アメリ(映画)は意味不明?内容がよくわからない方向けにあらすじ(ネタバレ有)を最後の結末まで紹介

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日本で有名なフランス映画の一つ『アメリ(原題: Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain)』に、「おしゃれ」や「可愛い」という感想を持っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、インターネットで調べると、「意味不明」「気持ち悪い」「現実味がない」という意見も多く見かけます。

そこでこの記事では、映画『アメリ』を今までにない角度から説明しながら、「内容がよくわからない」方向けにあらすじ(ネタバレ有)を最後の結末までご紹介します!

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「気持ち悪い」とか「現実味がない」と感じて当然!?映画『アメリ』で知っておくべきポイント

こんにちは!実はフランスに来るまではフランス映画が好きじゃなかったカタクリです。

さて、「ネタバレ有りのあらすじ」に入る前に、この作品を視聴する上で知っておくべきポイントをご紹介します。

曲者監督、ジャン=ピエール・ジュネ(Jean-Pierre Jeunet)

『アメリ』のジュネ監督は、1997年のアメリカ映画『エイリアン4』で世界的に有名になりました。

『エイリアン4』の前から、ちょっと不思議で不気味な雰囲気の映画を撮り続けていたジュネ監督の、初の単独での監督作品『僕の好きなこと、嫌いなこと(原題:Foutaises)』はご存知でしょうか。

1989年の作品ですが、ユーチューブで動画全編が公開されています。

「foutaise」=「馬鹿げたこと」「つまらないこと」という意味のタイトルの短編映画ですが、これを見た方は驚かれたのではないでしょう。

そうです、まさしく『アメリ』の登場人物を紹介するシーンと同じ形式なのです。

しかも、『僕の好きなこと、嫌いなこと』ではジーナの元カレのジョセフ(Joseph)を演じているドミニク・ピノン(Dominique Pinon)も出演しています。

この映画の付箋がついている『アメリ』は、この時点で普通の「おしゃれなフランス映画」じゃないことに気がつくのではないでしょうか。

改めて主人公アメリ(Amélie)とアメリが恋をするニノ(Nino)の紹介

主人公アメリは、「心臓病」と誤診を受けて以来、小学校から学校に行っていない22歳の女の子で、カフェのホールサービスとして勤めています。

(補足:超学歴社会のフランスでは、庶民カフェのサービスは「学歴がない人がする仕事」と一般的に言われることがあります)

かなりの引っ込み思案ですが、性的なことには興味があり、基本的に来るもの拒まず。

ニノは、学校で激しいいじめを受けていた経験を持つ優しい雰囲気の男性で、アダルトショップの店員をしながら、夏の間は移動遊園地で単発の仕事をしています。

(補足:レジ係+季節労働者もフランスでいう最低賃金SMICのカテゴリーで、アメリのケース同様に見られることがあります)

改めてアメリとニノのプロフィールを見ると、映画『アメリ』は、落書きだらけで観光地でも風俗街でもあるパリの下町を舞台に、いわゆる社会人カーストで底辺にいる二人の恋を「おとぎ話」のように語る、ブラックユーモア満載の映画なのがわかっていただけるのではないでしょうか。

考えてみると、治安の悪くてゴミだらけの北駅の証明写真機の下を棒で漁っている男性にトキメク女性って、「おしゃれな映画」にしては少し変わっていますよね。

撮影ロケーションとなったモンマルトルおよび北駅・東駅などの地区を、『アメリ』撮影時に大掃除したとジュネ監督は語っています。

つまり「パリ的な場所」というファンタジーを、わざわざ「荒んでいる地区」に作って撮影しているので「現実味がない」がないのです。

ちなみにニノを演じたマチュー・カソヴィッツ(Mathieu Kassovitz)は社会派映画を撮る監督であり、彼自身もメディアに対してかなり過激な発言をすることで有名な俳優です。

このカソヴィッツが完全真逆のキャラクターであるニノを演じていること自体、違和感しかありません。

いよいよネタバレ有り、映画『アメリ』のあらすじ

小学校の教師の母と軍医である父の間で育てられたアメリ

常に親からのストレスを感じながら生活していたアメリは、父の健康診断を受けた際に緊張のあまり動悸が激しくなり「心臓病」と誤診され、学校に通えなくなります。

他の子供達と遊ぶ機会を失い、毎日自宅で母親の厳しい授業を受けていたアメリの唯一の楽しみは、想像の世界で遊ぶことでした。

そんなある日、世界が一転します。

パリのノートルダム寺院に立ち寄った帰り、寺院の塔から落下してきたカナダ人観光客の直撃を受け、母親が亡くなってしまったのです。

月日は流れ、22歳のアメリは、モンマルトルのカフェ「ドゥ・ムーラン」でウェイトレスとして働きながら一人暮らしを始め、毎日いろいろな常連さんに囲まれていました。

ある日の夜、自宅であるアパートで、アメリは古い小さな箱を見つけます。

中を開けると昔のスポーツ選手カードなど入っており、誰かの子供時代の宝物だったと気づきました。

持ち主に渡してあげようと思ったアメリは、色々な人と話をする中、向かいのアパートに住んでいる「骨が壊れてしまう病気」を患っているレイモン(Raymond)に出会います。

レイモンは何十年もの間、家に閉じこもりルノワールの「舟遊びの人々の昼食(Le Déjeuner des canotiers:絵の中にはルノワールの友達や彼自身、そして将来の彼女彼の奥さんになる人が描かれており、彼の人生の中でも幸せだった時代を描いた作品だと言われています)」を模写していました。

レイモンの協力で無事に箱の持ち主を見つけたアメリは、この時初めて自分の人生において「やり甲斐」を感じることができたのです。

これを機会に新たなやり甲斐を求め、アメリは動き始めます。

そんな中、以前にも見かけたことがあった証明写真機の下を漁っている青年ニノに再会し、アメリは心臓が高鳴り恋に落ちます。

何かを見つけて走り去ったニノが落としたかばんを開けてみると、失敗して破られた見ず知らずの人の「証明写真」がコレクションされていました。

アメリはレイモンとアルバムを見ながら、スキンヘッドの男の写真が何枚もあることに気がつき、ニノはこの男の正体を知りたいのではないかと憶測し始めます。

アルバムを返そうと直接ニノにコンタクトを取ろうとしますが、なかなか勇気が出ないアメリ。

そんな中、ふとしたきっかけでニノが探しているスキンヘッドの正体を知ることができたのです。

ニノに間接的になんとかアルバムを返すことに成功し、勤務先のカフェに呼び寄せることにも成功したアメリですが、いざ彼を目の前にすると話すことができません。

それでも、なんとかしなければと考えたアメリは、同僚のジーナに頼んで「メモ」をニノの上着のポケットに入れてもらいます。

しばらくしてニノはポケットに入っていたメッセージに気がつき、指定された時間通りに駅に向かうと、スキンヘッドの写真が証明写真機から出てきました。

その時、彼が写真機の修理屋だったことを知ったニノはアメリのおかげであることに気がつき、再びカフェに戻りますがアメリはちょうど不在だったのです。

二人の関係に気がついた同僚のジーナは、ニノの人柄を調べようと一緒にカフェを出て行きました。

ジーナとニノが一緒に店を出たと聞き落ち込んでいるアメリのアパートに、何も知らないニノが訪ねてきます。

扉を開けずに悲しみ続けるアメリは、「ガラス男」のレイモンが設置したビデオメッセージを見て、自分で行動しなければ本当の幸せを掴むことができないと悟るのです。

ニノを追いかけようとアメリは扉を開けると、そこにもまた自分で行動しなければと感じ戻ってきたニノが立っていました。

お互いの気持ちを感じ取った二人は、自然に結ばれていくのでした。

まとめ

「とってもおしゃれなファンタジーのパリ」を舞台に、普段注目されることのない人々主人公に作られた映画『アメリ』。

今回の記事を書くにあたり、改めて『アメリ』を見直しましたが、記事には書ききれない面白い仕掛けをいくつも発見し、何度も見ることができる映画だと改めて思いました。

後半になるにつれて、アメリが勝手にお手伝いした人たちの中でも、自分から変わろうとした人たちは良い方向に向かい、変わらなかった人たちはまた悪い方向に戻っていくところも、アメリカ映画にはないひねくれ気味のフランス映画の面白さがあります。

『アメリ』を見て素直に「かわいい!」という感想も、「意味不明」「気持ち悪い」「現実味がない」という感想も、全てジュネ監督にとっての最大の褒め言葉かもしれません。

『アメリ』が好きだった方も苦手だった方も、この記事を読んでもう一度見ていただけたら幸いです。

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