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天才デザイナーの真実の顔に迫る!?
日本でも大人気のフランス人ファッションデザイナー、イヴ・サンローラン(Yves Saint Lauren)。
2008年に他界するまでの約50年間、フランスそして世界のモード界の頂点に君臨していたサンローランは、その輝かしいキャリアとは裏腹にうつ病に悩まされ、アルコール・麻薬中毒との戦いだったと言われています。
そんな彼の激動の人生を描いた伝記映画『SAINT LAURENT サンローラン』が、日本で2015年(フランスでは2014年)に公開されました。
主演のイヴ・サンローランには、2022年1月(37歳)にスキー事故のため他界してしまった人気俳優ギャスパー・ウリエル(Gaspard Ulliel)。
晩年のイヴ・サンローランを演じたのは、あのオーストリア出身の俳優ヘルムート・バーガー(Helmut Berger)。
イヴ・サンローランのパートナーであり、マネージメントを担当していたピエール・べルジェ(Pierre Bergé)には、フランス映画界で活躍するベルギー出身の俳優ジェレミー・レニエ(Jérémie Renier)。
そのほか豪華キャストが勢ぞろいした本作品は、なんとべルジェともめた「問題作」でもあるのです!
この記事では、その問題作『SAINT LAURENT サンローラン』のあらすじと、ペルジェとの確執について解説していきます。
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サンローランとは「誰」だったのか?フランス映画『SAINT LAURENT サンローラン』のあらすじ
恋人のピエール・べルジェの協力の元、自分のブランドを立ち上げたイヴ・サンローランはショーや有名人からの注文で、毎日忙しい日々を送っていました。
そんな彼が、ある日べルジェと行ったナイトクラブで女性ベティ(Betty)と出会います。
美しく気まぐれで自由なベティを見ているうちに「自分は自分の人生を生きていない」と感じるようになるイヴ。
自分の居場所を探すように、ベティや親友のルル(Loulou)と共に夜な夜な遊び歩き、ビジネスマンであるべルジェのサポートにも反発するようになるのです。
ある日、いつものようにナイトクラブに行くと、ある男性と目が合います。
その男性こそ、ライバルであり友達のデザイナー、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の恋人のジャック・ド・バシャール(Jacques de Bascher)だったのです……
ペルジェが激怒!?映画『SAINT LAURENT サンローラン』の裏側
豪華キャストで話題となった映画『SAINT LAURENT サンローラン』ですが、フランス映画界を巻き込んだ問題作でもあったのです。
ここではその発端と、第40回セザール賞までの争いを解説します。
イヴ・サンローランの2本の映画
2013年、同じ時期にイヴ・サンローランの伝記映画として2本の企画が上がります。
一つはこの記事で紹介している、ギャスパー・ウリエル主演の映画『SAINT LAURENT サンローラン』。
そしてもう一つがピエール・ニネ(Pierre Niney)主演の映画『イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)』です。
映画制作会社は次のポイントをずらすことで合意します。
ポイント | 『SAINT LAURENT サンローラン』 | 『イヴ・サンローラン』 |
物語の焦点を当てる時期 | ディオールに就職してから晩年までと、キャリアの頂点を中心に描く | サンローランのキャリアが始まる頃から頂点までを中心に描く |
サンローランの苦悩 | アルコール・麻薬中毒の副作用、ヘロイン過剰摂取、そしてエイズの治療などをリアルに描く | 若い頃受けたいじめが原因のうつ病を中心に描き、アルコール・麻薬中毒には触れるが重要視しない |
人間関係 | サンローランとベルジェの関係だけでなく、愛人であったド・バシェールとの関係も重点においている | サンローランの浮気には触れるものの、基本的にベルジェとの関係に重点を置いている |
以上の他にも、複数の点が違った角度で表現されていますので、さらに詳しく知りたい方はLe Figaroの記事も併せてご覧ください!
また、『イヴ・サンローラン』については、下記の記事でも詳しくご紹介しています。
フランス映画『イヴ・サンローラン』のあらすじと、より楽しく見るために知っておきたい撮影の裏話とは
そして「公認」と「非公認」へ
両制作会社からコンタクトを受けたべルジェは映画『イヴ・サンローラン』を全面協力することを表明し、公認映画として発表されます。
ところが、映画『SAINT LAURENT サンローラン』の内容に激怒したペルジェは制作中止を依頼するのです。
メディアの推測では、「べルジェが涙を流すほどピエール・ニネがサンローランに酷似しているため『イヴ・サンローラン』を気に入ったが、『SAINT LAURENT サンローラン』は、サンローランとド・バシェールの関係がストーリー内で重要視されすぎているから気に食わなかったのではないか」と意見が出ています。
第40回セザール賞での争い
フランスで2014年に公開された両映画は、サンローランの人気と素晴らしいストーリー展開、そしてべルジェとの確執が話題となり大ヒットします!
翌年のセザール賞で、最優秀主演賞にサンローラン役のギャスパー・ウリエルとピエール・ニネが、そして最優秀助演賞にべルジェ役のジェレミー・レニエとギヨーム・ガリエンヌ(Guillaume Gallienne)がノミネートされると、マスコミの煽りもあり「賞争い」に注目が集まります。
セザール10部門にノミネートされていた映画『SAINT LAURENT サンローラン』ですが、受賞は最優秀衣装デザイン賞のみにとどまります。
ピエール・ニネの受賞には大喜び、最優秀衣装デザイン受賞には激しく批判しています。
映画『SAINT LAURENT サンローラン』の逆転?!
べルジェの「非公認」となった映画『SAINT LAURENT サンローラン』は、撮影開始前に資金繰りに大変苦労したそうです。
そのかいがあってか作品自体は映画評論家からは好評で、なんと米国アカデミー国際長編映画賞のフランス代表作品に選ばれます!
のちに、ギャスパー・ウリエルはサンローランを演じた難しさを語っています。
まとめ
フランスそして世界のモード界の頂点に君臨していたサンローランの人生は、その輝かしいキャリアと裏腹にうつ病、アルコール・麻薬中毒、そしてエイズ治療との戦いを描いた映画『SAINT LAURENT サンローラン』。
べルジェ非公認作品と扱われた本作品ですが、人気俳優ギャスパー・ウリエルやヘルムート・バーガーそしてジェレミー・レニエなどの豪華キャストがそろい、米国アカデミー国際長編映画賞のフランス代表作品に選ばれました。
フランス語を学習している方だけでなく、モード界に興味のある方、そして純粋に一人の人間が苦悩をどう乗り越えていくかに興味のある方にぜひ見ていただきたい映画です。
べルジェからお墨付きを得た映画『イヴ・サンローラン』。
フランス映画『イヴ・サンローラン』のあらすじと、より楽しく見るために知っておきたい撮影の裏話とは
ピエール・ニネとは異なり、野望と欲望にギラギラしたサンローランを演じたギャスパー・ウリエル。
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存在感のあるルネを演じたヴァレリー・ドンゼッリ(Valérie Donzelli)は監督としても活躍しており、彼女の代表作『私たちの宣戦布告(La guerre est déclarée)』はフランス代表として米国アカデミー国際長編映画賞に出展されています。
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フランス・パリ在住の、気分は二十歳の双子座。
趣味はヨーロッパ圏内を愛犬と散歩することと、カフェテラスでのイケメンウォッチング。
パリ市内の美術館ではルーブル美術館、オルセー美術館とポンピドーセンターがお気に入り!
好きな映画は70代80年代のフレンチ・コメディ。
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