映画『フレンチ・コップス』のモンマルトル・ロケ地はどこ?あらすじ&キャストと共に紹介

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パリ18区の風俗街ピガール(Pigalle)や移民達が幅を利かせているバルベス(Barbès)界隈には、こんな「性根の腐った刑事」がいるかもしれない……

今回は、そんなことを連想させてしまう、1984年の大ヒット映画『フレンチ・コップス(現代:Les Ripoux)』をご紹介したいと思います。

こんにちは!パリのモンマルトル界隈が大好きなカタクリです。

モンマルトルが舞台の映画といえば、『アメリLe fabuleux destin d'Amélie Poulain)』『パリ、ジュテームParis, je t'aime)』『ミッドナイト・イン・パリMinuit à Paris)』など、オシャレな作品をイメージする方も多いと思いかもしれませんが、この『フレンチ・コップス』は真逆です。

モンマルトルの別の顔を見ることができるエリアを舞台に、最悪刑事たちが権力をふるって好き放題しているにも関わらず、最初から最後まで笑いとなぜか清々しさを提供してくれる『フランチ・コップス』は、ただのコメディー映画ではありません。

なんと1985年にセザール賞を3部門(最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀編集賞)も受賞した、初のコメディー映画なんです。

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コメディー初のセザール受賞作品『フレンチ・コップス』あらすじ

モンマルトル界隈を管轄するパリ18区警察署のベテラン刑事ルネは、相棒のピエロ(Pierrot)とともに権力を使い、街の悪人から賄賂を受け取っていました。

そんなある日、ミスを犯したピエロが捕まってしまい、ルネは地方から出てきた堅物の若い刑事フランソワと組んで仕事をすることに。

泥棒からお金を巻き上げ、路上の違法売人から賄賂を受け取り、勤務中にパトカーで馬券を買いに行き、レストランでただ食いをするルネを見て、昇格試験の準備をしていた生真面目なフランソワは呆れ果て一緒に仕事はできないと言い出しました。

上司に告げ口され仕事がしづらくなることを恐れたルネは、交際相手の元娼婦であるシモーヌ(Simone)の協力を得て、シモーヌの仲間で娼婦のナターシャ(Natasha)をフランソワに送り込みます。

ナターシャの魅力にすっかり落ちてしまったフランソワは、彼女に貢ぐお金を用意するため、次第にルネのやり方を真似するようになっていきました。

そんな「平和な暮らし」をしていた二人の前に、大金が動く大きな事件の話が舞い込んできます。

果たして二人はその大きな事件にうまく絡んで、大金を手にする事が出来るのでしょうか。

『フレンチ・コップス』のキャスト

ベテラン刑事ルネ(René)役を演じるのは、1988年にイタリア・フランス合作映画『ニュー・シネマ・パラダイス(Cinema Paradiso)』に出演し、その年の英国アカデミー賞主演男優賞・ヨーロッパ映画賞男優賞を共に受賞したフランスを代表する俳優フィリップ・ノワレ(Philippe Noiret)

そして地方出身の堅物刑事フランソワ(François)を見事に演じているのは、フレンチ・コメディー俳優の代名詞と言えるこの人、ティエリー・レルミット(Thierry Lhermitte)です。

『フレンチ・コップス』のロケ地を訪ねて見よう!

映画『フレンチ・コップス』の大きな魅力の一つは、何と言っても映画の舞台になったモンマルトルという味わいのある地区です。

数々のロケ地の中から、ここでは本編を観た後に是非訪ねていただきたい3箇所をご案内したいと思います。

フォワイヤティエ通り(Rue Foyatier)

映画の冒頭で、ルネとピエロが仲間である警官に追われて逃げ回った場所が、モンマルトルのシンボル、サクレクール寺院に向かって伸びている階段周辺です。

最終的に相棒のピエロが捕まってしまのが、ケーブルカー沿いにある「フォワイヤティエ通り」に繋がる細い道でした。

1875年に作られた222段ある階段の道フォワイヤティエ通りは、パリで最も有名な通りの一つでパリらしい風景の写真が取れるため、パリジャンや観光客に人気の写真撮影スポットになっています。

La rue Foyatier

La rue Foyatier 75018 Paris

ビストロ「ラ・ルネサンス(La Renaissance)」

ルネが無料で食べていたビストロは、観光地から離れたモンマルトルの外れに位置する「ラ・ルネサンス」です。

1920年開業以来の内装で、古き良き時代のパリの雰囲気が味わえる数少ないビストロの一つです。

Bistro La Renaissance

出典:Bistro La Renaissance公式HP

Bistro La Renaissance
112 rue Championnet 75018 Paris

闇市場バルベス・ロッシュシュアール(Barbès-Rochechouart)駅周辺

ルネがパトロールで通りがかった、まがい物の時計やカード博打をしていた闇市のあった場所が、地下鉄2番・4番線のバルベス・ロッシュシュアール駅付近です。

映画の撮影があった1980年代ほどではありませんが、今でも移民労働者のオアシスとして賑わいを見せています。

駅を出てすぐ目の前にはフランスの元祖激安ショップ、タティ(TATI)があり、その裏手の通りには北アフリカのお菓子やお惣菜が売っているお店が並んでいて、観光地やおしゃれな地区には見ることのできない、2021年現在のパリの本当の顔を見ることができるエリアです。

見た目よりも治安は悪くありませんが、ひったくりが多いので訪ねる際は貴重品の管理には十分ご注意ください。

Barbès-Rochechouart

出典:Station de métro Barbès-Rochechouart_Wikipedia

映画で学ぶフランス語、原題『Les Ripoux』の意味とは?

『フレンチ・コップス』という邦題はおしゃれな響きですが、原題の『Les Ripoux』はどこから来ているのでしょうか

劇中で自分の事を「ripoux」と言うルネに対して、フランソワは次のように問いかけました。

フランソワ: Ça veut dire quoi ripoux ?
リプー(ripoux)ってどういう意味なんだい?

ルネ: Tu ne connais pas le verlan ?!
お前、逆さ言葉を知らないのか?!

Tu inverses les syllabes, ripoux pourris...Pourris Ripoux !
音韻を逆に言ってみろ、リプー、プーリ(pourris=腐っているもの)・・・つまり「性根の腐った奴」って意味だよ!

出典:『フレンチ・コップス』

「le verlan」とは「逆さ言葉」という意味で、この単語自体も「(à) l'envers(逆さまに)」という意味の逆さ言葉になっているのです。

「pourri」は形容詞で「腐っている」男性名詞で「腐敗」という意味で、物にも人にも使うことができます。

逆さ言葉は日常会話でフランス人が頻繁に使っており、例えば「métro(地下鉄)」を「tromé」、「louche(変な、怪しい)」を「chelou」、面白いところでは「moustique(蚊)」を「stiquemou」などがあり、劇中にもたくさんの逆さ言葉が出てくるので、是非見つけてみてください。

まとめ

「性根の腐った刑事」を主人公に描いた映画『フレンチ・コップス』は、コメディー映画で初めてセザール賞を受賞した1984年の大ヒット作品です。

おしゃれなイメージの強いパリのモンマルトル界隈の「腐ったエリア」を中心に、フランスを代表するキャストが熱演している作品です。

英国アカデミー賞主演男優賞・ヨーロッパ映画賞男優賞の受賞経験があるフィリップ・ノワレがベテラン刑事ルネを、そしてフレンチ・コメディー俳優の代名詞、ティエリー・レルミットが地方出身の堅物刑事フランソワを見事に演じました。

権力をふるいやりたい放題の「性根の腐った刑事」の物語にも関わらず、最後には清々しさが残る極上のフレンチ・コメディー作品に仕上がっています。

なお、この映画でフランス語を学ぶ場合、まずは日本語字幕で観てからフランス語字幕で観るのがお勧めです。

普通のフランス人が使っているフランス語なので、聞き取りながら勉強するには不向きですが、字幕付きで何度も観ることでフランス語力が上がるでしょう。

映画全体が別の角度から見た「モンマルトルの観光案内」になっていて、訪れた事がある人にとっては見覚えのある場所ばかりかもしれません。

80年代のまでのいい具合に混沌としている魅力あるパリと魅力あるフランス人を見ることができる、オススメのフレンチ・コメディー映画です。

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