フランス語で「好き」「愛してる」の違いはどう表現する?Je t’aime以外のフランス人の愛情表現とは

※当ブログにはプロモーションを含みますが、記事内容は公平さを心がけています。

フランスといえば『愛の国』。

フランス語はわからなくても、“Je t’aime.(ジュテーム)”は知っているという人はたくさんいるはずです。

日本人の私たちは、「フランス=ジュテーム」と連想するくらい、この愛の言葉に強いイメージを抱いています。

しかし、この“Je t’aime”という言葉、フランスでは時に物議をかもすことも。

日本人の恋人との会話をイメージして、簡単に使ってしまうと危険なこともあるのです!

これから私が実際に体験した『“ジュテーム”論争』についてお話したいと思います。

あれは私が20歳の頃、フランスで生活していた時のことです。

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カップルだけど "Je t’aime" なんてまだ言えないよ!

当時、私は大学内の寮に住んでいました。

同じ寮には、日本人のA子という友達も住んでいて、A子には最近お付き合いを始めたフランス人の彼氏がいました。

私はその彼氏Bのこともよく知っており、会えば話をするような関係でした。

ある日私が部屋で勉強していると、突然ドアをノックする音が。

ドアを開けると、そこには落ち込んだ顔をしたBが立っていました。

「相談がある」と言うので何があったのかと聞くと…

「昨日、何気ない会話の途中でいきなりA子が “Tu m’aimes?” と聞いてきて。自分はどうしたら良いかわからなくて、『まだそれは言えないよ』って正直に答えたら、すごく怒っちゃったんだよね…」とのこと。

当時の私はまだフランスへ来て2ヶ月ほど。その時は「なんで “Je t’aime” って返してあげないの?カップルなんだから、普通言うでしょ!」と思い、そのままBに伝えました。

だって日本だったら、カップルが「私のこと好き?」「好きだなんてまだ言えないよ」なんて会話をしてるの、見たことないですよね?

しかしよくよく話を聞くと、フランスで "Je t’aime" は、そんな軽々しく使えない言葉なんだとか。

B曰く、「付き合ってすぐに “Je t’aime” なんて言わない。長く付き合って、お互いのことをよく知って、信頼関係をちゃんと築いて、本当にこの人が大切だなって思える時まで、大事にとっておく言葉なんだよ」とのこと。

なるほど、これはそもそも日本人の「好き」と「愛してる」の意味のとらえ方に問題があるのかも?

"Je t’aime" は日本語で「愛してる」と言う言葉。英語だと "I love you" にあたりますよね。

もちろん、「好き」と「愛してる」が違うのはわかるけど、日本人が持つ「愛してる」の言葉のイメージって、なんだか古臭い言い方というか、言われても「この人ロマンチストなの?」って、ちょっとネガティブな捉え方をしてしまうような… (私だけ?)

「愛してるよ」って言われるよりも、むしろ「大好きだよ」って言われる方が嬉しい人も多いはず。

この2つの言葉の重みを考える日本人ってあんまりいないと思うんです。

でも欧米では、恋愛における「好き」と「愛してる」は、はっきりと分けられます。

よくアメリカ映画のラブコメディーなんかを見ていても、"Like" なのか "Love" なのかが問題になっています。

では、まだまだ付き合いが浅いカップルでも使える「好きだよ」って表現、フランス語ではどう言うのでしょう?

フランス語で「好き」と「愛してる」の違いはどう表現するの?

まず「愛してる」は、皆さんもご存知の“Je t’aime”ですよね。

では、「好き」って言葉はどう表すのかと言うと、

Je t’aime beaucoup.

Je t’aime bien.

になります。

一見すると、"Je t’aime" よりも、さらに上をいく「すごく愛しているよ」的な言葉になるのでは?と思いますよね。

でも不思議なことに、フランス語では "Je t’aime" の後にこれらの副詞をつけることで、恋愛感情から、友達感情の「好き」へ降格させることが出来るのです!

そのほかにも、"Je t’adore" なんて言葉があります。

この言葉を聞くと、あの有名なDiorのCMを思い出す人も多いはず。“adorer”と言う単語が使われています。

これは辞書でも「大好き」と訳されて載っている言葉ですが、恋愛に関してよりも、物や友達を対象とすることが多いんだとか。

その後のA子とBの関係

「じゃあその話をA子にもちゃんとしてあげないと!日本人には言わないと理解できないよ」と伝えると、さっそくA子のもとへ向かったB。

無事に仲直りできたようで、数ヶ月後にA子からこんな話を聞きました。

「実は昨日、Bからついに “Je t’aime” って言われたんだけどね… その瞬間、スペシャルな雰囲気を出すためにBGMも流してくれてたの。そのBGMがね、まさかの中島美嘉の『愛してる』。彼なりに、ロマンティックな演出と日本人の私のことを考えて選んでくれたのはわかるんだけどね… 正直ゾワゾワした(笑)。やっぱり日本語じゃなくてフランス語で言われたいね。」

確かに。(笑)

「好き」から「愛してる」に変わるまでの期間

よくよく考えてみると、日本語ではいくらラブラブのカップルでも「めっちゃ好き」「まじ好き」「もうほんと好き」とか、「好き」という言葉ばかり使いますよね。

「いつになったら『愛してる』って言ってもらえるのかな?」なんて考えたこともなかった。

これまで散々「好き」という言葉で満足してきたくせに、英語で “I like you” フランス語で “Je t’aime beaucoup” だとなんか納得がいかない。

できれば最上級の言葉で愛を伝えて欲しい… “Je t’aime bien” 止まりの女なんて嫌(笑)と思ってしまうのが日本人女子。

まあでも私の経験上、“Je t’aime” レベルに達しない限り、日本人みたいに「好きだよ」とか気持ちを言い合ったりしない気がします。“Je pense à toi”(君のことを考えているよ)とか、他の表現を使っているような。

私もその後フランス人の彼氏ができたので、その当時の "Je t’aime" に関する話をしてみると、彼からこんな回答が。

「確かに、僕の気持ちも “Je t’aime bien ” や “Je t’aime beaucoup” であって、“Je t’aime” とは言えないよ。だって1年もしないうちに Yuki は日本に帰ってしまうよね?離れ離れになるのに、本気の恋愛をするなんて悲しすぎるし。」

いやいや、ちょっと待って。分かってはいたけれど…何だろう、この敗北感。

「好きだけど、愛してるとまではいかないかな〜」って言われるのって、分かっていても屈辱的ですよね。

ま、こう言ってた彼氏もその4ヶ月後には結局 “Je t’aime” って言ってくれたんですけどね。

でもやっぱり、その瞬間を迎えた時は感動というか、表現できない重みを感じて、忘れられない瞬間でした。

私が帰国するという背景があったから余計にだったのかもしれませんが。

おそらく、日本人がプロポーズされる瞬間とかをイメージしたらいいのかな。

その当時の彼氏は4ヶ月くらいでしたが、その後お付き合いすることになった彼は1ヶ月くらいでした。

やっぱり、関係性や出会い方、その人の性格など色々あるとは思いますが…

でもやっぱりみんな、“Je t’aime” と口に出す瞬間は緊張しているようで、特別な言葉なのが伝わってきました。

さて、一度 “Je t’aime” と言われてからは、もう “Je t’aime” の嵐。

電話を切るときも “Je t’aime”、メールの文末にも “Je t’aime”、バイバイするときも “Je t’aime”… 何にでも “Je t’aime”がついてまわります。

さすが愛の国、フランス。もう「愛してる」だけでは満足できない!この感情はどう表現したらいいの?

では、さっきとは逆に “Je t’aime” を昇格させてみましょう。

「すっごく愛してるよ!」はこう言います

先ほどは、“bien” や “beaucoup” をつけることで、残念ながら降格してしまいましたよね。

では、“Je t’aime” の上をいく言い方をみてみましょう。

Je t’aime à la folie. (気が狂うほど愛してる!)

Je t’aime très fort. (すごく強く愛してる!)

Je t’aime de tout mon cœur.(心から愛してる!)

… などなど。

いろんな言い方がありますが、やっぱりシンプルに “Je t’aime” と言われるのが一番グッとくる気がします。

ちなみに、"Je suis amoureux(amoureuse)de toi." という表現も、“Je t’aime” に相当する言い方だそうです。

まとめ

実際に私が経験したエピソードを交えながら、フランス語での愛情表現を紹介しました。

簡単にまとめると、

【好き(友達にもOK)】

Je t’aime bien.

Je t’aime beaucoup.

Je t’adore.

【愛してる】

Je t’aime.

Je suis amoureux(amoureuse)de toi.

【すっごく愛してる】

Je t’aime à la folie.

Je t’aime très fort.

Je t’aime de tout mon cœur.

皆さんも「好きだよ〜」と言う感覚で、付き合ってすぐに “Je t’aime” や “I love you” と言って失敗しないように注意してくださいね!

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