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諦めなければ「奇跡」は必ず起きる!
2022年現在、世界を騒がしているロシア。
常に激動の歴史を歩んできたこの大国の犠牲者は、その国に住む国民かもしれません。
「歴史とか政治とか小難しい話は全然わからない!」
という方にオススメするのが、フランス映画『オーケストラ!(原題:Le Concert)』です。
ソ連時代の「ユダヤ人迫害」という重いテーマを、「コメディ」というジャンルで表現したのは、自身もユダヤ人であるラデュ・ミヘイレアニュ(Radu Mihaileanu)監督。
ルーマニアで生まれたミヘイレアニュ監督は、社会情勢の影響でイスラエルに移民したのちに、フランスに移り住んできた経歴を持っています。
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フランスでは2009年に、日本では2010年に公開された映画『オーケストラ!』は、2010年のセザール賞で音楽賞と音響賞を受賞しました。
それでは早速、映画『オーケストラ!』のあらすじと、撮影の裏話を一緒にみていきましょう。
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映画『オーケストラ!』のあらすじ|音楽は嘘をつかなかった!
この日もボリショイ劇場では、ロシアが世界に誇る「ボリショイ交響楽団」のリハーサルが行われていました。
モーツアルトのピアノ協奏曲第21番が美しく奏でられる中、突然、着信音がピロロンと鳴り響きます。
鳴り止まない携帯電話を抑えながら、いそいそと会場を出る清掃員。
彼こそが、ソ連時代にボリショイ交響楽団の天才指揮者と言われたアンドレイ・フィリポフ(Andreï Filipov)なのです。
1970年代のブレジネフ政権下、「ある事件」がきっかけでアンドレイは指揮者の座から引きずり下ろされ、清掃員としてボリショイ劇場で働き、細々と生活していました。
いつか音楽の世界に戻りたい!という思いから、掃除の合間に交響楽団のリハーサルをじーっと覗き見る日々。
そんなある日、アンドレイがいつものように劇場の支配人室をせっせと掃除していると、突然FAXが届きます。
それは、パリの名門劇場「シャトレ座」から送られてきた「出演依頼状」でした。
ふと、ある事を思いついたアンドレイは、送られてきたFAX用紙をポケットにそっと忍ばせました。
翌日、アンドレイはかつてボリショイ交響楽団の天才チェロ奏者と言われ、現在は救急車の運転手をしているサーシャ(Sacha)を呼び出し、こっそりと「出演依頼状」を見せながら、こう提案したのです……
30年前に一緒に追放されたオーケストラの楽団員たちを集め、もう一度「ボリショイ交響楽団」としてパリで復活しよう!
『オーケストラ!』がもっと面白くなる!映画の裏話をご紹介
2009年ヨーロッパ諸国で大ヒットした映画『オーケストラ!』は、本編の半分以上がロシア語という異色のフランス映画。
本作品をより面白く見るために、映画の裏話をいくつかご紹介します!
困難を極めたロシアでのロケ!
映画の半分以上が「ロシア」が舞台になっている本作品ですが、そのほとんどがミヘイレアニュ監督の祖国であるルーマニアで撮影されました。
撮影スタッフは、ロシア大使館となんと半年以上も申請手続きのやり取りを行ったにも関わらず、回答が得られない状態でした。
ところが、アンドレイを演じた俳優アレクセイ・グシュコブ(Aleksei Guskov)の協力を得て、なんとか2日間の撮影許可が降りたそうです。
この2日間で赤の広場など、モスクワでのシーンを全て撮影したそうです。
メラニー・ロランはヴァイオリンが弾けない!?
若きヴァイオリンソリスト、アン=マリー・ジャケ(Anne-Marie Jacquet)を演じた、メラニー・ロラン(Mélanie Laurent)。
実は、ヴァイオリンを全く弾けないそうです!
この映画のためにフランス国立管弦楽団のコンサートマスター、サラ・ナンタニュ(Sarah Nemtanu)から4カ月間の猛訓練を受け、弦を抑える指遣いのトレーニングを集中的に行ったとのこと。
あえてコメディで描いた理由
自身もユダヤ人であるミヘイレアニュ監督ですが、「ユダヤ人迫害という重いテーマを、なぜコメディというジャンルで表現したのか?」と聞かれることが多いそうです。
「世の中にたくさんある悲しみ……その中には希望の光が必ずある!」を信条に製作したミヘイレアニュ監督のインタビューがYouTubeに上がっています。
まとめ
常に激動の歴史を歩んできたロシア人を通して、諦めなければ「奇跡」が起こると教えてくれる映画『オーケストラ!』。
フランス映画でありながら80%がロシア語という異色の本作品は、2009年に上映され、ヨーロッパ諸国で大ヒットしました。
ソ連時代の「ユダヤ人迫害」という悲劇の中にも、希望の光を見いだすように「コメディ」にこだわったミヘイレアニュ監督自身も、イスラエルに移民したルーマニア出身のユダヤ人です。
本作品を通して、複雑に絡み合ったヨーロッパの民族関係を知るきっかけになることは間違いありません。
2022年現在、「ロシア」という国に対して複雑な気持ちの方も多いと思いますが、「好き」「嫌い」を一旦置いてぜひ見ていただきたい「フランス映画」の一つです。
フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。