです。

目撃者の証言によると、牛ぐらいの大きさで剛毛に覆われ、見た目は狼に見えたそうです。

動きが素早く、鋭い鉤爪とライオンのような尾を持ち、大きな牙があったという記述も残っていました。

ルイ15世が何度も討伐隊を出しましたが、獣を捕えることができず、ようやく1767年に地元の猟師がこの獣を射殺したとのことでした。

この獣については、サーカスから逃げた猛獣、狼男、連続殺人犯、ルイ15世に対する陰謀、神罰などが語られましたが、この事件の真相は今もはっきりとわかっていません。

まとめ

日本が大好きな監督のクリストフ・ガンズは日本での公開を楽しみにしていたようです。

しかし、残念なことに日本ではあまりヒットしませんでした。

その理由は「役者が日本では有名でなかったから」と言われていますが、エミレーヌは、主役のサミュエル・ル・ビアンは演技力があると思いますし、脇を固める俳優たちも魅力的だったと思います。

18世紀の独特の村の雰囲気・衣裳は見ていて興味深いですし、この映画の雰囲気にそぐわないようなアクションシーンがありましたが、これはメリハリをつける効果がありました。

アメリカ大陸やアフリカ大陸も話題に出てきて、当時のフランスが世界に飛び出して行っていた頃の時代を思い起こさせてくれるかもしれません。

ちなみにこの映画を撮影していた時は、ジャン・フランソワ役のヴァンサン・カッセルとシルヴィア役のモニカ・ベルッチは夫婦でしたが、その後離婚しました。

シルヴィアは美しくて強くてかっこいいのに、フランサックがマリアンヌに恋をしてしまうところがちょっとエミレーヌは残念でした。

もったいない…。

あなたがこの映画をご覧になったら、この二人の女性についてどう評価されるでしょうか。

そして、『ジェヴォーダンの獣』が「単なるサスペンス・アクションではない」というところに気がつかれたら、この映画の魅力が倍増すると思います。

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