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公立病院の裏側にメスを入れた話題作!
何かと話題になる医療業界ですが、「裏でどのようなことが起こっているのだろう」と疑問に思ったことはありませんか?
そんな方にぜひオススメしたいのが、映画『ヒポクラテスの子供達(原題:Hippocrate)』です。
本作品ではパリの市立病院を舞台に、人材の不足、機材の不足、研修医の過度な勤務体制など、映画を通して「病院の裏側」を垣間見ることができます。
この記事では映画のあらすじと、映画を理解するために知っておくべきポイントを3つご紹介します!
研修医をリアルに描いた映画『ヒポクラテスの子供達』のあらすじ
内科学の医学生ベンジャマン(Benjamin)は、父親が院長を務めるパリ市立病院で研修の初日を迎えます。
おどおど白衣を受け取り、ばたばたと慌ただしく動いているスタッフに圧倒されつつ、父親にあいさつし医療現場へ。
上司であるドノルマンディ医師(Denormandy)には、10病室、約18人の患者を担当するように言い渡されます。
ベンジャマンは大学での成績も良く、表向きには自信満々でしたが、いざ患者を目の前にするとギクシャクしまうことが多く、自分の医者としての能力に悶々とする日々。
そんな時に、出会ったのが、同じ研修医であるアブデル(Abdel)。
アブデルはアルジェリア人で、祖国でたくさんの臨床経験を積んでいましたが、彼のディプロマはフランスでは認められないため、研修医から再スタートすることに。
てきぱきと手際よく、自信に満ちながら患者に接するアブデルを見ながら、ベンジャマンはさらにプレッシャーを感じるように。
ベンジャマンが夜間当番のある日。
救急車で運び込まれてきたホームレスが、へろへろになりながら腹痛を訴えていました。
手元にあった心電図のモニターの調子が悪かったため、とりあえずホームレスを落ち着かせて鎮痛剤を投与。
しかし翌日、上司であるドノルマンディ医師にホームレスが亡くなったことを告げられてしまうのです。
カルネ上で「医療ミス」が見つかったことを指摘されたベンジャマンは、夜間当番時にどのような対応をしたか追及されることに。
そして、この「医療ミス」を「なかったこと」にするため、口裏を合わせるように言われます。
そんな自分の判断ミスで招いた事故にビクビクしているベンジャマンの元に、なんと身寄りがないと思われていた亡くなったホームレスの妻と子どもが突然訪ねてくるのですが……
映画を理解するために知っておくべき3つのポイント
まるでドキュメンタリー映画のように、リアルな研修医を映した映画『ヒポクラテスの子供達』。
ここでは、本作品をより深く理解していただくために、ぜひ知っていただきたいポイントを3つご案内します!
ヒポクラテスとは?
『ヒポクラテスの子供達』のヒポクラテス(Hippocrate)って誰だろう、と思われた方も多いのではないでしょうか?
ヒポクラテスは紀元前460年に生まれ紀元前370年まで活躍した、古代ギリシャ時代の医師です。
「迷信」や「呪術」が病気の原因であり治療方法と考えられていた時代に、ヒポクラテスは患者を接することで現実に起こった経験を元に科学を発展させた人物と言われています。
#信仰と現実を切り離して医療を追求したことで、「医学の父」とも言われています!
フランスをはじめとする欧米の医学校の卒業式には「ヒポクラテスの誓い」と呼ばれる、ギリシャ神への宣誓文を読む習慣があるそうです。
ヒポクラテスの精神が2021年現在にも引き継がれていることがわかりますね。
医師でもある?!監督トマ・リルティ(Thomas Lilti)
本作品のリルティ監督、なんと元家庭医という、異色の経歴の持ち主です。
高校生の時から映画関係の仕事につくことを夢見ていたリルティ監督でしたが、医師であった父親の強い反対にあい、しぶしぶ医学の道に進みました。
しかし、医学生を続けながら短編映画を撮り、その後映画の道を選びます。
『ヒポクラテスの子供達』は、リルティ監督の研修医の時代の経験をヒントになっているそうです。
本作品は2014年に上映され、翌年のセザール賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、そしてアブデルを演じたラダ・カトブ(Reda Kateb)が最優秀助演男優賞と4冠に輝きました。
その後も意欲的な作品を取り続け、2018年からフランスのCanal+チャンネルで、本作品と同じ題名の『ヒポクラテス』というテレビドラマシリーズをスタート。
2021年には2シーズン目に突入した人気番組です!
なんでこんな絵が壁に?!研修医の休憩所
本作品を見ていて研修医たちが食事をしている休憩所の壁に驚かれた方も多いのではないでしょうか?
実は変な壁画は、なんと中世から始まるフランスの伝統なんです!
始まった当初はただの落書きのようなものだったらしいのですが、今のようなスタイルになった理由に関しては諸説あります。
毎日多くの「死」を接している医師たちに「生命力の証」を確認させるため、そして「死に対する恐怖や絶望を和らげる」ためにこのような絵を描くことが始まったとか。
いろいろなモチーフを見てみたい方は、「salle de garde」で画像検索してみてください!
中世から続く伝統的な「行事」に関してはホラー映画『RAW 少女のめざめ』の記事も合わせてどうぞ!
まとめ
リアルな研修医を描いた映画『ヒポクラテスの子供達』。
監督であるトマ・リルティ自身が、元家庭医であることから、自分の経験を元にしたフィクションとして本作品を制作しました。
フランスで大ヒットし、2015年のセザール賞では見事に4冠に輝いています。
登場人物は話し方が本当にナチュラルで、ボキャブラリー、話すスピードともに、まるで普通のフランス人の会話を聞いているようです。
フランス語を聞き慣れるためにも、初級者はまずは日本語字幕付きで、中級者の方はフランス語字幕または字幕なしで挑戦してみてください。
フランスの医療システムの現状を知ることができる、オススメの映画です
おまけ
異色の医学生ユーチューバー「Dr Mus」をご紹介します。
研修医としての生活や、医学生から見た医療系海外ドラマの現実性を解説。
メインチャンネルは2020年の5月から、セカンドチャンネルでは2021年の1月から更新はしていませんが、とても興味深い内容のものばかりなので、ぜひご覧ください。
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。