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最強のふたりは国籍を越える!
日本で2012年に上映されたフランス映画『最強のふたり(原題:Intouchable)』は、それまでフランス映画の歴代一位だった2001年公開の映画『アメリ(Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain)』を超える興行収入を記録しました。
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映画『最強のふたり』の成功は日本だけでなく、ヨーロッパ諸国、アジア、そしてアメリカにもおよびます。
この大ヒットに伴い、あのハリウッドでリメイク版として制作されたのが、この記事で紹介する映画『THE UPSIDE 最強のふたり』です!
出演者はアメリカで大人気のテレビシリーズ『ブレイキング・バッド(Breaking Bad)』で大ブレイクした人気俳優ブライアン・クランストン(Bryan Cranston)、人気のコメディ俳優ケヴィン・ハート(Kevin Hart)、そしてニコール・キッドマン(Nicole Kidman)と超豪華キャストが勢ぞろい。
それでは早速、リメイク版映画『THE UPSIDE 最強のふたり』のあらすじと、オリジナル版との人種間問題の違いを解説していきます!
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会うことのないふたりが出会った時!?『THE UPSIDE 最強のふたり』あらすじ
深夜のニューヨーク、マンハッタン。
助手席に白人男性フィリップ(Philip)を乗せた黒人男性デル(Dell)が、高級車を猛スピードで走らせていました。
しばらくして警察官に捕まったデルは、「助手席に座る男が発作を起こしている!病院に向かわせてくれ!」と訴えます。
発作によって口から泡を吹いているフィリップを見た警察官は、病院の前までパトカーで誘導。
ことがおさまりホッとしたデルに対し、フィリップが「で、次はどうする?」と声をかけます。
それは半年前のこと。
病院での検査結果を聞いたフィリップは、希望を失った状態でした。
同じ頃、拳銃不法所持で服役していたデルは、数日後に控えた裁判で「社会復帰を目指すために、就職活動をしている」という態度を見せなければ、刑務所に戻る可能性があると言われます。
働く気のないデルでしたが、3カ所の求人先から「不採用」とサインされれば、とりあえず難は逃れることを知ります。
レストラン勤務の初日に遅刻し、パソコン作業を行う業務でやる気のなさを見せ、順調に不採用のサインを得ることができました。
そして、ダルは断られることを期待して次の求人先へ向かうのですが……
映画『THE UPSIDE 最強のふたり』オリジナル版とリメイク版との人種間問題の違い
オリジナル版であるフランス映画『最強のふたり』とリメイク版であるハリウッド映画『THE UPSIDE最強のふたり』。
さらっと見るとほぼ同じようなストーリーに見えますが、実は両国の歴史や文化の違いがかなり影響している内容になっているんです!
フランスもアメリカも黒人に対する「差別問題」を一色単に考えてしまいがちですが、歴史背景から見て両国の「アフリカ系」国民に対する立場が大きく異なっています。
リメイク版に見る、奴隷制度によるアフリカ系アメリカ人
リメイク版のデルは、アメリカに住む多くのアフリカ系アメリカ人と同様に、19世紀半ばに奴隷貿易によって連れてこられたアフリカ出身の黒人の子孫として描かれています。
ハックルベリー・フィンの冒険
フィリップの書斎からデルがこっそり盗んだ児童書「ハックルベリー・フィンの冒険」。
初版コレクターのフィリップにとってコレクションの一冊に過ぎませんが、デルにとっては彼のルーツがそこにあることを示しています。
デルの心情とシンクロする音楽
映画『THE UPSIDE最強のふたり』の音楽は、ただの「サウンドトラック」ではありません!
- マイルス・デイヴィス(Miles Davis)
- ハンプトン・ホーズ (Hampton Hawes)
- ナット・キング・コール(Nat King Cole)
- アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)
などの有名ブラックミュージシャンの曲と歌詞が、デルの心情とストーリー展開にシンクロするように選曲されています。
オリジナル版に見る、アフリカ系移民の子孫
一方、オリジナル版であるフランス映画『最強のふたり』のドリスは、80年代に本格化した外国人労働者受入政策により、自らの意思で移住してきたセネガル人の2世です。
彼のようなアフリカ系移民の子孫はフランスで育っていますが、祖父母や親戚、家族の一部は現在もアフリカ諸国に住んでいる場合がほとんど。
全く異なる文化の中で生きる移民の姿
オリジナル版は、「白人と黒人の貧富の差」という意味合い以上に「全く異なる文化へのギャップ」にスポットを当てられています。
特に象徴的なのが、「インペリアル・イースター・エッグ」のエピソードでしょう。
インペリアル・イースター・エッグ
オリジナル版のドリスは、フィリップのコレクションである「インペリアル・イースター・エッグ」を盗みます。
インペリアル・イースター・エッグとは、19世紀から20世紀に活躍したロシアの金細工師ピーター・カール・ファベルジェ(Peter Carl Fabergé)がロシア皇帝のために作ったイースターエッグがもとになっている卵型の装飾品です。
インペリアル・イースター・エッグの背景や価値を知らないドリスは、子どもに人気のお菓子「キンダー・サプライズ」の豪華バージョンという認識で盗んでしまうのです。
ラストの違い
そして、最も大きな点はフランス版とハリウッド版のラストの違いです。
両バージョンとも「ハッピーエンド」ですが、ハリウッドのリメイク版は白人と黒人の友情、そしてフランスのオリジナル版は、友情だけでなくお互いの文化の違いを認め合うという意味が込められているように感じます。
まとめ
日本では2012年に上映され大ヒットしたフランス映画『最強のふたり(原題:Intouchable)』のリメイク版として制作されたのが、この記事で紹介したハリウッド映画『THE UPSIDE 最強のふたり』です。
さらっと見ると基本的なストーリー展開はほぼ同じように見えますが、両国の歴史や文化の違いが影響しているため、異なる問題を提示している内容になっています。
オリジナル版とリメイク版、ぜひ見比べてみてくださいね!
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
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