異色のボーイスカウト映画!『Scout toujours』のあらすじと、フランスの「スカウト活動」について!

Scout toujours、ボーイスカウト

※当ブログにはプロモーションを含みますが、記事内容は公平さを心がけています。

子ども心を忘れない大人たちへ!

子どもの頃の思い出で、特に記憶に残っていることはなんですか?

学校で行った林間学校や修学旅行、という方も多いのではないでしょうか?

そんな方に見ていただきたいのが、この記事でご紹介する映画『Scout toujours(読み方:スクート・トゥージュール)』です!

こんにちは!修学旅行は京都・奈良・広島だったカタクリです!

フランスの学校には「修学旅行」がありません。

それに代わるのが、市町村・民間の会社が主催する林間・臨海学校、コロニー・ド・ヴァカンス(Colonie de vacances)、そしてボーイスカウトなどの「スカウト活動」です。

題名にある「scout」とは「スカウト」のことで、日本と同様、フランスでも活発に行われています!

そんな子どもの頃の楽しい思い出をテーマに、面白おかしくそしてリアルに描いたのは、本作品で監督・脚本・主演の3役を見事にこなしたフランスコメディ界を代表するシネアスト、ジェラール・ジュニョ(Gerard Jugnot)

初監督作品となる映画『Pinot, simple flic』に引き続き、翌年の1985年に発表した『Scout toujours』もフランスで大ヒットしました。

それでは早速本作品のあらすじと、映画のテーマになったフランスのボーイスカウト事情を一緒にみていきましょう!

大人にとっては地獄の夏休み!?映画『Scout toujours』のあらすじ

1965年、5月。

パリ郊外に位置するフォンテーヌブローの森では、ボーイスカウトの入団式「誓いの式」が粛々と行われていました。

そんな中、高級住宅街のヌイイ市支部からやってきたアントニー(Anthony)率いる悪ガキグループは、その式をメチャクチャにすることを計画していたのです。

そうとは知らない厳しい指導者、通称ビアン・ビアン・フー(Bien Bien Fou)は、悪ガキグループの計画によって、マンホールにストンと転落。

こうして、ヌイイ市支部の子どもたちは、ビアン・ビアン・フーをさっさと追い出すことに成功したのです!

それから、2カ月後。

スカウト活動のメインイベント「夏のキャンプ」の季節がやってきます。

けがをしてボロボロになったビアン・ビアン・フーの代わりに指導者として白羽の矢が立ったのが、伝説のボーイスカウト指導者フークレ(Foucret)の息子、ジャン=バティスト(Jean-Baptiste)

ところが彼は、一度も指導者としてボーイスカウトに参加したことがないばかりか、極度の小心者に加え、35歳で独身のマザコンだったのです。

乗せられるがままに、ついつい指導者役を引き受けてしまったジャン=バティストですが、子どもたちを前にして緊張のあまり、おどおどしながら突然ゼーハーと呼吸困難に陥ります。

それを見ていたヌイイ市支部の悪ガキグループは、夏のキャンピング中、ジャン=バティストを困らせることを決意するのですが……

大人にとって「戦争」のような夏休みを描いた映画『Scout toujours』の予告編はこちらです!

フランスのスカウト活動事情

本作品はボーイスカウトネタ満載なので、実際に「スカウト活動」をしていた人は、思わず吹き出してしまうシーンも多いのではないでしょうか?

カタクリはガールスカウトには入団していませんでしたが、制服に憧れを抱いていました!

日本でも活発なボーイ・ガールスカウトですが、フランスでは独自のグループ構成になっています

ここでは、成り立ちを振り返りながら、フランスのスカウト活動事情をご紹介します!

ボーイ・ガールスカウトに参加したことがない人にも、必見です!

スカウト活動の成り立ち

1907年(資料によっては1908年)、元英国軍人のロバート・ベーデン=パウエル卿によって、青少年たちを心身ともに健全な人材として育成することを目的に始められた活動が「ボーイスカウト」の成り立ちと言われています。

1910年には、ベーデン=パウエル卿の妹がガールススカウトを発足しています!

ボーイスカウト「3つの誓い」

映画の中で、登場人物たちが3本指を掲げているシーンに気づいた方も多いと思います。

あのサインには、一体何の意味があるのでしょうか?

  1. La solidarité:連帯
  2. L'entraide:助け合い
  3. Le respect:敬意

と、ボーイスカウトの活動の軸になる「3つの誓い」を3本指で表しているのです。

ボーイスカウトの活動

基本的には、キャンプなどの野外活動を行いながら、子どもたちの自主性、そしてグループでの活動を通じて協調性・社会性・リーダーシップなどを育むことを目的としています。

特にフランスの学校では修学旅行だけでなく、運動会や部活も存在しないので、ボーイスカウトなどの活動を通じて団体行動を学ぶそうです

フランスの6つのスカウト団体

イギリスで発足したボーイスカウト。

1910年、当時イギリスと同盟を組んでいたフランス海軍によって、スカウト活動がフランスに入ってきました。

その時に発足したのが、「Éclaireuses éclaireurs de France」です。

翌年には、プロテスタント系キリスト教が「Éclaireuses et Éclaireurs unionistes de France」というスカウト団体を発足します。

そして、1920年にカトリック系キリスト教のボーイスカウト「Scouts de France」、そして3年後にはカトリック系キリスト教のガールスカウト「Guides de France」が発足します。

映画『Scout toujours』は、「Scouts de France」がモデルになっています!映画さながらの80年代のスカウト活動の様子はこちらから!

2004年、この2団体が合併し、最も大きなスカウトグループ「Scouts et Guides de France」が誕生。

さらに、1923年にはユダヤ教徒による「Éclaireuses éclaireurs israélites de France」が設立されます。

北アフリカの移民が増えていく中、1990年にはイスラム教徒のスカウトグループ「Scouts musulmans de France」が発足。

そして、2007年、アジア人移民の増加により、ついに仏教徒の「Éclaireurs de la Nature」も生まれるのです。

フランスでは以上の6団体が存在します(2022年現在)が、特定の宗教に所属していなくても、宗教系のスカウトグループに入団することが可能です!

異なる宗教の「スカウト団体」が行う、定期合同イベントの様子を見ることができる動画はこちらです!多様な民族が一緒に暮らすフランスを垣間見ることができます!

まとめ

60年代に大流行した「スカウト活動」を、面白おかしく描いたコメディ映画『Scout toujours』

1985年に制作された本作品は、ジェラール・ジュニョの監督作品2作目になり、1作目の『Pinot, simple flic』に続き、フランスで大ヒットを記録しました。

子どもをたたくなど、2022年の現在から見るとショッキングなシーンもありますが、昔は普通だったんですよね

フランスには1997年まで徴兵制度があったため、スカウト活動で規律を学ぶことが「徴兵への準備」として大切だと思われていた時期もあったそうです。

本作品の予告編がまるで戦争映画のように作られているのは、このような理由があったからかもしれません!

本邦未公開なので、残念ながら日本語字幕がありません。

そのため、中級以上のフランス語力が必要になりますが、初心者であってもスカウト活動していた方には十分楽しめると思います。

フランスで人気のユーチューバー「ティボ(Tibo)」が「Scouts et Guides de France」で一日スカウトに挑戦しています!ぜひ併せてご覧ください!

ジュニョの他の作品も見てみたいという方は、こちらの記事もあわせてどうぞ!

日本語に訳されていない作品が多いですが、この機会にぜひご覧ください。

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