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『星の王子さま』という童話をお読みになったことはありますか?
耳にしたことはあるけれど、実際に全文を読んだことはないという方もおられるのではないでしょうか?
もしかしたら、「子どもの頃に読んだけれども、内容はあまり覚えていない」という方もおられるかもしれません。
『星の王子さま』はフランス文学の傑作の1つとして世界中で愛されています。
フランス語学習にも役立ちますので、ぜひ一度は手にとってお読みになることをお勧めいたします。
この記事では、ストーリーの概要と『星の王子さま』が何故フランス語初心者におすすめなのか、その理由をご紹介いたします。
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『星の王子さま』の概要とあらすじ
筆者は、サン=テグジュベリというフランスの作家です。
1943年にアメリカで出版され、現在でも世界中で愛されています。
『星の王子さま』は子どもでも楽しめる童話の形式をとっていますが、実は大人向けの作品と言えます。
本の『前書き』によると、サン=テグジュベリは自分の親友であるレオン・ウェルトにこの本を捧げています。
前書きには、印象的な文章があります。
おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)
出典:『星の王子さま』サン=テグジュベリ作、内藤濯訳
私は、まだ学生の頃に、内藤濯訳の『星の王子さま』を読んだのですが、この前書きの文章に清々しい衝撃を感じたことを覚えています
『星の王子さま』の簡単なあらすじ
簡単なあらすじをご紹介します。
飛行機の操縦士である「ぼく」が、サハラ砂漠にエンジントラブルで不時着した場面から物語は始まります。
そこに、突然「星の王子さま」が現れ、「ヒツジの絵をかいて…」とリクエストしてきます。
リクエストに応えて何枚も絵を描いているうちに、「ぼく」は王子さまと知り合うようになります。
「ぼく」はエンジンの修理をしながら、王子さまの過去の話を聞いていきます。
王子さまは、遠く離れた小さな星で、「一輪のバラ」と暮らしていました。
そのバラとケンカしたことをきっかけに、王子さまは別の世界を見る旅に出ることにします。
6つの星で「6人の変な大人」に出会った後、最後に地球を訪れます。
王子さまは、その地球で「ヘビ」やたくさんのバラたち、そして「キツネ」に出会います。
キツネは王子さまに、いろいろなことを教えてくれます。
キツネとの出会いと別れによって、本当に大切なことは何かということに王子さまは気づき、自分の星に帰る決意をします。
最後は、パイロットである「ぼく」と王子さまとの別れが描かれています。
フランス語学習の初心者に『星の王子さま』をお勧めする理由
『星の王子さま』の原文は、比較的平易でやさしい表現が多く、読みやすいという特徴があります。
パイロットと王子さま、王子さまとバラ、キツネと王子さまといった登場人物が対話する形式が多いので、学んだフランス語表現を実際の会話にも取り入れやすいといったメリットがあります。
しかも、『星の王子さま』を題材にしたフランス語教材が数多く出版されています。
たとえば、『フランス語シャドーイング入門』という参考書の中でも、教材として『星の王子さま』が使われています。
独学で正しいフランス語発音を習得するのに役立つシャドーイング教本
他の教材でも『星の王子さま』の文章はよく使われているので、フランス語学習を続けていくと、『星の王子さま』からの引用を目にする機会もあるかもしれません。
とはいえ、フランス語の原文に最初から挑戦すると挫折してしまいがちです。
そこでまずは、日本語に訳された『星の王子さま』を一冊入手して、内容を頭に入れておくことをお勧めいたします。
フランス語学習の初心者にお勧めする新訳『小さな星の王子さま』
私が最初に手にしたのは、先述しましたが、内藤濯さん訳の『星の王子さま』です。
日本では内藤濯さんの訳が長く流通していましたが、2005年1月に翻訳出版権が消失したため、多くの新訳が新たに発表されました。
その中でも、コントラバス奏者である音楽家、河原泰則さんが訳された『小さな星の王子さま』は演奏家としての感性が生かされた、美しい翻訳です。
王子さまがバラの大切さに気づく場面は次のように訳されています。
「きみたちはみんな美しいよ。でもぼくにとってはなんの意味も持たない花なんだ。きみたちのために、ぼくが自分の命を賭けたりするようなことはないのさ。そりゃぼくの花は、ただの通りすがりの人から見たら、きみたちとおなじふつうのバラの花かもしれない。だけど、ぼくにとっては、彼女が、あのたった一輪のバラが、きみたち全員を合わせたよりももっと大事なんだよ。なぜって、彼女は、ぼくが自分で水をあげた花だからなんだ。…(中略)…それから、時々は、彼女が黙っているときでさえ聞き耳を立ててあげた、そういう花なんだよ。つまり彼女は、ぼくの、花なんだ」
出典:『小さな星の王子さま』アントワヌ・ド・サン=テグジュペリ作、河原泰則訳
王子さまの言葉にバラへの深い愛が読み取れる、素敵な場面です。
また、この本には、原文の一部をフランス語で朗読したCDが添付されています。
作品を原語で味わうことで、より一層フランス語学習への動機付けも強まるでしょう。
まとめ
この記事では、フランス語学習の初心者にお勧めのフランス文学『星の王子さま』を取り上げました。
「一度も読んだことがない」という方はもちろん、「昔読んだけれども、忘れてしまった」という方も、手に取ってお読みになることをお勧めいたします。
慶應義塾大学文学部出身|英語教師・日本語教師
趣味は旅行とカフェでゆっくり過ごすこと。
座右の銘は「どの雲にも銀の裏地がついている」。
どんなに辛い状況でも、その先には明るい光が待っていると思うと「もう一歩先に進もう」と思えます。
フランス語を勉強し始めたきっかけについては、詳しいプロフィールでご紹介しています。