フランス映画『愛と宿命の泉』のあらすじと感想

南仏プロヴァンス地方

フランス映画『愛と宿命の泉(Jean de Florette & Manon des Sources)』は、南仏プロヴァンス(Provence)の自然を舞台に、泉を巡って繰り広げられる愛憎物語です。

原作はマルセル・パニョルの小説『L'Eau des collines』です。

映画は二部構成になっており、第二部は第一部の3か月後に公開されました。

監督は映画プロデューサーで俳優でもあったクロード・ベリClaude Bérri)。

フランス・スイス・イタリア・オーストリアの合作で1986年に公開されました。

第一部のタイトルは『フロレット家のジャンJean de Florette)』、第二部は『泉のマノンManon des Sources)』。

邦題に「宿命」という言葉が使われていますが、その宿命が意味するものは何でしょうか?

プロヴァンスの農村の、どこにでもあるような平凡な生活を通して、その「宿命」が紐解かれていきます。

歌手としても活躍したイヴ・モンタンを始め、演技派俳優たちがそろっているので見ごたえのある出来となっています。

あなたは、この村で起こった出来事の目撃者になったような気分になるでしょう。

映画『愛と宿命の泉』が観れる動画配信サービス

今すぐ『愛と宿命の泉』を観たい方のために、動画配信サービス(VOD)の収録状況をお伝えします。

2021年2月現在、『愛と宿命の泉』を鑑賞できるVODはU-NEXTだけです。

サービス名をクリックすると、各VODの公式サイトに移動できます。

サービス名 有無 無料期間 月額(税込)
TSUTAYA
DISCAS
30日 2,659円
U-NEXT 31日 2,189円
hulu 14日 1,026円
FODプレミアム 14日 976円
Amazon Prime Video 30日 500円
NETFLIX なし 880円
music.jp 30日 1,958円

フランス映画『愛と宿命の泉』のあらすじ

この物語はじっくりご覧いただきたいので、ネタバレしないように記述しています。

第一部『フロレット家のジャン(Jean de Florette)』

マルセイユに近い南仏の小さな村の有力者、セザール・スベラン(通称パペ)は一族で最後に残った甥のウゴランを後継者にしようと考えていました。

ウゴランと一緒に彼の夢であるカーネーション栽培を実現させるため、ある土地を買収しようとしますが、なかなかうまくいきません。

そして、パペたちが狙っていた土地に引っ越してきたのは、その土地の相続人であるフロレットの息子ジャンと妻子でした。

彼らを追い出して、土地を奪おうとするパペとウゴランが仕組んだ計画とは。

第二部『泉のマノン(Manon des sources)』

第一部の最後のシーンから十数年の月日が流れました。

ジャンの娘、マノンは母と別れて村に残り、羊飼いになっていました。

ウゴランは美しく成長したマノンを泉で見て、めまいを起こしそうになるほど動揺します。

そしてマノンに恋焦がれ、彼女と結婚したいと強く思うようになります。

しかし、マノンはウゴランには目もくれません。

早くウゴランの結婚相手を見つけてやりたいと願うパペ。

一方、マノンは復讐の決意を固めていました。

この三人の願いは叶うのでしょうか?

そして邦題につけられた「宿命」がこの第二部で明らかにされます。

フランス映画『愛と宿命の泉』に出演している豪華キャスト

フランス映画『愛と宿命の泉』には、イヴ・モンタンを始め、演技派の豪華俳優が多く出演しています。

セザール・スベラン(César Soubeyran)

村の有力者で、通称パペ(Papet)。

生涯独身を貫き、一見近寄りがたい雰囲気を持った老人です。

たった一人残った身内のウゴランを後継者にしたいと思っており、ありとあらゆる手段を使って彼の手助けをします。

枯葉』というシャンソンで有名な歌手でもあるイヴ・モンタンYves Montand)がこの孤高で誇り高いパペ役を演じ、村人に対して威圧感を放っています。

イヴ・モンタン~ベスト・セレクション
俳優でありシャンソン歌手のイヴ・モンタン決定版ベスト。代表曲『枯葉』『バルバラ』『私の回転木馬』他、全20曲のヒット曲を収録

ウゴラン (Ugolin Soubeyran)

パペの甥で身寄りのないウゴランは、兵役を終えて村に戻ってきました。

パペはウゴランのことをガリネット(Galinette)という愛称で呼んでいます。

ウゴランは平凡な男性で、自分の仕事以外にはこれといって熱中するものがありません。

早く身を固めてほしいと思っているパペは、何かにつけてウゴランをたきつけますが、ウゴランは全くパペの期待に応えません。

しかし、マノンに一目ぼれした後は狂気にも似た感情を爆発させます。

ウゴランを演じるのは、演技派のダニエル・オートゥイユDaniel Auteuil)。

『愛と宿命の泉』でセザール賞の最優秀男優賞を受賞しました。

フランスのセザール賞は、アメリカのアカデミー賞にあたります。

ジャン・カドレ (Jean Cadoret)

フロレットの息子で、よその土地で収税理、今でいう税務署で税を徴収する仕事をしていました。

しかし、土地を相続することになり、妻と娘を伴ってパペやウゴランが住むプロヴァンスに引越ししてきます。

ジャンは新しい農業方式を思いついていて、この土地で農業を営もうと希望に燃えていました。

ジャンは生まれつき大きく背骨が曲がっていましたが、明晰な頭脳とフェアな考え方の持ち主で、前向きに物事を考えられる人物です。

しかし、彼を待ち受けていたものは過酷な現実でした。

演じるのはフランスの代表的な名優、ジェラール・ドパルデュー(Gérard Depardieu)。

彼が出演している映画やテレビドラマの数は非常に多く、ナポレオンからコメディのアステリックスまで幅の広い役をこなすことができる俳優です。

カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭、全米映画批評家協会賞、ゴールデングローブ賞、セザール賞で男優賞、主演男優賞などをたくさん受賞しています。

愛と宿命の泉』では、困難に打ち勝とうとするジャンを淡々と演じます。

マノン・カドレ(Manon Cadoret)

ジャンの一人娘。

子供の時に父親から幅広い知識を学び、聡明で美しい女性に成長します。

しかし、彼女の半生は苦悩の連続となったため、人里離れて野性的な生活を送ることになります。

成長したマノンを第二部で演じるのは、エマニュエル・ベアール(Emmanuelle Béart)。

この映画では彼女の美しさが際立っており、その意思の強そうな大きな瞳に吸い込まれそうになります。

とにかく彼女が演じるマノンは、貧しくとも美しくて気品があり、ウゴランが一目ぼれしてしまうのも納得できます。

マノン役のエマニュエルはあまり多くのセリフを語りませんが、一挙手一投足の印象が強く残ります。

愛と宿命の泉』で、エマニュエルはセザール賞の主演女優賞を受賞しました。

映画のマノンはウゴランに冷たかったのですが、実はマノン役のエマニュエルとウゴラン役のダニエルは、この映画以前から事実婚をしていました。子供をもうけましたが、現在は別々の人生を歩んでいます。

ベルナール(Bernard Olivier)

村に越してきた、若い新任教師です。

ある日、丘に登って鉱石を収集している時に、ナイフを忘れたことでマノンと知り合います。マノンに好意を示すベルナールの出現で、マノンの心は揺れます。

そんなマノンを、ベルナールは闇の世界から光の世界へと導いていくのでした。

ベルナールを演じるのはイポリット・ジラルドHippolyte Girardot)で、彼も幅の広い役をこなす俳優です。

『愛と宿命の泉』のみどころ

この映画では南仏のアクセントが使われています。

素朴な村人たち、またウゴランが話す南仏アクセントはとても強いので、注意して聞いてみてください。

語尾をちょっと上げるような特徴があります。

特にウゴランが話す南仏アクセントは強く、特徴が聞きやすいです。

南仏アクセントではありませんが、「Ugolin」の「U」の発音も日本人には「ユ」と聞こえたり、「ウ」と聞こえたりしますね。「U」の発音は難しく、英語圏の人もなかなか正しくできないようです。ここでは「ウゴラン」と表記しました。

また、南仏語の言い回しとして、親しい間柄で言う「さようなら」は「au revoir」の代わりに「Adieu」と言うことがあります。

「Adieu」は「永遠の別れ」の意味があるので、いきなり言われるとギョッとしますが、南仏では「じゃあね、バイバイ。」という、軽い雰囲気で使われています。

ちなみにこの「Adieu」の使い方は、スイスのフランス語圏でも南仏と同じような意味で使われています。スイスではさらに「Bonjour」の意味でも使われるので、スイス人があいさつすると、フランス人は面食らってしまうこともあるようです。

このように地方のフランス語アクセントや言い回しを聞くことで、一層その土地の雰囲気が体感できるのではないでしょうか。

私がこの映画を観た時はフランス語の勉強を始めたばかりだったので、その時はアクセントの違いがうまく聞き取れませんでした。当時の村人の素朴な生活や、村人と宗教のつながりを新鮮に受け止めながら物語を追いました。

まとめ

愛と宿命の泉』は、終始、哀愁を帯びたハーモニカのメロディーが流れています。

映画の中ではジャンがハーモニカを吹いており、またマノンが吹いていることもあります。その音色はこの物語を象徴するものであり、運命に翻弄される人間たちの哀しみを醸しだしているのです。

一生懸命生きているのに理不尽な結果が待っていたら、あなたはその時どうしますか?

人生を恨みますか?悲しみますか?それとも宿命を受け入れますか?

この映画には、ある答えが描かれています。

ぜひ、ご覧になってその答えを探してみてください。

映画『愛と宿命の泉』が観れるビデオ・オン・デマンド(VOD)サービス

2021年2月現在、『愛と宿命の泉』を観れるVODサービスはU-NEXTのみになります。

サービス名をクリックすると、各VODの公式サイトに移動できます。

サービス名 有無 無料期間 月額(税込)
U-NEXT 31日 2,189円

この記事を読んだ人が読んでる関連記事

  1. ドキュメンタリー映画『ディオールと私』のあらすじと基本ファッション用語

  2. 映画カチンコを持つ男性

    フランス映画『奇人たちの晩餐会』のあらすじ・キャストとフランス語のジョーク

  3. フランス映画『マルセルの夏』のあらすじと20世紀初頭のフランス社会問題とは

  4. フランスのミュージカル映画『ロシュフォールの恋人たち』のあらすじ、キャストとサントラ有名曲

  5. フランスのフィルム・ノワール映画『チャオ・パンタン』のあらすじとコリューシュの人物紹介

  6. ブリュノ・デュモン監督作品『ジーザスの日々』、あらすじと知っておくべきポイント3つ!

  7. フランス映画『ボヴァリー夫人とパン屋(Gemma Bovary)』のあらすじと見どころ

  8. Netflixドラマ『フランスでは有名人』のあらすじとスタンダップコメディーから学ぶフランス語

  9. フランス映画『宮廷料理人ヴァテール』のあらすじと詳しいキャスト紹介

    フランス映画『宮廷料理人ヴァテール』のあらすじと詳しいキャスト紹介

  10. アメリ(映画)は意味不明?内容がよくわからない方向けにあらすじ(ネタバレ有)を最後の結末まで紹介

  11. Netflixドラマ『ル・シャレー 離された13人』のあらすじ(ネタバレなし)と感想

  12. 映画『キッスをよろしく』のあらすじと「恋愛」を描き続ける映画監督エマニュエル・ムレ

  13. Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く』第2話のあらすじ・ネタバレとフランス語の男性名詞・女性名詞

  14. フランス映画『エース中のエース』のあらすじ、キャストと見どころ

  15. フランス・パリのコンシェルジュリー|フランス革命・マリー・アントワネットの最後

    ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』のあらすじと主要登場人物を演じるキャスト

  1. フランス人が日本のことを好きなのはなぜ?アニメや漫画以外の魅力…

  2. フランス語で「ありがとうございます」は?丁寧な表現と友達へのカ…

  3. 映画『ユマニテ』のあらすじと演技未経験で男優賞・女優賞を受賞し…

  4. フランス映画『ボヴァリー夫人とパン屋(Gemma Bovary)』の…

  5. フランス映画『ジェヴォーダンの獣』のあらすじと当時の歴史的な時…

  6. フランス語の“Putain”には良い意味もあるって本当!?“Merde”や“put…

  7. ブリュノ・デュモン監督作品『ジーザスの日々』、あらすじと知って…

  8. フランス映画『感傷的な運命』のあらすじと、キリスト教におけるプ…

  9. 映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』のあらすじ…

  10. 映画『スパニッシュアパートメント』のあらすじと、すぐに使えるフ…

  1. 大学受験における効率的なフランス語単語の習得方法

  2. フランス語力を伸ばすために海外留学前に日本で学習しておくべきこ…

  3. フランス語の単語力を楽しみながらアップさせる方法!

  4. フランス語を楽しく学ぼう!勉強のモチベーションを維持するコツ

  5. フランスに語学留学すると本当にフランス語は身につくのか!?

  6. フランス留学で気をつけるべきこと

  7. フランス語で「雨が降っている」と訳す方法と雨の種類

  8. フランス人の恋人ときちんと会話するために必要とされることとは?

  9. 仏検に合格するためにフランス語のリスニング力を向上させる方法

  10. 仏検1級・準1級の効果的なリスニング対策勉強法

ブログランキング