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真実は隠せない!
いろいろな情報が溢れる中で、
「これって、ちょっとおかしいんじゃないかな?」
と感じる事件や出来事はありませんか?
この記事では、強い反論や炎上が怖いからはっきり言えないだけで、本当は心の中でいつも「違和感」を感じているという方にぜひ見ていただきたいフランス映画、『オフィサー・アンド・スパイ(原題:J'accuse)』を紹介します。
監督は自らも幼少期に第二次世界大戦のユダヤ人狩りを経験しているロマン・ポランスキー(Roman Polanski)。
主演は『I feel Good』(2018)で金儲けのことばかり考えるジャックを演じたジャン・デュジャルダン(Jean Dujardin)と若手実力派俳優ルイ・ガレル(Louis Garrel)。
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それでは早速、衝撃の事実を描いたフランス映画『オフィサー・アンド・スパイ』のあらすじの紹介と、事件後のアルフレッド・ドレフュス(Alfred Dreyfus)の人生を見てみましょう!
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世間を相手に一人立ち上がった!映画『オフィサー・アンド・スパイ』のあらすじ
1895年1月5日。
パリの陸軍士官学校の校庭には、フランス軍の兵士隊とアルフレッド・ドレフュス元大尉(Alfred Dreyfus)の姿がありました。
前年9月に発覚したドイツ軍への密告疑惑に対し有罪判決を告げられたドレフュス元大尉は、ガヤガヤと集まってきた市民から「裏切り者」と罵倒を受ける中、見せしめにされるかのように軍服のボタンや勲章をどんどんと剥ぎ取られていきます。
元上司のサンデール大佐(le colonel Jean Sandherr)や、ピカール少佐(le commandant Picquart)が遠くからじーっと見守る中、何度も「私は無実だ!」とドレフュス元大尉は叫び続けますが、陸軍大臣の命令によりフランス領ギアナに位置する「ディアブル島」へ流されることになったのです。
この「事件」は新聞で大々的に取り上げられ、ワーっとフランス中に知れ渡ります。
後日、ピカール少佐は友人らとピクニックへ行くのですが、やはり話題はドレフュス事件一色。
うんざりしていたピカール少佐は、ふと、士官学校で教鞭をとっていた頃に、ドレフュス元大尉と一度だけ直接会話した日のことを思い出します。
ある日、授業が終わった後、当時生徒だったドレフュスが「成績が悪かったのは唯一あなたの授業だけなのですが、私がユダヤ人だからですか?」と詰め寄ってきたのです。
「私はユダヤ人が好きではないが、成績を決めるのはそれが理由ではない」と答えたやりとりを振り返りながら、
果たしてドレフュス元大尉がスパイ行為をするのだろうか?
という疑問がふと湧いてくるのです。
翌日、ピカール少佐は電報によって諜報部、通称「第二事務所」の部長に任命され、フランス史上最年少で中佐へ昇格したことを知ります。
次の日に諜報部を担当しているアンリ少佐(le commandant Henry)の案内で、施設を訪れるのですが… …
ドレフュス事件のその後
ここでは、映画の最後にも少し触れられているドレフュス事件のその後について見てみましょう。
キャリアの交渉と引退
1906年、無罪が判決され釈放されたアルフレッド・ドレフュスは、当時のフランス首相ジョルジュ・クレマンソー(Georges Clemenceau)や軍事省、そしてピカール将官へ「昇格」の申し出をします。
ところが、約10年間の投獄期間は、法律により勤務年数に換算することができないことから申請は却下。
そのため、翌年の1907年に48歳で引退という道を選びます。
銃撃を受けた後フランス軍へ復帰
翌年、1908年。
本作品のフランス版タイトルにも使われドレフュス事件を強く非難した記事「J'accuse…!」を投稿した、19世紀を代表する作家エミーユ・ゾラ(Émile Zola)の葬儀がパンテオンで行われました。
参列したドレフュスは、反ユダヤ人主義のジャーナリストに銃撃され、腕に傷を負ってしまうのです。
その後、しばらくは表立った舞台から身を隠しますが、1912年、ソルボンヌ大学で言語学の教鞭をとるフェルディナン・ブリュノ(Ferdinand Brunot)の依頼で、ドレフュスは音声録音に協力します。
1917年の第一次世界大戦では、砲兵隊の司令長としてフランス軍へ復帰し、ヴェルダンの戦いなどで指揮をとります。
レジオン・ドヌール勲章、そして旅立ち
第一次世界大戦中の功績が讃えられ、1919年、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章を授与され、これを機に軍人を完全に引退することを決めたのです。
その後は静かに過ごし、1935年、パリの自宅にて家族に囲まれ75歳で静かに旅立ちました。
まとめ
国や世間から非難されながらも「真実」のために戦ったピカール中佐を中心に描いたフランス映画『オフィサー・アンド・スパイ』。
世界的に有名な「ドレフュス事件」をベースに、最後まで目が離せない上質の歴史サスペンス作品に仕上がっています。
劇中で使われているフランス語は、軍事用語も多く時代背景を知っていないと理解するのが難しいため、学習教材としてはかなりハイレベルですが、フランスの歴史を知る上で見ておきたい映画の一つです。
おまけ
2020年のセザール賞12部門にノミネートされた映画『オフィサー・アンド・スパイ』。
しかし、70年代から続く未成年性的虐待への裁判から逃げ回っているポランスキー監督に対して、セザール賞が行われる会場前ではフェミニスト団体による抗議が行われました。
さらに、ポランスキー監督の最優秀監督賞受賞が発表されると、2018年の映画『BPM ビート・パー・ミニット』で人気女優の仲間入りをしたアデル・エネル(Adèle Haenel)をはじめ、フェミニストの女優たちが会場を後にするという前代未聞のハプニングが起こりました。
フランス映画『BPM ビート・パー・ミニット』のあらすじと感想
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。