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幸せそうに見える家族の「大きな秘密」とは?
1939年から1945年まで、6年余り続いた第二次世界大戦。
戦時中には、2021年現在からは想像できないような悲劇が起こりました。
そんな悲劇が自分の出生と関係していたら、あなただったらどうしますか?
そんな問いかけをしてくるのが、映画『ある秘密(原題:un secret)』なんです。
戦時中、「フランス人として生きることを選んだユダヤ人」にスポットを当てた本作品の原作は、精神科医であり小説家のフィリップ・グランベール(Philippe Grimbert)の自伝小説です。
過去と現在が交差しながら、平凡な家族の秘密が少しずつ暴かれていく様子に、見入ってしまうこと間違いなし!
第二次世界大戦で傷ついた男女を描いた映画『二十四時間の情事』
早速映画のあらすじと、監督のクロード・ミレール(Claude Miller)そして原作者のフィリップ・グランベールをご紹介します。
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普通の家族の大きな秘密、映画『ある秘密』
1985年、夏。
小児精神科医のフランソワ(François)が、一人の少年を診察していた時、ふと30年前の自分の少年時代を思います。
しばらくすると、突然、両親の友人、ルイーズ(Louise)から「父親がよくない状態にある」と連絡がきました。
久しぶりに戻る実家に向かう地下鉄の中でふらふら揺れながら、フランソワはふつふつと過去を思い出すのです。
元水泳選手であり、モデルとして活躍しながら、自身もファッションデザインをしていた、美しい母親タニア(Tania)。
一方、父親のマキシム(Maxime)は、レスリング選手。
運動神経万能な両親から、スポーツ選手になることを期待されていたフランソワ。
ガリガリに痩せ、弱々しく親の期待に添えない自分自身から逃げるように、いつしかスポーツ万能な「兄」の存在を妄想するようになり。
そして、その「兄」の存在がどんどん大きくなっていきます。
ある日、フランソワは、屋根裏部屋にあるスーツケースの中から、古くなったモジャモジャの犬のぬいぐるみを発見。
ぬいぐるみを手に取るフランソワに、タニアは「汚いから触っちゃダメ!」と刺々しく言い放ったのです。
その夜フランソワは、「兄」が犬のぬいぐるみを奪い取ろうとする悪夢をみてしまいます。
そして実家に近づくにつれ、フランソワは、あの日知ってしまった「家族の秘密」について思い出して行くのですが……
監督のクロード・ミレールと原作者のフィリップ・グランベール
あるユダヤ人家庭を描いた映画『ある秘密』。
監督のクロード・ミレールと原作者のフィリップ・グランベール、共にユダヤ人であり、両親が戦時中に「フランス人として生きることを選んだ」という共通点があります。
そんな彼らの、興味深い人生をみてみましょう。
監督のクロード・ミレール
1942年、第二次世界大戦中のパリの郊外モントルイユ(Montreuil)に生まれたミレール監督。
両親とも「無神論者」のユダヤ人だったため、戦時中に「黄色い星(étoile jeune)」を逃れ、フランス人として生活していました。
1962年に映画学校を卒業後、ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちの助監督を経験し、1976年に長編監督デビューを果たします。
70年代から2000年初頭まで、フランス映画界を引っ張っていたミラール監督ですが、長く患っていた闘病生活の末、2012年に他界してしまいました。
シャルロット・ゲンズブール
ミレール監督と言えば、シャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)の『なまいきシャルロット( L'Effrontée)』と『小さな泥棒 (La Petite Voleuse)』の監督としてご存じの方もいらっしゃると思います。
原作者のフィリップ・グランベール
1948年、パリに生まれたグランベールは、両親からスポーツ選手になることを期待されつつも、自ら精神科医の道を選びます。
卒業後はパリ郊外で開業医をし、90年代に入るとエッセイを書き始め、2001年に「La Petite Robe de Paul」という作品で小説デビュー。
その3年後に、小説「ある秘密」を出版。
この作品が 150万部の以上の売り上げで大ヒット!
その年、15歳から18歳までの高校生2千人によって「高校生のゴンクール賞(Prix Goncourt des lycéens)」に選ばれたのです。
まとめ
精神科医であり、小説家のグランベールの体験を元に書かれた小説「ある秘密」。
第二次世界大戦中の恋人同士の悲劇を扱ったストーリーが、若者たちを中心に支持され大ヒットしました。
その小説を映画化したのが、自身もユダヤ人であるミレール監督。
素晴らしい俳優陣によって、原作に負けない素晴らしい仕上がりになっています。
本作品のフランス語は、とても聞き取りやすいため、学習教材としても最適な映画です。
別の角度から「第二次世界大戦中のユダヤ人」を語っている映画『ある秘密』。
フランスの多様性を理解する上でも、ぜひ見ていただきたい映画です!
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。