フランス映画『愛と宿命の泉』のあらすじと感想

南仏プロヴァンス地方

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フランス映画『愛と宿命の泉(Jean de Florette & Manon des Sources)』は、南仏プロヴァンス(Provence)の自然を舞台に、泉を巡って繰り広げられる愛憎物語です。

原作はマルセル・パニョルの小説『L'Eau des collines』です。

映画は二部構成になっており、第二部は第一部の3か月後に公開されました。

監督は映画プロデューサーで俳優でもあったクロード・ベリClaude Bérri)。

フランス・スイス・イタリア・オーストリアの合作で1986年に公開されました。

第一部のタイトルは『フロレット家のジャンJean de Florette)』、第二部は『泉のマノンManon des Sources)』。

邦題に「宿命」という言葉が使われていますが、その宿命が意味するものは何でしょうか?

プロヴァンスの農村の、どこにでもあるような平凡な生活を通して、その「宿命」が紐解かれていきます。

歌手としても活躍したイヴ・モンタンを始め、演技派俳優たちがそろっているので見ごたえのある出来となっています。

あなたは、この村で起こった出来事の目撃者になったような気分になるでしょう。

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フランス映画『愛と宿命の泉』のあらすじ

この物語はじっくりご覧いただきたいので、ネタバレしないように記述しています。

第一部『フロレット家のジャン(Jean de Florette)』

マルセイユに近い南仏の小さな村の有力者、セザール・スベラン(通称パペ)は一族で最後に残った甥のウゴランを後継者にしようと考えていました。

ウゴランと一緒に彼の夢であるカーネーション栽培を実現させるため、ある土地を買収しようとしますが、なかなかうまくいきません。

そして、パペたちが狙っていた土地に引っ越してきたのは、その土地の相続人であるフロレットの息子ジャンと妻子でした。

彼らを追い出して、土地を奪おうとするパペとウゴランが仕組んだ計画とは。

第二部『泉のマノン(Manon des sources)』

第一部の最後のシーンから十数年の月日が流れました。

ジャンの娘、マノンは母と別れて村に残り、羊飼いになっていました。

ウゴランは美しく成長したマノンを泉で見て、めまいを起こしそうになるほど動揺します。

そしてマノンに恋焦がれ、彼女と結婚したいと強く思うようになります。

しかし、マノンはウゴランには目もくれません。

早くウゴランの結婚相手を見つけてやりたいと願うパペ。

一方、マノンは復讐の決意を固めていました。

この三人の願いは叶うのでしょうか?

そして邦題につけられた「宿命」がこの第二部で明らかにされます。

フランス映画『愛と宿命の泉』に出演している豪華キャスト

フランス映画『愛と宿命の泉』には、イヴ・モンタンを始め、演技派の豪華俳優が多く出演しています。

セザール・スベラン(César Soubeyran)

村の有力者で、通称パペ(Papet)。

生涯独身を貫き、一見近寄りがたい雰囲気を持った老人です。

たった一人残った身内のウゴランを後継者にしたいと思っており、ありとあらゆる手段を使って彼の手助けをします。

枯葉』というシャンソンで有名な歌手でもあるイヴ・モンタンYves Montand)がこの孤高で誇り高いパペ役を演じ、村人に対して威圧感を放っています。

イヴ・モンタン~ベスト・セレクション
俳優でありシャンソン歌手のイヴ・モンタン決定版ベスト。代表曲『枯葉』『バルバラ』『私の回転木馬』他、全20曲のヒット曲を収録

ウゴラン (Ugolin Soubeyran)

パペの甥で身寄りのないウゴランは、兵役を終えて村に戻ってきました。

パペはウゴランのことをガリネット(Galinette)という愛称で呼んでいます。

ウゴランは平凡な男性で、自分の仕事以外にはこれといって熱中するものがありません。

早く身を固めてほしいと思っているパペは、何かにつけてウゴランをたきつけますが、ウゴランは全くパペの期待に応えません。

しかし、マノンに一目ぼれした後は狂気にも似た感情を爆発させます。

ウゴランを演じるのは、演技派のダニエル・オートゥイユDaniel Auteuil)。

『愛と宿命の泉』でセザール賞の最優秀男優賞を受賞しました。

フランスのセザール賞は、アメリカのアカデミー賞にあたります。

ジャン・カドレ (Jean Cadoret)

フロレットの息子で、よその土地で収税理、今でいう税務署で税を徴収する仕事をしていました。

しかし、土地を相続することになり、妻と娘を伴ってパペやウゴランが住むプロヴァンスに引越ししてきます。

ジャンは新しい農業方式を思いついていて、この土地で農業を営もうと希望に燃えていました。

ジャンは生まれつき大きく背骨が曲がっていましたが、明晰な頭脳とフェアな考え方の持ち主で、前向きに物事を考えられる人物です。

しかし、彼を待ち受けていたものは過酷な現実でした。

演じるのはフランスの代表的な名優、ジェラール・ドパルデュー(Gérard Depardieu)。

彼が出演している映画やテレビドラマの数は非常に多く、ナポレオンからコメディのアステリックスまで幅の広い役をこなすことができる俳優です。

カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭、全米映画批評家協会賞、ゴールデングローブ賞、セザール賞で男優賞、主演男優賞などをたくさん受賞しています。

愛と宿命の泉』では、困難に打ち勝とうとするジャンを淡々と演じます。

マノン・カドレ(Manon Cadoret)

ジャンの一人娘。

子供の時に父親から幅広い知識を学び、聡明で美しい女性に成長します。

しかし、彼女の半生は苦悩の連続となったため、人里離れて野性的な生活を送ることになります。

成長したマノンを第二部で演じるのは、エマニュエル・ベアール(Emmanuelle Béart)。

この映画では彼女の美しさが際立っており、その意思の強そうな大きな瞳に吸い込まれそうになります。

とにかく彼女が演じるマノンは、貧しくとも美しくて気品があり、ウゴランが一目ぼれしてしまうのも納得できます。

マノン役のエマニュエルはあまり多くのセリフを語りませんが、一挙手一投足の印象が強く残ります。

愛と宿命の泉』で、エマニュエルはセザール賞の主演女優賞を受賞しました。

映画のマノンはウゴランに冷たかったのですが、実はマノン役のエマニュエルとウゴラン役のダニエルは、この映画以前から事実婚をしていました。子供をもうけましたが、現在は別々の人生を歩んでいます。

ベルナール(Bernard Olivier)

村に越してきた、若い新任教師です。

ある日、丘に登って鉱石を収集している時に、ナイフを忘れたことでマノンと知り合います。マノンに好意を示すベルナールの出現で、マノンの心は揺れます。

そんなマノンを、ベルナールは闇の世界から光の世界へと導いていくのでした。

ベルナールを演じるのはイポリット・ジラルドHippolyte Girardot)で、彼も幅の広い役をこなす俳優です。

『愛と宿命の泉』のみどころ

この映画では南仏のアクセントが使われています。

素朴な村人たち、またウゴランが話す南仏アクセントはとても強いので、注意して聞いてみてください。

語尾をちょっと上げるような特徴があります。

特にウゴランが話す南仏アクセントは強く、特徴が聞きやすいです。

南仏アクセントではありませんが、「Ugolin」の「U」の発音も日本人には「ユ」と聞こえたり、「ウ」と聞こえたりしますね。「U」の発音は難しく、英語圏の人もなかなか正しくできないようです。ここでは「ウゴラン」と表記しました。

また、南仏語の言い回しとして、親しい間柄で言う「さようなら」は「au revoir」の代わりに「Adieu」と言うことがあります。

「Adieu」は「永遠の別れ」の意味があるので、いきなり言われるとギョッとしますが、南仏では「じゃあね、バイバイ。」という、軽い雰囲気で使われています。

ちなみにこの「Adieu」の使い方は、スイスのフランス語圏でも南仏と同じような意味で使われています。スイスではさらに「Bonjour」の意味でも使われるので、スイス人があいさつすると、フランス人は面食らってしまうこともあるようです。

このように地方のフランス語アクセントや言い回しを聞くことで、一層その土地の雰囲気が体感できるのではないでしょうか。

私がこの映画を観た時はフランス語の勉強を始めたばかりだったので、その時はアクセントの違いがうまく聞き取れませんでした。当時の村人の素朴な生活や、村人と宗教のつながりを新鮮に受け止めながら物語を追いました。

まとめ

愛と宿命の泉』は、終始、哀愁を帯びたハーモニカのメロディーが流れています。

映画の中ではジャンがハーモニカを吹いており、またマノンが吹いていることもあります。その音色はこの物語を象徴するものであり、運命に翻弄される人間たちの哀しみを醸しだしているのです。

一生懸命生きているのに理不尽な結果が待っていたら、あなたはその時どうしますか?

人生を恨みますか?悲しみますか?それとも宿命を受け入れますか?

この映画には、ある答えが描かれています。

ぜひ、ご覧になってその答えを探してみてください。

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