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フランスのパリで開催される夏季オリンピック(2024年7月26日〜8月11日)、パラリンピック(2024年8月28日〜9月8日)の選手村の食堂についてご紹介します。
「アスリートの食堂(la cantine des athlètes)」では、どのようなメニューが提供されるかご存知でしょうか?
オリンピックの選手村にある食堂では、アスリートたちが競技へのコンディションを整えられるように、世界各国の食文化に配慮しながら、開催国の食の魅力を世界へ発信する料理が提供されます。
昨今はイベント開催時の環境問題が国際的な課題としてあげられているため、食についても環境に配慮した取り組みが注目されています。
この記事では、パリオリンピック・パラリンピックの「アスリートの食堂」に注目し、そのコンセプトについてご紹介します。
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アスリートの食堂で選手たちはどんな料理を食べるの?
選手村の食堂では、世界中の料理が楽しめます。
フランス料理はもちろん、アフリカ料理、カリビアン料理、アジア料理などが提供されます。
レストランの入り口では、栄養に関する情報やアドバイスをもらえる案内所もあります。
食材については、国産でサスティナブルな食材であることなどを謳っており、肉や卵、乳製品は100%フランスの国産としています。
フランスのガストロノミーの魅力を世界へ発信する、トレンド感満載のメニューとは?
アスリートの食堂のシェフたちが特定の基準と一定の制約を満たしたオリジナルレシピを考案しており、アスリート委員会の審査を通過する必要があります。
例えば、シェフのシャルル・ギロワ(Charles Guilloy)氏は、特定の栄養を必要とするアスリートの選択肢として、ビーガンやベジタリアン、ラクトース不使用、グルテンフリーなどのメニューを考案しています。
地産緑レンズ豆のダール、スキール添え(Dhal de lentilles vertes locales, accompagné de skyr)とカリカリコーンの瓦型クッキー(Tuile de maïs croquante)
ダール(le Dhal):小粒の豆をスパイスと共に煮込んだ濃厚なインドの料理
スキール(le skyr):タンパク質の豊富なアイルランド産まれの濃厚ヨーグルト
また、食材は全て認証済みのものとし、そのうち80%は国産でまかなうこと、25%が現場から250km圏内から輸送されるものであること、30%はオーガニックであることも掲げており、環境への配慮だけではなく、食の安全性や豊かなフランスの食材についても注目されることでしょう。
2024年パリ夏季オリンピック・パラリンピックの食堂はどこ?
パリオリンピック・パラリンピックでは、セーヌ=サン=ドニ(la Seine-Saint-Denis)の選手村(le village des athlètes)の中心にある映画監督リュック・ベッソン(Luc Besson)氏による映画撮影スタジオ、シテ・ドゥ・シネマ(la cité du cinéma)の巨大な身廊の下におおよそ3,200席、24時間営業でピーク時には40,000食が提供できる世界最大のメインの食堂 (le réfectoire)と600席を備えた食堂が選手村の中にできる予定です。
選手たちは徒歩もしくは自転車、または選手村の中を24時間巡回する電動シャトル便で、食堂へ向かうことができます。
食堂の横には焼き立てのパンが食べられるスペースや、ソデクソ(Sodexo)によって選ばれたシェフたちが交代で異なるメニューを提供する屋台、フランス発祥の球技ペタンク(la pétanque)のコートのあるギャンゲット(la guinguette)のようなフードコートができる予定です。
ソデクソ(Sodexo):フードサービスや施設マネジメントなどをしているフランスの多国籍企業
ギャンゲット(la guinguette):元はパリ郊外の大衆的なキャバレー(le cabaret)。
現代ではフランスの街の郊外などの自然の中にあることも多い、コンサートやダンスなどが楽しめる賑やかなレストランバー
日本語では同じ「食堂」と訳される「la cantine」と「le réfectoire」の違いとは
なぜ、フランス語には「食堂」を意味する表現として、la cantineとle réfectoireの2つがあるのでしょうか?
ポケットプログレッシブ仏和・和仏辞典 第3版(仏和の部)の解説によると、la cantineとは ①社員(学生)食堂 ②(軍人の)旅行用トランク とあります。
同様に、le réfectoireを調べると、(学校などの)食堂とあります。
どちらの表現を使っても、日本語では同じ食堂の意味になります。
しかし歴史を紐解くと両者には違いがあり、「cantine」は、19世紀末以来、地域社会の人々のために食事が提供される場所とされていました。
今日では、一般的に補助金の支払われる給食サービス(食事が無料または安価で、料金の全てもしくは一部が地域社会や雇用主による負担される)のことを呼びます。
対する「réfectoire」は、宗教行為などのみに使用される教会ラテン語を語源としており、同じ宗教のメンバーが食事を共にする部屋のことを「réfectoire」と呼びます。
「cantine」という言葉が使われるようになってからも兵舎、ボーディングスクール、刑務所、ホスピス、学校などの食堂の場所を指す場合に「réfectoire」は使われています。
日常会話の中でも2つの単語が登場しますが、この記事では「cantine」を給食サービスとしての食堂、 食事を提供する場所としての食堂を「réfectoire」として表現しています。
パリ・オリンピック・パラリンピックにおける食に関する環境問題への取り組みとは
パリオリンピックでは地球温暖化対策として、下記のような取り組みをしております。
- 国産の食材を多く取り入れる
- 野菜を積極的に使用したメニューを考案する
- 食品廃棄物より生じる温室効果ガスを削減する
- プラスチックごみを出さない試みとして、使い捨ての食器を一切使用しない
- ペトボトルの提供を避け、選手たちに自らの水筒持参を推奨し、パートナー企業であるコカ・コーラによる水や炭酸水の給水場を設置する
まとめ
パリ夏季オリンピック・パラリンピックでは、アスリートたちの各部屋にキッチンは設置されず、シェフたちは、世界中の注目する国際的なスポーツイベントの選手たちが最大限に力を発揮できるように、食堂にて料理を創作しています。
世界の食文化に触れつつ、安心して口にすることができ、昨今のトレンドや大きなイベントについてまわる環境問題に対する回答も準備した、思いやりのある大会と言えるのではないでしょうか。
フランスのガストロノミー(la gastronomie:食や食に関する文化、総合的な学問に通じるもの、美食術)は、料理を通して様々な文化の考察がされ、選手の胃袋を満たすだけでなく、目にも楽しませてくれるのでしょう。