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普通のおじさんが子どもたちを救う!
「人のことなんてどうでもいい!」「長い物には巻かれるタイプです!」「厄介なことに巻き込まれたくない!」「私は危険を犯して正義を貫くタイプではない!」こんなふうに思う方にぜひ見ていただきたいのが、この記事でご紹介させていただく映画『バティニョールおじさん(Monsieur Batignole)』です
第二次世界大戦、ドイツ帝国の占領下にあったパリを舞台に、面倒なことに巻き込まれずに自分と家族の平和を願うバティニョールおじさんが主人公。
ふとしたきっかけで、誰しもが「何者かになることができる」をテーマに、ユーモアたっぷりに描かれた感動作品です。
監督・脚本・主演を務めるのは、80年代から大活躍しているコメディ俳優ジェラール・ジュニョ(Gérard Jugnot )。
早速、映画のあらすじと、本編をよりよく理解するために「ヴィシー政権」についておさらいしましょう。
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普通のおじさんが奇跡を起こす?!映画『バティニョールおじさん』のあらすじ
1942年7月15日、パリの下町。
小さな精肉店を経営するバティニョールおじさんは、いつものように朝早く起きて、サッと手際よく鶏に餌をやり、ガラッとシャッターを開け店の開店準備を始める。
平和な日常のようですが、実はパリはドイツ帝国の占領下。
そんな中、バティニョールおじさんの店の上の階に住む、ユダヤ人医師バーンスタイン(Bernstein)宅の呼び鈴を、ある男がリリリンと鳴らします。
その男は、ユダヤ人を海外へ亡命させるビジネスをしていました。
ユダヤ人一斉検挙命令が出されたため、多くのユダヤ人は偽身分証明書でスイスなどへコッソリ亡命していたのです。
早速用意された車にハラハラしながら乗り込むバーンスタイン一家ですが、末っ子のシモン(Simon)がヴァイオリンをアパート内に忘れてしまったため、父親が取りに部屋に戻ります。
時を同じくして、地下室で仕込んでいたソーセージや生ハムが盗まれたことに気づき、プンプンと怒るバティニョールおじさん。
外に続く小さな窓が空いていたことから、そこからススっと出入りできる「子ども」の仕業だと気がつきます。
そして、娘婿のピエール・ジャン(Pierre-Jean)にそそのかされ、バティニョールおじさんはシモンが犯人ではないかと疑います。
バティニョールおじさんは、ちょうどヴァイオリンを取りに部屋に戻っていたバーンスタイン医師と会い、ガンガンと抗議。
もともとナチス軍に協力的なピエール・ジャンは、ここぞとばかりに「警察」に通報するのですが……
本編をよりよく理解するために「ヴィシー政権」をおさらい
「あれ、フランスってドイツに占領されてたっけ?」と、頭が混乱してしまった大人の皆さん。
ここで、世界史にも出てきた「ヴィシー政権(le régime de Vichy)」について、ほんの少しおさらいしましょう!
ヴィシー政権とは?
1940年7月10日から1944年8月20日までの、ドイツ帝国統治時代のフランス政権のことを「ヴィシー政権」と言います。
1939年に第二次世界大戦が開始し、翌年の5月からナチス軍がフランスを侵攻し、国土の半分を占領しました。
同年の6月に第一次世界大戦で活躍したペタン元帥(le maréchal Pétain)が評議会の議長となり、ドイツ帝国のヒトラー首相との軍事協定に署名することを決定します。
この軍事協定によって次のことが決まりました。
- ドイツ帝国に多額の戦争賠償支払うこと
- 占領軍の維持費の支払い
- 国境沿いにあるアルザス地方・モーゼル地方とドイツ帝国の合併
- フランスの北半分をドイツ帝国の統治下におく
フランス南北時代
こうしてフランスは、ドイツ帝国が統一する「北の占領地帯(la zone occupée)」とフランス政府の権限がある「南の自由地帯(la zone libre)」に分割されてしまいます。
このことにより、首都はパリからボルドーへ。
そして、1940年の7月1日には、「南の自由地帯」に位置するヴィシーへ移動。
その際に置かれたのがヴィシー政権です。
このヴィシー政権自体もドイツ帝国の傀儡政権で、多くのフランス人レジスタンスの処刑が実行されました。
ヴィシー政権の在り方に関しては、2022年の現在でもテレビの討論番組で扱われることもあります。
まとめ
普通のおじさんを主人公にした、2002年制作の映画『バティニョールおじさん』。
たった一人では特別なことなんてできるはずがない、と思いがちな私たちに、ほんのちょっとの行動が、人生を変えるきっかけになることを教えてくれます。
監督・脚本・主演を務めるジェラール・ジュニョは、80年代から大活躍しているコメディ俳優。
フランス語の学習にだけでなく、フランスの近代史を理解するためにも、大変おすすめの映画です。
おまけ:『バティニョールおじさん』は実話?!
主人公のバティニョールおじさんにはモデルがいるのです!
それは、ジェラール・ジュニョの「おじいさん」。
彼のおじいさんは、バティニョールおじさんと同じように、パリの下町19区で精肉店を経営。
占領中、ドイツ兵への協力を断ったことから、事業を倒産に追い込まれます。
その後、おじいさんはパリを離れ、ロレーヌ地方で静かに余生を過ごしました。
このおじいさんの行動はジュニョの心にずっと残っていて、いつか映画にしたいと企画を温め続けていたそうです。
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。