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「待ち続けた」先にあるものは?
「なぜこんなに頑張っているのに評価されないんだろう?」
「私ばかりうまくいかない!」
など、この世の中は不条理と感じることはありませんか?
そんな人生にちょっと疲れてしまった人におすすめなのが、この記事で紹介する実話を元にしたフランス映画『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台(原題:Un triomphe、以下アプローズ、アプローズ!)』です!
フランスでは2020年、日本では2022年に上映された本作品。
本作品の元ネタはスウェーデンの俳優ヤン・ヨンソンのドキュメンタリー映画。
主人公の売れない俳優エチエンヌ(Etienne)には、映画『プチ・ニコラ(Le Petit Nicolas)』ではニコラのお父さんとして登場した、フランスの人気俳優カド・メラッド(Kad Merad)。
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そして文字が読めないジョルダン(Jordan)を『グレース・オブ・ゴッド告発の時(Grâce à Dieu)』にも出演している、若手人気俳優ピエール・ロッタン(Pierre Lottin)が演じています。
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それでは早速、フランス映画『アプローズ、アプローズ!』のあらすじとサミュエル・ベケット(Samuel Beckett)との驚くべきエピソードを紹介します。
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実話は小説よりドラマチックだった!映画『アプローズ、アプローズ!』
仕事だけでなく、妻や娘ともうまく行かない俳優エチエンヌ。
そんな彼の元に大きな仕事のオファーが来ます。
内容は、フランス郊外の刑務所で囚人たちへ演技のワークショップを行うというもの。
後がないエチエンヌは、わらをも掴む思いでこの大仕事を承諾します。
前任の演劇指導者から引き継ぐ形で迎えたワークショップ初日に、数カ月後に予定している発表会に参加する「俳優」たち、パトリック(Patrick)、アレックス(Alex)、ジョルダン(Jordan)、ムサ(Moussa)、ナビル(Nabil)の5人と出会います。
芝居にも演技にも興味がなく、全くやる気のない彼らをなんとかまとめて企画した発表会が成功を収めます。
日々、待つことしかできない囚人たちを見たエチエンヌは、20世紀フランスを代表する劇作家サミュエル・ベケットの名作『ゴドーを待ちながら(En attendant Godot)』を次の演目として選んだのですが……
サミュエル・ベケットとの驚くべきエピソードとは
スウェーデンの俳優ヤン・ヨンソンの実話が元になっている映画『アプローズ、アプローズ!』。
ベケットからのコンタクト
1985年、スウェーデンで最も厳重に警備されているクムラ刑務所で、演劇のワークショップを担当することになったヨンソンは、囚人たちとともに不条理演劇の名作『ゴドーを待ちながら』に取り組み始めます。
本来、2幕でできている演目ですが、スウェーデンでの著作権上、1幕しか発表することができなかったにも関わらず、囚人たちの演技は評判となり、国内、そしてヨーロッパ諸国でも話題に!
ヨンソンの活躍はパリに住むベケットの耳まで届いており、「ぜひ、君に会って話がしたい」という内容だったのです。
パリでの対面
パリの5区に位置するパンテオン近くのカフェで会うことになったヨンソンとベケット。
著作権の問題で1幕しか舞台で演じることができないことを話します。
するとベケットは
『ゴドーを待ちながら』の全幕公演権利を彼(ヨンソン)に許可する
と紙に書き
「これを私の本を出している出版社に提出しなさい。そして、囚人たちとの公演がどうなったのか報告してほしい」
とヨンソンに渡したそうです。
ベケットの「最高傑作」
ベケットの協力で、全編を公演できることになった囚人たち。
この噂が人気に拍車をかけ、3回公演のチケットがソールドアウトに!
しばらくして、ヨンソンは約束通り「囚人たちとの公演がどうなったのか報告」するため、パリでベケットと再会。
全ての事情を話すと、ベケットは「私の手がけた作品の中で、最高傑作の舞台になったよ」と言いながら爆笑したそうです。
参考サイト:Un Triomphe : l'incroyable histoire vraie derrière cette comédie avec Kad Merad
まとめ
スウェーデンの俳優ヤン・ヨンソン(Jan Jônson)が実際に経験したエピソードをもとに制作したフランス映画『アプローズ、アプローズ!』。
元ネタとなったドキュメンタリー映画『Prisonniers de Beckett』の一部は、メガホンを取ったミシュカ・サエル監督(Michka Saäl)からご覧いただけます。
売れない俳優エチエンヌと囚人たちが、ベケットの『ゴドーを待ちながら』を通じて、不条理の中の自由を感じ取っていく姿と、衝撃のラストにつながっていく本作品はフランス国内で大ヒットしました。
『ゴドーを待ちながら』の全編に興味がある方は、こちらからご覧いただけます!
"]フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
オススメや好きな作品は詳しいプロフィールで紹介しています。