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全てを失った時に残るものは?
ある日、大きな会社の役職についていた人が、突然解雇されてしまった。
このような話を聞いたことはありませんか?
不景気と言われている日本においても、このような光景は残念ながら日常茶飯事になりつつあります。
「明日はわが身……」
そんな不安を抱えている方にぜひ見ていただきたいのが、映画『パリの天使たち(原題:Une époque formidable…)』です。
国民的コメディ俳優ジェラール・ジュニョ(Gérard Jugnot)の4作目の監督作品となる映画『パリの天使たち』は、これまでの彼の作品とは打って変わって、フランス社会を痛烈に皮肉った内容になっています。
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本作品は、1991年にフランスで公開された後、1995年に日本でも上映されました。
日本での興行成績は振るわなかったものの、1990年に入り、失業率が問題視されていたフランス本国では大ヒットを記録しました。
ジュニョならではの視点で上質なコメディ映画に仕上がっている、映画『パリの天使たち』。
それでは早速、映画のあらすじと、心に残る演技を見せた2人の名優をご紹介します!
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本当に大切なものに気がついた!映画『パリの天使たち』のあらすじ
ヴァカンス中に仲間たちとヨットに乗っていたが、舵を誤り海に落ちてそのまま沈んでいってしまう…
そんな不吉な夢を見たミシェル・ベルティエ(Michel Berthier)を待ち受けていたのは、「海に沈む」よりも最悪の現実。
10年以上勤めていた、米国資本の企業「アメリカン・ベッド」の役職を務めていたミシェルでしたが販売成績の不振により、突然の解雇を言い渡されてしまいます。
オルリー空港のグランドスタッフとして勤める美しい妻ジュリエット(Juliette)と、彼女の2人の連れ子たちになんとかバレないように、会社勤めを偽りながら就職活動を開始。
ところが50代という年齢もあり、なかなか仕事が見つかりません。
収入がないことを隠すように、ジュリエットのクレジットカードをこっそり使って、派手な買い物をするミシェル。
家族は彼を疑うことはありませんでしたが、ある日、ジュリエットの元にカード会社から利用制限金額を超えているという連絡が入ります。
このことが原因で、今までの嘘がバレてしまったミシェルは、大げんかの末、家を追い出されることに。
車中泊をしながらパリを彷徨っていたミシェルは、ホームレスたちから「先生」と慕われていた元軍医のトゥービブ(Toubib)、人のいいクレヨン(Crayon)、そしてケンカっ早いミモザ(Mimosa)と知り合うのですが……
心に残る演技を見せた2人の名優をご紹介!
本作品では、ジュニョ自身をはじめ、多くの出演俳優がセザール賞にノミネートされました。
受賞は逃してしまったものの、心に残る演技を見せた俳優陣。
ここでは、ミシェルのホームレス仲間を演じた2人の名俳優をご紹介します!
名優リシャール・ボーランジェ
ホームレスたちの中で、圧倒的な存在感を見せた元海軍医トゥービブを演じたリシャール・ボーランジェ(Richard Bohringer)。
2022年現在でも、フランスを代表する名優の一人で、濁声が印象に残るボーランジェは、1942年の第二次大戦中、ドイツ兵とフランス人女性の間に生まれました。
戦後は母方の祖母に育てられ、物心ついた時から、放浪の旅に出るように。
その一方、ライターとしてのキャリアを積む中、友人に勧められ、脇役として映画の出演を始めます。
80年代には2回のセザール賞を受賞し、一気に人気俳優の仲間入りを果たしました。
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さらに、同年1988年に出版した自伝エッセイ「C'est beau une ville la nuit」が、フランスで大ベストセラーに。
名脇役ティッキー・オルガド
ずるいけれどお人よしでトゥービブの後を常に追っているクレヨンを演じたティッキー・オルガド(Ticky Holgado)。
一度見たら忘れたれない個性的なルックスのオルガドは、16才でミュージシャンとしてデビューしました。
80年代に入ると独特な容姿のオルガドは、名脇役として数々の映画に出演して行きます。
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かなりのヘビースモーカーとして有名だったオルガドは、2004年、惜しまれつつも59歳という若さで肺がんによって他界してしまいます。
まとめ
1991年にフランスで公開され、大ヒットとなったコメディ映画『パリの天使たち』。
70年代から活躍する人気コメディ俳優ジェラール・ジュニョの代表作と言われる本作品は、これまでの彼が手がけたものとは異なり、フランスの失業という社会問題を扱っています。
外資会社の増加、リストラ問題、女性の社会進出、ホームレス問題など、リアルなフランスが垣間見られる作品となっています。
フランス語はもちろんのこと、フランス社会を学ぶのに最適な作品です。
「全てを失った後に、大切なものに気が付く」というよくあるテーマを、笑いと涙ありで描いた名作と言えるでしょう。
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日本語に訳されていない作品が多いですが、この機会にぜひご覧ください。
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。