今のフランスが見える映画『De toutes mes forces』のあらすじと、注目の監督シャド・シュヌーガとは

De toutes mes forces

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ある日突然、全てを失ってしまったら?!

みなさんは、ある出来事で日常生活がガラッと変わってしまった、という経験はありませんか?

例えば、

  • 突然転勤が決まってしまった
  • 会社が倒産してしまった
  • 恋人に別れを告げられた

など……

こんにちは!パリ在住のカタクリです!

そんな経験をされた方々に見ていただきたいのが、この記事で紹介する映画『De toutes mes forces(読み方:ドゥ・トゥットゥ・メ・フォルス)』です。

2017年にフランスで公開された本作品は、高校生にして突然全てを失ってしまった主人公ナシム(Nassim)が、自分の場所を見つけていく姿を描いています。

2023年現在、日本では未公開ですが、今のフランスが見える映画と言っても過言ではありません!

主人公のナシムを演じるのは、この作品でデビューを果たしたアルジェリア系フランス人のカレド・アルーアク(Khaled Alouach)

そしてナシムを見守るマダム・クザン(Madame Cousin)には、フランス映画になくてはならないベルギー人女優ヨランド・モロー(Yolande Moreau)が演じています。

監督は、自らも俳優であるシャド・シュヌーガ(Chad Chenouga)

本作品は、彼の経験を元に描かれています!

それでは早速、フランス映画『De toutes mes forces』のあらすじと、監督について紹介していきます。

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家族とは、そしてアイデンティティとは?映画『De toutes mes forces』のあらすじ

ごく普通の高校生、ナシム

金曜日の授業が終わり、週末、2泊3日で友達と出かけることを決めていました。

うつ病で家に引きこもっている母親のために買い物を済ませ、2日後に戻ってくることを伝え、ナシムは家を出ます。

友達と楽しく過ごしたナシムでしたが、日曜日、家に戻ると母親が床に倒れ亡くなっていたのです。

お葬式が行われた後、ナシムはそのまま養護施設へ。

養護施設には、学校にも行かず喧嘩ばかりしている移民の子どもたちばかり。

同じ移民の子でありながらも「まともな地区で育ちまともな教育」を受けていたナシムにとって、養護施設での生活は受け入れられないものがありました。

そのため、高校の友達には自分の状況を隠し通そうとするのですが……

カレド・アルーアクの演技が胸にグッと迫る映画『De toutes mes forces』の予告編はこちらから!

注目の映画監督シャド・シュヌーガとは

突然の悲劇で、たった一人になってしまった高校生の姿を描いた映画『De toutes mes forces』

シャド・シュヌーガ監督の実体験がベースとなっていることに衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか?

ここでは、自ら俳優でもあり、今最もフランスで注目されているシネアスト、シャド・シュヌーガを紹介します。

母親の死、そして俳優の道へ

アルジェリア人の母親を持つシャド・シュヌーガは、1962年、パリに生まれます

本作品同様、シャド・シュヌーガが高校生の頃に母親が自殺し、そのまま施設で数年過ごします。

高校卒業後、以前から興味があった映画の世界へ入ることを決意。

大学へ通いながら演劇学校として有名なル・クール・フローラン・パリ(Le Cours Florent)の授業に参加するようになります。

オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)やピエール・ニネ(Pierre Niney)などを輩出している学校です!

90年代から映画に出演し、同時に短編映画の監督としてもデビューを果たします。

映画『17, rue Bleue』そして舞台『La Niaque』

映画人(シネアスト)としてキャリアを積んでいくうちに、思春期のころに施設で過ごした経験をもう一度見つめ直すことを決意したシャド・シュヌーガは、2011年、初の長編映画作品『17, rue Bleue』を発表します。

イスラム教徒でありながら女性として自由に生きた母親を主人公にしたこの作品は、大変話題となりました!

その後、シャド・シュヌーガは舞台の演出・脚本へもキャリアを広げ、2011年には映画『De toutes mes forces』の前身となる舞台作品『La Niaque』を発表。

その後も、パリ郊外に住む移民の子孫たちをテーマに、新しいフランス文化を表現した作品を発表し続け、フランス映画界で注目を浴びる存在になったのです。

これらのフランス映画を支える監督の一人と言えます!

まとめ

突然全てを失ってしまった高校生ナシムを通して、フランス社会で自分の場所を見つけていく姿を描いた映画『De toutes mes forces』

若者が話すフランス語が中心となっているため、フランス語初心者の方には少しハードルが高いかもしれませんが、本作品を通して、参考書では習うことのできない生きた言葉に触れることができます!

外国人を親にもつフランス人が増えつつある現在、今のフランスが見える映画と言っても過言ではありません!

フランスに行く前に、ぜひ見ていただきたい映画の一つです。

本作品のメーキングオフもあわせてご覧ください!

施設の若者たちに寄り添うマダム・クザンを演じたヨランド・モローが出演した映画に関してはこちら!

シャド・シュヌーガ監督が卒業した名門演劇学校ル・クール・フローラン・パリの卒業生、オドレイ・トトゥピエール・ニネが出演した映画に関しては、こちらの記事で紹介しています。

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