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ただ自由に生きたかった!
日本には「村八分」という言葉がありますが、2023年現在でも一部の地域では昔ながらの考えや風習が根強く残っています。
このような閉鎖的な一面は、時には地域に根ざした伝統的な文化を残すことになりますが、時には地方からの移住者や若い世代の人達を苦しめる原因にもなります。
今いる社会が息苦しいと感じている人にぜひ見ていただきたいのが、この記事でご紹介するフランス映画『裸足の季節(原題:Mustang)』です。
美しく若い5人の姉妹が、家父長制が息づくトルコの小さな村に住みながら、自分たちの自由を守る姿が描かれています。
早速本作品のあらすじと、この作品でデビューしたトルコ系フランス人監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン(Deniz Gamze Ergüven )をご紹介します!
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チャンスは自分で掴む!映画『裸足の季節』あらすじ
イスタンブールから1000km離れた、トルコ北部の小さな村。
そこに住む5人姉妹、長女ソナイ(Sonay)、次女セルマ(Selma)、三女エジェ(Ece)、四女ヌル(Nur)、末っ子ラーレ(Lale)は、両親が亡くなり祖母に育てられていました。
ある日、末っ子ラーレの大好きだったディレッキ先生(Dilek)が、イスタンブールへ行ってしまうことに。
泣きながら別れを悲しむラーレを慰めるため、姉たちはスクールバスには乗らずに歩いて帰ろうと提案します。
天気がよく暑かったため、同じ学校の男子たちと制服を着たまま海水に入り、肩車をしてもらいながら無邪気に遊ぶ姉妹たち。
寂しい気持ちも忘れ無邪気に笑いながら帰宅すると、祖母が怒った様子で待っていました。
「男に肩車をされるなんてはしたない」という理由で、長女であるソナイから順番に部屋に呼ばれ体罰を受けてしまうのです。
その日から姉妹たちは、祖母と叔父エロル(Erol)によって家から出られなくなってしまうのですが……
デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督をご紹介!
とても重いテーマとは裏腹に、美しい映像が印象に残る映画『裸足の季節』。
監督はデニズ・ガムゼ・エルギュヴェンというトルコ系フランス人女性。
ここでは、エルギュヴェン監督のバックボーンからご紹介していきます。
世界中を駆け回る幼少期
1978年トルコ・アンカラ生まれのエルギュヴェン監督は、父親がUNESCO(国際連合教育科学文化機関)やOECD(経済協力開発機構)に勤めていたことから、生まれて間もなくパリ、トルコ、米国を行き来して育ちます。
トルコに戻った時は、小さな村に住む祖父母の家で過ごしたエルギュヴェン監督。
この体験が映画『裸足の季節』を撮るきっかけとなるのです。
フランスに定住
1980年代になると、エルギュヴェン監督は両親と共にパリに定住します。
大学で人類学を学んだ後、フランスの映像・音響専門のグランゼコール「ラ・フェミス(La Fémis)」へ入学します。
在学中には主に短編映画を制作していました。
映画監督デビュー
ラ・フェミス卒業後、1992年に起こったロサンゼルス暴動をテーマにした作品に取り組み始めるのですが、資金が集まらずにプロジェクトが進まない日々が続いていました。
そんな時に「幼少期の体験」を映画化することを決意。
同じくラ・フェミス卒業生であり、映画監督・脚本家として活躍するアリス・ウィンクール(Alice Winocour)と出会ったエルギュヴェン監督は、彼女と共同で脚本を書き映画『裸足の季節』を完成させます。
本作品は2015年5月に開催されるカンヌ映画祭で上映され、評論家から大絶賛!
翌年のセザール賞では第一回作品賞、脚本賞、編集賞、作曲賞の4冠に輝き、米国アカデミー国際長編映画賞のフランス代表作品にも選ばれました。
念願のハリウッド映画『マイ・サンシャイン』
映画『裸足の季節』の成功により資金が集めやすくなったエルギュヴェン監督は、長年の夢だったロサンゼルス暴動をテーマにした映画『マイ・サンシャイン(Kings)』を2018年に完成させます!
2023年現在、フランスとハリウッドを行き来し新しい作品を製作中。
まとめ
閉鎖的な祖母と叔父の間で苦悩しながらも、自分たちの道を切り拓こうとする5人姉妹の姿を描いた映画『裸足の季節』。
監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンの思春期の体験と、地方の村に残る風習がベースとなった本作品。
とても重いテーマとは裏腹に美しくみずみずしい映像で描かれ、2016年のセザール賞では第一回作品賞、脚本賞、編集賞、作曲賞の4冠に輝いています。
フランス映画でありながら全編トルコ語と、フランス語以外の言語で描かれていますが、移民が増え続けるフランスにおいてこのようなスタイルの映画はますます増えていくでしょう。
新しいフランス映画を見たい人にもおすすめの作品です。
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。